4年間指揮をとってきた原博実監督から、ブラジル人のガーロ監督になり新しいチームへと生まれ変わろうとしているF東京。「若手」と言われる選手たち(梶山陽平、栗澤僚一、馬場憂太選手ら)の成長が結果として表れつつあった昨シーズン終盤。今シーズンは、その成長した選手たちの「チームの軸」としての活躍が期待される。チームのスローガンには「お互いを信頼して、勇気をもって挑戦していくというチームの戦い方、気持ち」を表現した『Ousadia〜信頼・勇気・挑戦』という言葉が発表された。
ガーロ監督はキャンプ中、考えられるシステムの中で、いろいろな選手を組み合わせ、選手個々の見極めをしながらチーム作りを進めた。「現段階ではいくつかの戦術を試している。キャンプを通してチーム全体の連係がよく取れるようになってきた」と終了時には手ごたえを口にした。基本的な4-4-2に加え、FWを3人にする形もキャンプ終盤には多く試しており4-3-3という形もフィットしつつあるようで、FWの阿部吉朗選手もキャンプ終了時に「日々、攻撃のパターンが増えている実感がある」と話した。26日に予定されている甲府とのプレシーズンマッチで最終的なチェックをして開幕を見据える。
ひとつ注目したいのは、ガーロ監督が4バックの左に鈴木規郎選手を指名したこと。昨シーズンも何度か経験しているポジションではあるが、それはひとつの「オプション」だった。今シーズンはそれが固定となりそうで、鈴木選手の抜群の攻撃力を活かしたチーム作りが進められている。そして、昨シーズンまではなかなか出場機会に恵まれなかった宮沢正史選手のプレーもF東京サポーターにとっては期待が高まるところだ。
しかし、気になるのが現段階で、今野泰幸、石川直宏、栗澤、馬場、戸田光洋、土肥洋一選手など昨シーズンのレギュラーメンバーが多く故障中であること。次々と発表される「負傷のお知らせ」には少し不安を覚えた。加えて、W杯イヤーである今シーズンは、日本代表でもある茂庭照幸、土肥選手がチームを離れることが多くなる。それだけに新加入選手や昨シーズまで試合に出られずにいた選手たちのピッチでの輝きに期待を込めたいシーズンでもある。
ガーロ監督体制で臨む、新たなF東京のスタートに大いに注目したい。
【注目の新戦力】
●DF 25 徳永悠平
今シーズンは、GK柴崎貴広(横浜FC)、DFに松尾直人(神戸)・徳永悠平(新卒)、MFに池上礼一(新卒)・伊野波雅彦(新卒)、FWに川口信男(磐田)・赤嶺真吾(新卒)・小澤竜己(新卒)という8人を補強したF東京。川口、松尾選手といったJリーグでの経験豊富な選手はもちろんだが、新加入選手も徳永、伊野波選手といった即戦力と考えられるメンバーが顔をそろえた。
中でも特に注目したいのは、「どこのクラブに行くのか!」と、その獲得時からJリーグの多くのクラブから注目が集まり、かつて早稲田大2・3年時の2003・2004年には特別強化指定選手としてF東京でプレーした経験を持つ徳永選手だろう。日本代表で、昨シーズンの不動のレギュラーだった加地亮選手のG大阪への移籍はチームにとってマイナス要因とされるところだが、特別強化指定選手だった当時、その加地選手とのポジション争いをした上で試合に出ていた徳永選手(通算リーグ戦14試合、カップ戦6試合出場)。そしてU-23日本代表でアテネ五輪にも出場した徳永選手の力は実証済み。今シーズンのF東京の鍵を握る新加入プレイヤーとして名前をいちばんに挙げたい。
【日本代表へイチオシ】
●MF 6今野泰幸
現在は故障中ではあるが、「日本代表へイチオシ」するなら、やはりこの人「今野泰幸選手」だろう。これまでも既に招集されて試合出場の経験もあるものの、まだこれからその「激戦区」に入り込もうとしているところ。プレーの質、スタミナなどを絶賛される今野選手だが、加えてその性格「負けず嫌いっぷり」も魅力のひとつ。F東京の戦いにおいてもその「勝利へのこだわり」は、90分を通して最後の最後まで「絶対に勝ちたい!負けたくない!」という気持ちが彼のプレーからも伝わってくる。1日も早い復帰を願いたい。
●MF 23 梶山陽平
●MF 19 伊野波雅彦
●DF 5 増嶋竜也
さらに下の世代で見ると、梶山、伊野波、増嶋竜也選手など五輪を目指す世代が多いのもF東京の魅力のひとつ。昨年のFIFAワールドユース選手権オランダ大会終了時に、五輪代表へ招集の条件として「それぞれのクラブで試合に出ていること」と言われたという彼らにとって、「チームでの活躍なしには、その先の代表がない」という意識は強いだろう。昨シーズンから既にチームでレギュラーポジションを得ている梶山選手、終盤は特になかなかチャンスを得られず苦しい思いをしてきた増嶋選手、そして新加入の伊野波選手と置かれている状況はそれぞれだが、彼らの奮闘もF東京の今シーズンを大きく左右するとも言えるだろう。
【開幕時の布陣予想】
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DFに関しては、鈴木、徳永の両サイドに期待大。DFの軸である茂庭選手が日本代表からチームへ合流するのが開幕直前でもあることなどから、増嶋選手、前田和也選手という現段階で練習試合などでもスタメンでプレーしている2人が開幕でスタメンに入ることも考えられる。ガーロ監督がどう選択するかも注目だ。中盤では宮沢選手、梶山選手、伊野波選手という組み合わせがほぼ固定されてきている。FWはここまでの練習試合からササ、ルーカス、阿部選手の3トップの形が有力。ここに新加入の小澤選手が途中から投入されるタイミングにも注目していたい。しかし、開幕まではあと10日以上あるわけで…開幕まではその動向から目が離せない。
Reported by 日々野真理
2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
















