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【2006シーズン 戦力分析レポート:山形編】勝ち方を知る樋口新監督が、プラスアルファの発想で仕掛ける攻撃的サッカー(06.02.20)

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【今季の見どころ】

一昨年は4位、昨年は5位。2年続けてシーズン終盤までJ1昇格争いに絡んだ山形。しかしたとえ惜しかろうと、それを果たせなければ、次の年に並ぶのは同じJ2のスタートラインになる。山形にとって未知の領域・J1。その扉を開けるために白羽の矢を立てたのが樋口靖洋新監督だ。2年連続でJ1年間王者に輝くなど数々の功績を挙げた横浜FMで、昨シーズンまで7年間トップコーチを務めてきた。  

樋口監督が取り組んだのは、一からのチームづくりではなく、届かなかったJ1までの距離を測ることだった。「昨年のいい部分を崩すつもりはない。いい部分を残しながら、足りないものを埋めていきたい」(樋口監督)。「いい部分」とは、J2でも屈指のポゼッション能力と組織的な守備力、それと最後まで勝負をあきらめない姿勢。「足りないもの」とは、得点力だ。この得点力を上げるための方法として、樋口監督は「攻撃のプライオリティを整理する」という言葉を使っている。「ボールを奪ったらまずゴールを、あるいは相手のライン裏を狙う」という意識の徹底だ。 
相手の陣形を崩したりマークをずらすためにボールを動かす昨年までのやり方ではなく、まずはゴールを狙う共通意識をピッチ上の11人が持つということ。それはむやみに前方へ放り込むサッカーとも違っている。引いて守ってくる相手も多く、厳しくプレッシャーを駆けてくる相手もいる。その場合は無理に攻めるのではなく、いったん横パスやバックパスを入れ、得意のポゼッションを展開しながら次のチャンスを狙う。あくまでも「プライオリティの整理」というわけだ。  

攻撃力をさらに高めるために取り組んでいるのが、「ゴールを守るというより、ボールを奪う守備」(樋口監督)。守備陣形を整えたあとは、網にかかるのをじっと待つのではなく、積極的に奪いに行く。高い位置でボールを奪うことと、奪ったら瞬時に攻撃に移ること。これを実現することで、ゴールチャンスは飛躍的に増えることになる。昨シーズンは先制しても追加点を奪えず、試合を優位に進めながら追いつかれる試合が多かった。そうした停滞感から脱するには、2点目、3点目を奪う自力をつけることだ。  

サポーターをワクワクさせるそうした戦略・戦術を絵空事で終わらせないだけの11人も新たに加入している。大卒ルーキー1人、高卒ルーキー3人、レンタル1人、それ以外に他チームから完全移籍で獲得した選手6人は、すべて前所属チームを戦力外になった選手。J1からの降格3チームや大型移籍で選手獲得に成功したチームに比べれば印象の薄さは否めないが、前線には足を活かせる選手が、中盤にはそれを動かせるパサーが多く、攻撃の装備に関しては間違いなく昨年を上回っている。 
また、樋口監督は就任の際、「1ポジションに同じレベルの選手2人以上を」とフロントに要望しているが、その狙いは競争のなかでチーム全体の底上げを図ることと、バックアップを充実させることで誰が出ても一定のチーム力を保つこと。第1クールはまずまずのスタートを切りながら、第2クールに急ブレーキがかかっているのが山形の最近2シーズンの傾向だが、さらに4試合増え全48試合となった今シーズン、安定した力を発揮し続けることができれば、届かなかった距離は確実に縮めることができる。  

目標は言うまでもなく「J1昇格」。しかし山形のサポーターには、プラスアルファのお楽しみもありそうだ。「常に全力を尽くすのがプロとしての姿勢だと思うんですよね。観ている人に感動を与えるひとつの大きな要因は、結果よりも全力を尽くすプレーというのがまずベースにあるべきだと思います」(樋口監督) 
48試合分の感動を積み上げた先に、もう一段上のスタートラインが待っている。  

