チーム史上初のリーグチャンピオンに輝いた昨季を受け、J1リーグ戦『連覇』を明確なターゲットに見据えて挑む今季のガンバ大阪。チームスローガンは『もっと熱く、青く、強く!!!〜さらに新たな挑戦へ〜』。これは、昨季、何度も、何度も熱く燃え上がったホーム・万博記念競技場の熱狂を再現するべく、さらに『熱く』、もっと『強い』G大阪を見せたいというチームの熱意が込められたもの。その上で、もっと強く、 面白いサッカーを魅せるチームになることを誓っている。
その指揮官には、過去4年間に渡り継続的にチームを作り上げてきた名将・西野朗。以下、チームキャプテンにDF實好礼忠、チーム副キャプテンにGK松代直樹。ゲームキャプテンにDF山口智、ゲーム副キャプテンにMF橋本英郎、MF明神智和と、経験豊富なベテラン勢をリーダーに据え、過酷なシーズンが予測される2006年に挑む。目指すのは「昨年に引き続き、攻撃サッカー」と西野監督。昨年の攻撃の柱だったFWアラウージョ、FW大黒が抜けたことで、攻撃力の低下を不安視する声も聞こえてこないわけではない。だが「失った選手の穴は大きいが、新しい選手も含め、個々のスタイルを大事にしながら、去年により近づく攻撃の形を作り上げたい」という指揮官の言葉通り、新加入のFWマグノアウベスやFW播戸竜二、名古屋への期限付き移籍を経て復帰したFW中山悟志ら、新たな個性がしっかりと融合すれば、再び、ピッチで正確なパス交換から、早くゴールへと詰め寄る『ガンバ劇場』が見られるに違いない。
また、西野監督の言葉を借りるなら「抜けた2人が昨年挙げた50得点(正確には49点)をどうカバーするか。30点しかとれないなら、残り20点は失点しなければいいだけのこと」。つまりは、昨季の課題でもあった、守備面での強化を図ることも、攻撃サッカーを支える要素となる。これについて「もちろん、僕らDFラインが守備の中心になるのは事実だけど、DFラインのみならずチーム全体の守備意識の高まりは必要になる。チーム全体として失点を減らすことを考えたい」とはDF山口の言葉。すなわち、攻撃だけでも、守備だけでもなく『攻守の連動』こそが今季を戦う上で大きなカギとなっていくだろう。
また、代表組の離脱、ハードな日程が予測されるシーズンにあって「誰が出ても、どんな状況でも質の高いサッカーを示していくこと」もチームを勢いづける要素となるはず。昨季、J1リーグとナビスコ予選をうまく連動させて勢いに乗ったように、今季もそれぞれの大会を、それぞれの力としながら『強い、ガンバ大阪』を楽しませて欲しい。
【注目の新戦力】
●DF21 加地亮
ここ数年、チームの課題とされてきた“右アウトサイド”のポジション。特に『サイドからの仕掛け』の部分では、どうしても左サイドに頼らざるを得ない状況が続いてきた。その右サイドに、2年越しのラブコールを実らせて獲得したのが、地元関西出身で日本代表のDF加地亮。日本代表でのポジション定着が物語るそのハイクオリティなプレーは、今季、G大阪の右サイドを加速してくれること、間違いなし。スピードあるオーバーラップから鋭い、正確なクロスで攻撃を彩ってくれることだろう。
ただ、不安な要素があるとすれば、日本代表がらみの日程の関係で、あまりにチームでの準備期間が短いこと。これについて、本人に尋ねたところ「確かにチームになかなか合流出来ないので、コンビネーション、コミュニケーションの両面で不安があるのは事実」としながらも、「そういうことも踏まえて考えた上で、自分を1ランク上に引き上げるために決断した移籍。自分がどれだけ出来るか楽しみだし、チャレンジしたい」と意欲を見せており、心配なさそう。『走る』プレーヤーである加地が、G大阪の攻撃サッカーにどうフィットしていくのか、その過程をも楽しみながら、右サイドを注目したい。
【日本代表へイチオシ】
●MF27 橋本英郎
昨季は出場停止の1試合を除く33試合全てに、先発出場。ボランチを定位置に『必要不可欠』な存在へと成長した。中でも戦術眼の鋭さには定評がある。ボランチのポジションを一緒に組むMF遠藤との役割分担から、守備的にポジションをとることが殆どだが、DFラインの1つ前の位置での彼の惜しまない動きが、攻守にチームを支えていることは間違いないだろう。もちろん「代表?絶対にあり得ない!今の代表のメンツを見たら分かるように到底、僕の力が及ぶ場所じゃないし。ましてや僕より上だと思ってる選手でさえ代表に入っていませんから、ありえませんよ」と橋本が言うように、ポジション的なことも踏まえて考えると、日本代表への道のりは険しいのかもしれない。だが、彼のように状況に左右されず、好不調の波がなく、安定して戦える選手は、土壇場で必ず大きな存在感を示せるということを教えられた昨季だったからこそ、敢えて、彼をイチオシ選手としたい。
【開幕時の布陣予想】
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そこで、ある程度昨年のメンバーを中心に構成したのがこの予想布陣図。右アウトサイドのDF加地は文句なしでポジションを得るだろうが、彼ら以外の新戦力であるMF明神、FW播戸、FW中山ら、即戦力として申し分ない彼らがどう争いに加わっていくのかは計り知れない。攻撃陣が1枚増えれば、昨年同様、MF二川が左サイドにまわることも考えられるし、ボランチも西野監督から絶大な信頼を受けるMF明神の加入で、より激しいポジションを繰り広げるに違いない。またDF手島の存在も気になるところ。DF宮本が代表で離脱すると考えれば出場の可能性も十分ある。さらに、昨季の終盤その活躍が目を引いたMF寺田やFW三木、今季トッププチームに昇格したMF安田ら、若い選手にも勢いがあると考えれば・・・西野監督が嬉しい悲鳴をあげる様が想像できる。最後に、GKだが、昨季の活躍から考えると、GK藤ヶ谷の先発が妥当だが、ケガで離脱していたGK松代の復帰。さらにGKコーチが変わったことも含め、1からのポジション争いになるのは必至だ。
Reported by 高村美砂
2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート














