今季のスローガンは「さらなる挑戦」。昨季終盤は驚異的な追い上げを見せて最終節を前に首位へ浮上、タイトル争いを大いに盛り上げた。が、あと一歩のところで及ばなかった。その雪辱を期して掲げられたのが冒頭のスローガンだ。優勝に迫りながら成しえなかったのはなぜなのか、足りなかったものとは…? その「何か」を見つけ克服すること、そして昨年以上の成績をおさめることがチーム全員の共通認識だ。
小林伸二監督が引き続き指揮を執り、メンバーも昨季から大きな変動はないことから、戦い方のベースは変わらない。ブルーノ・クアドロスを中心とした堅い守備からボールを奪ってサイドに展開。少ないパスで前にボールを運んで、西澤明訓、森島寛晃、古橋達弥のコンビネーションでゴールを陥れる、というのがパターンだ。ただ、昨季の反省として「相手に引かれた場合、特に4バックで守ってくるチームに対しては苦戦した。そういうときにも点が取れるオプションが必要になる」と小林監督。「西澤頼み」の感があった昨シーズンの反省から、場合によっては2トップのオプションも考えているという。湘南から獲得した柿本倫明、大学ナンバーワンFWの小松塁(関西学院大)、全国高校選手権で活躍した森島康仁(滝川二高)とタレントは揃う。「昨季以上」の実現に向け、小林監督の腕のふるいどころだろう。
ほぼ昨季同様のメンバーで戦えるのは大きなメリットだが、躍進の原動力となったボランチのファビーニョと右サイドの久藤清一が移籍。この2つのポジションについては、小林監督も思案しているようだ。ボランチについては、宮崎キャンプの2試合(対福岡、対川崎F)と京都とのプレシーズンマッチに河村崇大と下村東美のコンビを起用。キャンプ中の2試合ではバランスの悪さが目立ったが、2月19日のプレシーズンマッチ(対京都)では懸念が見事に解消されていた。厳しくボールにいく河村、うまくボールを散らして攻撃の起点になった下村と、両者ともに持ち味を見せた。右サイドについては、東京Vから移籍の山田卓也か新外国籍選手のピンゴのいずれかがスタメンになりそうだ。
加入3年目の古橋がキャプテンに就任し、チームには世代交代の気配が感じられる。森島寛や西澤らこれまでチームを支えてきたベテランたちに加えて、新しい戦力が名乗りを上げられるかどうか。タイトル獲得を目標にしつつ、チーム全体の底上げを図れるかどうか。小林監督にかかる期待は昨年以上に大きい。
【注目の新戦力】
今季の補強の意図は実に明確だった。補強すべきポジションをボランチと右サイドに絞って山田、ピンゴ、河村という3人のユーティリティプレーヤーを獲得。もちろん全員が即戦力で、小林監督は「特にボランチのポジション争いは厳しくなるはず」と断言する。
山田は東京Vではキャプテンを務めたベテラン。チームに合流した直後から、積極的に周囲の選手に声をかけ、新しいチームに溶け込もうとする姿が印象的だ。ピンゴはスピードとパスワークが持ち味の選手。いかに早く日本のサッカーになじむかがカギになるだろう。出場機会を求めて磐田から期限付き移籍してきた河村は、「ひとつ先のプレーを描ける選手」(小林監督)として期待されている。
彼ら3人の活躍次第で、チーム力は飛躍的に上がるだろう。そして、即戦力にはならないかもしれないが、8人ものルーキーが加わったことも象徴的な出来事だ。それぞれに特長を持ったポテンシャルの高い選手が揃っているだけに、今後の成長ぶりをぜひチェックしていきたい。
【日本代表へイチオシ】
●MF 9 古橋達弥
C大阪から次に日本代表入りするのは…ずばり、古橋と予想(希望)する。2004年7月にJFLのHonda FCから移籍加入し、即レギュラーを獲得。西澤、森島寛という日本代表クラスの選手とすんなりコンビを組むあたりは大器を予感させたが、それが的中。チームに欠かせない存在になった昨季は、負傷欠場した6試合を除いてリーグ戦28試合にフルタイム出場、Jリーグベストイレブンの栄誉も手にした。
「日本代表に呼ばれるのは時間の問題だろう」と森島寛が話したように、昨年末ごろから「待望論」も出始めている。本人は、「同じポジションには海外でプレーするすばらしい選手が多いし無理でしょう。自分ではまったく考えられない」と言うが、キックの精度、シュート力、相手の裏を突く動きなどはリーグトップレベル。さらに今季はキャプテンとしてチームを引っ張る役割も担うことになり、その存在感は増大する一方だ。森島寛、西澤、大久保嘉人と攻撃のタレントを代表に送り出してきたC大阪。次に選ばれるのは、古橋こそふさわしいのではないだろうか。
【開幕時の布陣予想】
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ポジション争いが注目されるボランチは、昨季大きく成長した下村と新戦力の河村のコンビが有力。当初はコンビネーションが心配されたが、キャンプを通じて話し合いを続け、互いの特長を生かせるようになった。両サイドはやや流動的か。キャンプ中に負傷したゼ・カルロスの回復が遅れるようなら、徳重隆明の先発が有力。昨季はケガに泣いた徳重だが、今季はコンディションがよく京都戦でもいいパフォーマンスを見せた。一方の右サイドについては小林監督も頭を悩ませている様子。山田とピンゴは持ち味が違うだけに、どちらがポジションをつかむか注目される。前線の3トップの顔ぶれは変わらないだろう。ただ西澤が慢性的なケガを抱えていることもあり、今後2トップのオプションも含め、新戦力や若手がメンバーに入ってくるかどうかが見どころになる。
Reported by 横井素子
2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
















