「トップ5、勝点50以上」と、長谷川健太監督が初めて数値目標を掲げた今季の清水。ゴール数に関しても、得点がプラス10(昨季は40得点)、失点はマイナス10(昨季は49失点)とじつに具体的だが、長谷川監督は十分な根拠の基にそれらの数字を出している。その自信の裏には、「昨年1年でチームのベースはある程度できた」という確実な手応えがあり、そこを基盤として今季はより上に積み上げていくチーム作りに入っている。また、監督の頭の中には3年目で優勝を狙うという3年計画があり、今年はその2年目として、次のステップに移行できる位置につけるという意味での「トップ5」だ。
実際、予想される今季の基本布陣の中で、ボランチから後ろのメンバーは昨季の第30節からほぼ固定されており、以降は9試合で9失点と安定している。その堅守をベースに、2年目の青山直晃がさらに成長し組織的守備の精度がより高まってくれば守備面での目標達成は可能性が高いように思える。守備の見どころとしては、まずチーム全体の組織的な守りによって、相手にチャンスの糸口を与えないという部分ができているかどうか。さらに、チャンスを作られたとしてもゴール前でしっかり身体を張って守れているかどうか。そのあたりをチェックしてみたい。
攻撃面では、2月19日のプレシーズンマッチ磐田戦を見ても、ボールを奪ってから素早くパスをつないでサイドから攻めるという形がしっかりと定着していた。チャンスは作れるはずなので、あとはラストパスやフィニッシュの精度という部分になるが、こればかりは未知数な面がある。中盤には正確なパスを出せる選手が揃っているので、とくに最後の決定力という部分が課題となりそうだ。もちろん、マルキーニョスの決定力は十分だが、彼が全試合良いコンディションでプレーできるとは限らないため、その他の選手の頑張りも必要不可欠となる。とくに韓国代表のチョ ジェジンへの期待は大きく、その他にもベテランの久保山由清、急成長してきた2年目の岡崎慎司や財津俊一郎、そして早稲田大学から加入した矢島卓郎と、期待したい選手は多い。また、決定力の面で成果が出なければ、1人余っている外国籍選手枠を利用するというオプションもあるが、サポーターの気持ちとしては今いるメンバーでしっかりと結果を出してほしいという思いが強いだろう。
プレシーズンの準備は、大きなケガ人もなく順調に進んでおり、自信を持って開幕に臨めるはず。昨年からの継続性が高いという部分で、チームを作り直しているところに比べてアドバンテージがあり、開幕戦で良い結果を出せれば波に乗って一気にスタートダッシュする可能性も十分にあるチームと言えるだろう。
【注目の新戦力】
●MF 10 藤本淳吾
注目の新戦力といえば、何と言っても清水の10番を澤登正朗から受け継いだ藤本淳吾。中村俊輔(セルティック)の母校・桐光学園高から筑波大に進んでその才能を開花させ、昨年のユニバーシアードでは司令塔として日本を3連覇に導き、大会MVPと得点王にも輝いた逸材だ。多くのチームから熱心な誘いを受けたが、「健太さんのもとでサッカーをやりたい」と清水を選んだだけに、首脳陣の期待も非常に大きい。
偉大な先輩・中村と同じレフティーという意味でも比較されることがあり、視野の広さや技術の高さは共通するが、フィジカル面では中村を上回る部分も多い。また、左足からの正確なパスによるチャンスメイクだけでなく、自ら点を取る意識も高く、強くて精度の高いミドルシュートが清水の新しい武器となるはずだ。昨年、特別強化指定選手として清水でプレーしていた(ナビスコカップで1試合出場)こともあってチーム戦術も十分に理解しており、開幕からがっちりとレギュラーの座をつかむ可能性は高い。初めてのプロリーグに向けても「やれる自信はあるので、あとは最後のところの精度を練習で詰めていって、結果を残せるように頑張りたい」と頼もしい発言。実力を十分に発揮することさえできれば、間違いなく有力な新人王候補となるはずだ。
【日本代表へイチオシ】
●DF 26 青山直晃
少し先の話になるかもしれないが、将来の代表候補としてイチオシしたいのは、センターバックの青山直晃。前橋育英高から昨年清水に加入した19歳だが、バランス良く筋肉がついた身体つきは、とても高校を出たばかりとは思えない。もちろん、プレー中の身体の強さも見た目通りだが、青山のすごいところは、それでいてジャンプ力も素晴らしく、さらにスピードのあるFWにも十分に対応できること。昨年6月のFIFAワールドユース選手権オランダ大会にはU-20日本代表選考から漏れたが、その後の成長は目覚ましく、終盤は元日本代表の斉藤俊秀や森岡隆三らが健在の清水で、がっちりとポジションをつかんだ。
とにかくヘディングの強さは抜群で、リーグ戦の初出場(29節名古屋戦)でいきなりセットプレーから頭でゴールを決めてスタメンに定着し、守備でも高さのあるFWに次々と競り勝ち、最終節(広島戦)でもヘッドで自身2点目を決めている。そうして自信を手にした青山は、天皇杯準優勝にも大きく貢献。今年もケガさえなければ開幕スタメンは堅いところだろう。
経験が重要なポジションなので、いきなり日本代表というのは難しいかもしれないが、少なくともこのまま順調に成長し、清水でレギュラーを確保していければ、2008年北京五輪代表の有力候補となるはず。当然その先には、2010年ワールドカップ南アフリカ大会が視野に入ってくる。
【開幕時の布陣予想】
![]() |
システムは、2列目がワイドに開く4-4-2で、ボランチは伊東輝悦が守備的、枝村匠馬が攻撃的と役割がある程度はっきりしている。トップ下の中央が空いているが、そこには枝村が上がったり、藤本や兵働昭弘が中に入ったり、2トップのどちらかが下がったりと、流動的に使うスペースとなっている。
バックアップに関しては、中盤には平松康平、高木純平、太田圭輔、杉山浩太、佐藤由紀彦、山本真希と力のある選手が揃っている。DFラインにもベテランの斉藤、森岡が控え、森岡は左右のサイドバックもこなせるという意味で貴重な存在。また、和田拓三、岩下敬輔、平岡康裕らの若手も力をつけており、GKにも神戸からベテランの掛川誠を獲得して、中盤から後ろには不安が少ない。
FWに関しては、前述のように若手のブレークに期待したいところ。長谷川監督は交代出場で結果を出せるジョーカー的な存在を欲しており、そういう選手が現われるかどうかはチームにとってもかなり大きな意味を持ちそうだ。
Reported by 朝比奈 穣
2006開幕直前 クラブ別キャンプ・戦力分析レポート
















