2000年から5シーズン続いたトニーニョ・セレーゾ監督が去り、率いていたサンパウロFCを2005年世界クラブチャンピオンシップ王者に引き上げた名将・アウトゥオリ監督が新たに就任した鹿島アントラーズ。シルヴァン・フィジカルコーチも加入するなど、今季は新体制に王者奪回に挑む
2005年は開幕からダントツの強さを発揮しながら夏場以降失速し、ガンバ大阪にタイトルをさらわれてしまった。その悔しさをチーム全体が忘れていない。「一新制覇」の新テーマを掲げ、ここ数年なしえていない優勝を是が非でも勝ち取る構えだ
とはいえ、日本代表クラスを積極補強したG大阪や名古屋、あるいはJ2に降格したチームから多くの選手を引き上げた大宮らに比べると、今季の鹿島は選手補強が少ない。新加入もU-19代表の内田篤人ら高校生3人だけ。逆に日本代表として豊富な実績を持つ鈴木隆行をセルビア・モンテネグロの名門レッドスターに出してしまった。イタリア・セリエAのメッシーナで出場機会に恵まれていない柳沢敦が復帰する可能性はあるものの、3月5日のJ開幕に間に合うかどうか微妙なところ。日本代表の小笠原満男、本山雅志も開幕までほとんどチームに合流できない。世界的名将としても頭の痛い状況だろう
それゆえ、若い選手たちの台頭に期待したいところ。昨シーズン前半の勝負どころでゴールを量産した野沢拓也、後半の苦しい時に流れを変えた深井正樹らFW陣は特にさらなる飛躍が求められるところ。小笠原や本山の穴を埋めるべく増田誓志、興梠慎三ら20歳前後の選手たちのブレイクにも注目したい。さらに昨年ケガから復帰した羽田憲司、すでに5年目を迎えるのに出場機会が少ない石川竜也ら中堅の選手たちもここで壁を破りたいところ。選手育成にもチーム作りにも定評のあるアウトゥリオ監督のことだ。このあたりの問題はしっかり解決してくれるだろう
新生・鹿島が果たしてどんなチームに生まれ変わるのか。世界クラブ一のタイトルを得た敏腕指揮官の采配はどんなものなのか。今年の鹿島は非常にわくわくする
【注目の新戦力】
今シーズンの鹿島は指揮官の交代という大掛かりな変更があったものの、新戦力に関しては高卒の新人3人を補強し、田中康平をモンテディオ山形から戻すのみにとどまった。リカルジーニョが抜けた後、3人目の外国籍選手もまだ決まっていない
補強選手を見ていくと、1人目は鹿島ユースでキャプテンを務めていた攻撃的MF大道広幸。テクニックと状況判断力、得点能力にも優れた選手だが、すぐにトップチームで活躍するのは難しそうだ
2人目は地元・鹿島学園出身のストライカー・佐々木竜太。鹿島ジュニアユースから鹿島学園に進み、高校選手権でも活躍した。180cmの高さを生かしたポストプレーを武器とする選手だが、彼もまた即戦力ではない
いきなりレギュラーをつかむとすれば、最後の1人だ。その選手は内田篤人。清水東高から加入した右サイドのスペシャリストだ。2004年にはジュニアユース代表で活躍。昨年はUー18アジアユース1次予選にも出場。吉田靖監督率いるユース代表の中心選手の1人である。ベテラン名良橋晃との競争に勝つことができれば、いきなりのJデビューもありえるだけに楽しみだ
【日本代表へイチオシ】
●DF3 岩政大樹
トニーニョ・セレーゾ前監督にも、反町康治・新潟前監督にも「日本代表に入るべき」と認められたのが岩政大樹だ。昨シーズンはリーグ戦31試合出場し4ゴール。夏場に出場停止で3試合を欠場した以外はフルに働き、チームに貢献した。大岩剛とともに最終ラインを統率し、完全に鹿島の顔の1人に君臨するようになった
身長187cm・体重85kgという日本人離れした体躯を生かした競り合いの強さ、当たりの激しさが彼の最大の武器だ。日本人の場合、体が大きくなると敏捷性で見劣りするケースが多いが、岩政はそういう弱点がない。1対1にも強く、冷静に状況を判断するクレバーさも併せ持っている
今の日本代表を見ると、185cm以上の高さと強さを併せ持つDFは中澤佑二(横浜)しかいない。2006年ドイツワールドカップで対戦するオーストラリア、クロアチアはいずれも平均身長185cm以上。この高さと互角に対峙するには岩政のような選手が必要だ。ジーコ監督には今からでも彼にチャンスを与えてもらいたい。2006年ドイツ大会出場が叶わなかったとしても、その後は彼が日本代表の軸を担っていくだろう
【開幕時の布陣予想】
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となるとGKの曽ヶ端準、最終ラインのセンターを担う岩政大樹、大岩剛は不動だろう。左サイドも新井場徹と石川竜也の争いになるが、新井場の有利は変わらない。動きがあるとすれば右サイドか。34歳のベテラン・名良橋晃はケガがちで、昨年も以前のような勢いが感じられなかった。そんなライバルのスキをついて一気にレギュラーを奪おうと意気込むのが新人の内田篤人。ユース代表でも不動の右サイドに君臨する男はチームを大きく変える存在になるかもしれない
中盤は昨年実績を積んだ増田誓志ら若手も伸びてきている。が、やはりボランチのフェルナンドと青木剛、2列目の本山雅志と小笠原満男の存在感は大きいといえる。本山と小笠原が日本代表で開幕までほとんどチームに合流できないマイナス面はあるものの、昨年まで積み重ねた連携は簡単に揺るがない
そしてFW陣はやや激戦か。アレックス・ミネイロは頭角として、そのパートナーは野沢拓也か深井正樹か。鈴木隆行がレッドスターへ移籍し、代わって柳沢敦がメッシーナから戻る可能性もある。現時点では野沢が一歩リードだが、果たしてどうなるのか
reported by 元川悦子
2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
















