12月3日(土) 2005 J2リーグ戦 第44節
京都 1 - 2 甲府 (14:05/西京極/8,803人)
得点者:'9 田原豊(京都)、'40 長谷川太郎(甲府)、'80 アライール(甲府)
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ラインをコンパクトに保つ京都のお陰で、立ち上がりの甲府は、前節(福岡戦)に比べてフィニッシュに到達する可能性が高い攻撃を発揮することができた。
3分には藤田が両チーム通じて最初のシュートを放つ。8分には京都DFのミスパスをバレーが奪ってシュートし、GK西村が弾いたボールを石原が再び狙うが西村に弾かれてしまう。堅いように見える京都ディフェンスだが、ビルドアップ時にイージーミスを起こす点が隙だった。この場は西村の好セーブで得点には至らなかったが、「上手く守られていた感じがしたので、ミスを突いてやろうと思っていた」とFWの長谷川は京都の弱点に目を付けていた。ただ、京都はJ2優勝チーム、ピンチの後はすぐにチャンスを掴む。速攻を仕掛け、その流れからのCKから田原が頭で先制点を決める。この時、頭を過ぎったのは前節の5失点のこと。ここで冷静に立て直すか、更に失点を許して崩れてしまうのか、最初の勝負どころだった。
この日の甲府の守備はリスクマネージメントの判断を誤る場面が少ないだけでなく、京都の大型ツートップに対して怯むことなく挑んで行った。特に田原に対しては厳しいマークでイラつかせ、先制点の場面以外では押さえ込んだと言っていいだろう。この守備の意識が先制点を許した後の流れに好影響を及ぼした。40分、ディフェンスラインのミスを狙っていた長谷川が、パスコースを探しながらドリブルで上がるリカルドを追い込み、ボールを奪う。長谷川はワンタッチ目で追いすがるリカルドを振り切り、ツータッチ目で出てくるGK西村との間合いを計り、スリータッチ目(シュート)で同点ゴールを決める。長谷川は安間コーチと京都のビデオを見ながら、リカルドの癖を頭に叩き込んでいたのだ。
後半、最初に動いたのは京都・柱谷監督。FWの松田を下げて、甲府に在籍したことのある美尾を投入してくる。前線の選手が縦の関係を作ってきたが、ボランチの奈須がしっかりマークしてスペースを与えなかった。攻撃面では21分と26分に枠に飛ぶシュートを放ち、優勢に試合を進めていく。しかし、ゴールが決まらないまま時間が経過すると、お互いにディフェンスラインからのロングボールが増えてくる。ディフェンスラインからビルドアップするリスクを避ける気持ちが働いていたのだろう。蹴り合いになれば、ディフェンスラインに高さのない甲府は不利になる。石原に代わって入ったスーパーサブ・須藤が前線からチェイシングをして後ろの負担を軽減しようとするが、田原の一発に対する怖さはなくならない。耐えることが出来るか、2回目の勝負どころと思えた時間帯だった。
そんな中、甲府は35分にCKからアライールが頭で逆転ゴールを決める。CKから効果的な攻撃を発揮することが出来ていなかった甲府だが、GK西村の動きを制限するために囲い込み、ゴール前で浮いたアライールに合わせるという狙いがピタリと合ったゴールだった。
しかし、逆転した甲府と逆転された京都の気持ちの差が、残された10分間は露骨に出るのがサッカー。逆転してからは京都のパワープレーに守勢に立つ時間が増えてしまう。甲府サポーターにとって胃が痛くなる時間の始まりだ。今シーズンは、この時間帯に同点に追いつかれることが少なくなかった。甲府を知るものなら誰もがこの事実を頭の中から消し去ることは出来ない。3回目の勝負どころだったが、甲府の守備陣はよく戦った。ミスもあったが、カバーをして跳ね返す。長谷川もディフェンスが跳ね返したセカンドボールを拾いに戻るなど、全員が同じ意図を持って戦っていた。そして、少しの幸運もあった。だが、最大のピンチがロスタイムに訪れる。京都のカウンターに対して、杉山のスライディングタックがペナルティエリア内のファールと判断されてPKの判定が出る。杉山はレッドカードで一発退場となってしまう。
3分と表示されたロスタイムだが、胃酸がドクドク出るような長いロスタイムが始まる。双方の選手がそこかしこで小競り合いを起こし、GKの阿部だけが小競り合いから離れてPKのために集中を始めていた。PKを止める確率を考えると幸運は仙台にあったが、線審がファールと判定されたプレーの場所がペナルティエリアの外だということを主審に伝えて、PKからペナルティエリア外からの直接FKへと判定が変わる。再び甲府に運が傾いた。そして、このFKはポストに当たり、甲府が最大のピンチを跳ね返して京都に競り勝ちJ2リーグ3位をもぎ取った。
これまで甲府に関わってきた全ての人にささげる勝利となった京都戦。「(J1昇格の)チャンスは1回でいい。その1回をものにするのが実力」と選手に話した大木監督。1回のチャンスをものにするための熱い一週間が今始まる。
以上
2005.12.02 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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