3月5日(日) 2006 J1リーグ戦 第1節
広島 3 - 4 鹿島 (15:06/広島ビ/17,564人)
得点者:'22 小笠原満男(鹿島)、'33 ウェズレイ(広島)、'38 柳沢敦(鹿島)、'39 佐藤寿人(広島)、'43 柳沢敦(鹿島)、'71 柳沢敦(鹿島)、'82 ウェズレイ(広島)
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2人の「J復帰組」が、この試合の主役だった。
まず、日本代表・柳沢敦。2003年7月5日 対磐田戦以来の鹿島復帰となった柳沢は、 持ち味のチャンスメイクよりもまず、ストライカーとしての凄みを見せつける。開始早々のオープニングシュート、3分にニアポストに飛び込んではなったダイビングヘッドは「彼らしくない」と表現したくなるほど。シュートへの強い気持ちは、柳沢のJ復帰にかける象徴ではなかったか。
しかし、彼よりも先にゴールネットを揺らしたのは、広島に加入したもう1人のJ復帰組・ウェズレイだった。ちょうど1年前の昨年3月5日、J開幕戦の名古屋対千葉戦に出場し1得点をあげて以降、2003年J得点王ウェズレイはJの舞台から遠ざかっていた。その間、名古屋を離れてブラジル帰国など厳しい現実に直面してきた「猛犬」だったが、その破壊力はいささかもさびついてはいなかった。鹿島にPKで先制された11分後、森崎浩司との見事なアイコンタクトから素早いリスタートを引き出し、あっという間にDFラインを抜け出して同点ゴールを叩き込んだのである。
その5分後。今度は柳沢だ。マーカーのジニーニョの視界からうまく消えると、呼びこんだ青木のクロスをうまく合わせてゴール。ウェズレイ同様、「Jでは2試合連続」となる復帰ゴールを決めた。
ここからはまるで、両チームがノーガード戦法をとったかのよう。柳沢と同じ日本代表の佐藤寿人が2人のDFの間をうまくすりぬけて同点ゴールを叩き込めば、43分に再び柳沢が鹿島の見事なパスワークのトリを飾るクールなシュートを流し込む。前半だけで両チーム合わせて5点入るという展開を、いったい誰が予想しただろう。
後半、李を入れて中盤を活性化させた広島がまずペースを握る。3分には小村、4分には服部がそれぞれ決定的シュートを放つ。どちらもウェズレイのCKから導きだされたもので、彼の存在は間違いなく広島の攻撃に迫力を与えていた。
その後も流れは広島。服部の左クロスを起点として、佐藤寿・ウェズレイの2トップが鹿島に圧力を与え続ける。しかし、押し込んだ時にこそピンチは背中にまで迫ってきているものだ。
68分、鹿島がカウンターでチャンスをつくり、CKを取る。久しぶりに得たチャンスに、エンジ色の背番号13の背中は震えた。小笠原のCK。処理しようとした広島GK下田が一瞬足を滑らせた隙を突いた青木のヘディングシュートはポストに。一瞬、静かになったビッグアーチ。しかし、そのこぼれ落ちた先にいた柳沢は、思い切ったバイシクルシュートで勝負に出た。ボールは逆サイドのネットにゆっくりと吸い込まれた。1998年5月5日 対磐田戦以来、自身3度目となるハットトリックを決めた柳沢は、満面の笑顔でチームメイトたちにもみくちゃにされた。
これで、2-4の2点差。しかし、広島の「猛犬」はあきらめない。82分、李の見事なクロスに飛び込んでシュートを突き刺したウェズレイは、サポーターをあおって雰囲気を盛り上げる。87分、駒野がペナルティエリア前でファウルを受けた時、興奮は最高潮に達した。キッカーはもちろんウェズレイ。決めれば同点、そして柳沢と同じハットトリックの達成だ。しかし、そのムードにさすがのウェズレイも堅くなってしまったのか。いつものキックの精度を欠き、ボールはバーの上。試合はそのまま、終了した。
柳沢とウェズレイ。J復帰に燃える2人のストライカーが、持てる力を満天下に見せつけた試合だった。鹿島サポーターは「アレックス・ミネイロが調子をあげれば、柳沢と2人で何点とれるか」という夢を見るだろうし、広島サポーターは「寿人とウェズレイのコンビが熟成すれば、J最強の2トップになるかも」と希望を語るだろう。鹿島の勝利に終わったこの激戦ではあるが、それぞれのチームが結果以上の手応えをその内容から感じたはず。そういう意味では、両チームにとって非常に貴重な90分の激闘だった。
以上
2006.03.05 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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