3月4日(土) 2006 J2リーグ戦 第1節
鳥栖 0 - 1 札幌 (14:04/鳥栖/15,572人)
得点者:'65 フッキ(札幌)
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昨季、鳥栖スタジアムでの最終戦と同じ組み合わせになった開幕戦。雪辱を果たすべく鳥栖は、入念に事前の準備を行ってきた。その結果、中盤でのボールの支配率は鳥栖に分があり、流れは圧倒的に鳥栖に傾いていた。
「今日のゲームは選手にとって自信となる試合だった」と松本監督は会見で述べた。対する札幌柳下監督は「基盤となるサッカーができていなかった」とコメントした。
しかし、勝者は札幌であり、敗者は鳥栖であった。
前半6分、鳥栖がゴール前30mの位置でFKを得た。キッカーは今季から加入した尹晶煥。言わずと知れた2002W杯日韓大会の韓国代表である。ピッチ上にいる誰もが、右足でファーポストに走りこむ金裕晋か鈴木に合わせるものと考えていた。しかし、尹には札幌ゴールの右サイドにわずかな隙を見て取れた。迷わず狙って蹴ったが、わずかにポスト横を抜けてしまった。枠さえ捉えていればGK林の手は届かなかったであろう。このFKを反対側の鳥栖GK田中はどのように見ていたのだろうか。リーグ戦初出場となった田中には、『先制点の絶好のチャンスを失った』と見えたかもしれない。
これと同じようなシーンが、65分に訪れた。
キッカーは、札幌のフッキ。今季川崎Fから加入したFWの選手である。ゆっくりとボールをセットしている間、合わせる選手を確認していた。その間、鳥栖GK田中は壁の位置を指示していた。壁は鳥栖ゴールに向かって左から、濱田・尹・山城の3枚が入った。決して大きな壁ではないが、ニアのゴールコースを消すように並べた。田中の脳裏にはフォアサイドの曽田や関、石井のヘディングがあったに違いない。フッキがステップを踏み始めたと同時に田中がフォアサイドに重心をずらした。このわずかな動きをフッキは見逃さなかった。濱田と尹の間を抜けたボールは、見事な弧を描いてゴール隅に蹴り込まれた。
試合後、フッキは「センタリングを狙おうとしたら、GKが動くのが見えた」とハッキリ言った。GK田中が、前半6分のシーンを脳裏に残していれば、フッキは直接狙わなかったかもしれない。両チームに訪れた同じようなところからの先制点のチャンス。生かしたのは札幌であり、勝ち点3を失ったのは鳥栖である。
ハーフタイムコメントで「ちょっとした隙やセットプレーで変わるから、そこを頑張ろう」と指摘していた松本監督には、悔やんでも悔やみきれない時間帯であったことだろう。
それまでも鳥栖は、積極的にボールを奪いにかかり、左右に散らして札幌にサッカーをさせていなかったから尚更である。2分には金裕晋のヘディング、14分には山城のヘディング、そしてロスタイムの新居の左足のシュートがGKの正面を突いた不運もあるが、札幌のペナルティエリアまでは見事なパス回しで運んでいた。札幌はフッキを狙うカウンターを多用していたことから、どちらが狙ったサッカーをしていたかは明白であった。しかし、勝ち点3は札幌に入り、鳥栖は得ることが出来なかった。
「今季、一番出来の悪いサッカー」と評した柳下監督と「次につながるゲーム」と評した松本監督。48試合の中では、このようなこともあるのだとサッカーの神様は両チームの選手に教えてくれた。相手より多くの得点をあげるか、相手より失点を少なくするしか勝ちは訪れない。二つのFKがサッカーの面白さと辛さを、この日スタジアムに集まった15,572人のサッカーファミリーに見せてくれた。
48試合の長期シーズンの中で、同じようなチャンスで勝敗を分ける試合はめったに見ることは無いだろう。
サッカーは本当に面白い。
以上
2006.3.04 Reported by サカクラ ゲン
J’s GOALニュース
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