【注目の新戦力】

●FW 9 レアンドロ 
過去のJ2の歴史を紐解くまでもなく、J1昇格を遂げるためには、得点王争いに絡むストライカーの存在が欠かせない。昨季は得点力不足に悩まされ、3シーズン続けてブラジル人FWを途中解雇している山形にとって、爆発的な得点力が期待できる外国人FWの獲得は死活問題でもある。 
それゆえに、レアンドロにかかる期待は大きい。瞬発的なスピードに優れていることに加え、足元の技術もある。昨シーズンのチームには少なかった、ペナルティエリアで勝負のできるタイプでもある。昨シーズンは途中加入の大宮で7試合に出場し1得点。結果は本人も満足するものではないが、すでに日本でのプレーを経験していることは大きなプラス材料。21歳と若く、伸びしろも十分に残されている。  

●MF 28 財前宣之 
新戦力の話題でスルーできないのが財前宣之だ。6年半在籍した仙台から戦力外通告を受けはしたが、その攻撃的センスは磨かれることはあっても錆びることはない。ゴールに近い位置でタメをつくり、ドリブルで仕掛け、パスでFWを走らせ、自らシュートを放つ。攻撃のコンダクターは、新天地でも相手にとって要注意選手であることに変わりはない。本人は古巣との対決にこだわる姿勢を示しているが、ダービーマッチにとどまらず、昇格レースでも仙台に引けを取るわけにはいかない。リベンジの炎をシーズン通して絶やさないだけの燃料は、すでに用意されている。  

【日本代表へイチオシ】

●MF 6 佐々木勇人 
大卒ルーキーとして臨んだ昨シーズン、開幕からの数試合で見せた異次元的な活躍は、ポテンシャルの底知れなさを示すのに十分なものだった。開幕戦でスタメンを勝ち得ただけにとどまらず、チーム初得点を叩き出し、さらにアシストも記録。50メートル5秒9のスピードを活かしたドリブルが、右サイドを暴れるように躍動した。荒れた芝の上の戦いとなった第3節・甲府戦でも1得点1アシスト。終了後の「ピッチ状態は気にならなかった」のコメントには度肝を抜かれたが、それ以上だったのが第7節・湘南戦。ハーフウェイライン付近から決めた推定距離約60メートルのロングシュートは圧巻だった。ただ、その後は試練も体験する。警戒して守る相手を凌駕できず、飛び込むべきスペースとともに、本来の輝きをも消されてしまう。次々とやってくる試合に、肉体や精神を追い込まれる時期もあった。 
今季は、そうしたプロの洗礼を乗り越え、たくましさを増した姿をピッチで見せてくれることだろう。高い能力をチームの勝利にどう結びつけていくのか。佐々木ほどの選手なら、それはきっと解決できる課題に違いない。  

【開幕時の布陣予想】

4-4-2が基本形となりそうだが、不確定要素は層が厚くなった中盤の構成。シーズン最初の3つのトレーニングゲームでフラット、ダイヤモンド、ボックスとそれぞれ試し、選手の適正をチェック。その後のトレーニングゲームでもそうした見極めは続けられていて、選手個々の長所を最大限に引き出せる組み合わせが最終的に選択されることになる。守備を重視するならボランチを2人置くフラットまたはボックス型、攻撃重視ならダイヤモンド型といいう使い分けが考えられる。ここではダイヤモンドと考え、11人の選択を考えてみた。 
GKは桜井繁と清水健太、どちらも遜色はない。DFは昨シーズンの主力をそのまま当てはめてよさそうだ。大塚真司が抜けたボランチには渡辺匠や高林佑樹がいるが、トレーニングゲームではさらに数名を試している。トップ下の第1候補はやはり財前宣之。ここでは右サイドで予想した永井篤志をトップ下にするオプションもある。2トップの組み合わせも、最後まで頭を悩ませるところだろう。トップ下がいなければポストのできる氏原良二、阿部祐大朗という選択もあるが、ここでは2人ともスピードを活かし裏へ飛び出せる選手をチョイスすることになると考え、レアンドロと林晃平と予想した。  

Reported by 佐藤円


2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
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