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【J2:第44節 横浜FC vs 湘南 レポート】前後半で主導権の入れ替わるワンサイドゲームだったが、それぞれの選手が想いを込めた最終戦。(05.12.03)

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12月3日(土) 2005 J2リーグ戦 第44節
横浜FC 1 - 4 湘南 (14:00/三ツ沢/5,038人)
得点者:'2 シルビオ(横浜FC)、'40 バリシッチ(湘南)、'59 戸田賢良(湘南)、'70 柿本倫明(湘南)、'73 佐野裕哉(湘南)
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「どれだけ泣けるんだ…というくらい、3日間泣き続けました」と試合後に話してくれたのは、横浜FCを7年間にわたって支え続けた小野信義。今季限りの契約終了が決まり、この日が横浜FCの一員としては最後のピッチ。「予期していなかったので…。7年間ここでプレーしてきて、チームを離れることになった時がいちばん辛かった」と話す小野は選手入場の際、キャプテンマークをつけ、先頭に立ってピッチに姿を現した。サポーターからは「シンギコール」が湧き上がった。そのコールは試合が始まってもずっとスタジアムに響き渡っていた。

横浜FCは2トップに城とシルビオ、左に小野信、右には高田の布陣で臨んだ。先日の練習後、「出たい、出たら2ゴール」と話していたシルビオ。小野智吉から来たボールをそのまま右足で合わせ放ったミドルシュートは見事にゴールに突き刺さり、試合開始2分に早々と先制点をあげた。
小野信のトラップ、足元でのボール捌きも、試合開始早々から落ち着きをもたらし、小野智からのクロスをゴール前で頭で合わせるなど果敢にゴールに向かっていく。一向にボールを奪う気がないかと思うような湘南の守備に、先制点後も横浜FCはボールをよく動かし、よく繋ぎ、よいリズムで試合を進めていた。
「横浜FCの勢いに押されて、前半かなり押し込まれた展開になった」(湘南・上田監督)。が、前半終了間際の40分。湘南はセットプレーのチャンスを迎える。そのCK、加藤からゴール前で激しく競り合う選手たちのもとへ送られたボールは、横浜DFに当たり、そのこぼれ球を拾ったバリシッチがしっかりと決め、同点弾となった。

前半、ほとんどボールウォッチャーになってしまっていた湘南は、後半になって前線からのプレスで守備の意識を高めてきた。また、試合後の会見で「横浜FCにいちばん効果的なのはカウンターアタックで、DFの背後を突くプレー」と上田監督が話すように、後半は横浜FCのDFラインの裏にボールを放り込むかたちを徹底してやってきた。「特に後半、切り替えのところでスピードについていけなくなり、またボールの失い方が悪くなってカウンターを何度か受けた」(横浜FC・足達監督)という横浜FCは59分、70分、73分とたて続けにゴールを決められ、1-4と試合を決定付けられてしまった。

75分には今季限りでの引退を表明した重田もピッチに登場。度重なるケガに泣かされてきただけに「今日もプレーできる状態ではなかった」という状態ながら、「スピードスター」の異名通り、持ち味としている右サイドを駆け上がる姿を見せてくれた。重田から小野信へのパスなど、チームを創設時代から支えてきた2人のプレーの数々にファンはただただ感慨深げだった。2人は試合前「パス、出すからな」「出してこいよ」と話していたという。引退セレモニーでは涙を見せた重田だったが「皆の配慮のお陰でピッチに立たせてもらって感謝しています。ピッチの上で笛を聞いて引退を迎えられて幸せです」と、試合後にこやかな表情で話してくれた。

また、試合残り5分のところで2枚目の警告をもらい退場となってしまった高田は、この日の古巣との対戦を心待ちにしていた。ユース時代から12年、「湘南の顔」としてプレーした高田にとって、この試合には特別な想いがあったに違いない。それは高田を応援するサポーターにとっても同じだったのだろう。横浜FCサポーターからはもちろん、湘南サポーターからも大きな声援が飛んでいた。また、試合後のセレモニー中、高田の湘南時代の背番号「9」の文字と「心はひとつ」という熱いメッセージの入った大きな横断幕が湘南サポーターによってずっと静かに掲げられていた。セレモニー後、高田はそのもとへ走って駆け寄り、深々と挨拶をしていたのがとても印象的だった。
高田と同じ湘南からのレンタル移籍で、横浜FCのDF陣を引っ張った浮氣も「個人的にどうしても勝ちたい相手だっただけに、この結果は残念です。僕の力不足で来年ここでプレーすることは出来ませんが、横浜FCのサッカーは戦術的にも本当にやりがいがありました」と言葉を残し、三ツ沢を後にした。

横浜FCにとって11位という成績は、誰もが納得する成績ではない。しかし、「今年1年での、選手一人ひとりの個々の能力の伸びは著しいものがある」と足達監督。来季は、それを結果として表現してくれるチームになり、また一味違った「横浜FC」を見せてくれることを期待したい。


以上

2005.12.04 Reported by 浅野有香
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