3月5日(日) 2006 J1リーグ戦 第1節
甲府 0 - 2 清水 (13:00/小瀬/14,277人)
得点者:'14 チョジェジン(清水)、'81 枝村匠馬(清水)
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遂にやって来た甲府のJ1元年のファーストゲーム。小瀬スポーツ公園陸上競技場には試合開始数時間前から多くのサポーターが駆けつけ、付属の大型駐車場は早くから満車。それを見越して、公共施設や空き地を利用した無料、有料の臨時駐車場が複数用意された。そしてスタジアムに辿り着けば、昨年の横浜FC戦でのカズ・フィーバーを遥かに凌駕する観客が長い行列を作っており、甲府のJ1開幕戦に対する注目度の高さを証明していた。
対戦相手が富士山を挟んで南側に位置する清水ということもあり、富士山ダービーとなった甲府のJ1開幕戦。試合前にレフティ・モンスター・小倉隆史の引退セレモニーが行われたのだが、清水サポーターからも「オグラ」コールが起こった。また、小瀬のスタジアムDJが清水サポーターに敬意を払ったアナウンスを行えば、これにも清水サポーターは応えてくれた。ボクサーが試合前にグローブを合わせるように、お互いのサポーターが敬意を払って試合に臨むことが出来た。試合開始からブーイング合戦になることも少なくないが、応援は熱いが真摯な清水サポーターと甲府サポーターだからこそ醸し出せた雰囲気かもしれない。
甲府のキックオフで始まった開幕戦、共に早いアプローチでボールを奪う中盤の主導権争いから始まった。お互いにDFラインはセーフティにボールを捌く。清水の強力FWに対して、センターバックのアライール、ビジュは厳しいマークで起点を作らせなかった。そして時間と共に、バレー、長谷川、宇留野を擁する甲府の攻撃が清水のサイドを切り裂いていく。新加入の宇留野は広いエリアを自由に動き、思いっきりのいいクロスを何本も上げるなど、今後に期待が膨らむプレーだった。また、右サイドのバックの杉山は高い位置に上がり、ディフェンスラインの裏に走りこむバレーにタイミングよくスルーパスを出し、ジーコ日本代表監督に見せたいほど得点の匂いをプンプンさせた。
しかし、14分に恐れていたことが起こる。宇留野の顔に相手ボールが当たり、一旦ピッチから出て治療を行っていた時、宇留野のプレッシャーから開放された清水左サイドバックの山西が、チョにロングパスをタイミングよく入れる。オフサイドラインをかわしたチョに甲府のマークが一瞬外れ、チョの背中を追う形となり、そのまま左足でゴールを決められてしまう。攻めながらも1本のロングパスで失点を許すという課題は、昨年から持ち越した形となった。
しかし、失点後5分ほどは受身になったがすぐにリズムを取り戻した点は評価していいだろう。勢いではなく、力があることの証明だ。前からの積極的なアプローチと、奪った瞬間の切り替えの早さとタッチ数の少ないパスでチャンスを作るサッカーは見ていて面白い。点が入ればもっと面白いのだが、チャンスは作っても点には繋がらなかった。最後の最後では守られてしまう。
「GK西部のビッグセーブ。忍耐強さ(長谷川監督)」、「シュートを打てない思いっきりのなさ。クロスに対する反応の悪さ(大木監督)」という双方から見た要素があるが、決定力は一朝一夕に解決する課題ではない。
後半になると、清水が高さとサイドチェンジを活かして内容的にも追い上げてきた。お互いにフレッシュな選手を投入しながら得点の機会を掴もうとする中で、甲府の長谷川のプレーが目立ち始める。一瞬でマークを外してしっかりとクロスを上げるところはさすが。ただ、前半同様に最後の最後は清水に身体を張って守られてしまう。ロスタイムにも決定的なチャンスもあったが、打ち切れなかった。
結局は81分、清水・高木純平からのパスを枝村に決められて追加点を許し、0-2で敗れた。内容がよかっただけに、甲府にとっては悔しい結果だ。しかし、昨年のことを考えれば、まったく悲観する必要はないだろう。「(勝ち負けがある中で)最終的には右肩上がりの成長を見せないと駄目だ」と大木監督が言い続け、最終的にはシーズン最強の状態でJ1・J2入れ替え戦に勝った甲府。開幕戦には負けたが、最終的には右肩上がりの成長を見せてくれる雰囲気を充分に感じることが出来た。これが甲府の戦い方だ。年俸数千万円という選手が揃うチームに、甲府のやり方で太刀打ちするには今のやり方を継続して、プレーの精度を上げていくのが最良の方法だろう。選手のコメントにもその意識は感じられた。
一方、開幕戦で勝点3を挙げた清水は、結果としては最高のスタートを切った。引き分けが続き、勝点3を追いかけた昨シーズンのような焦りから開放されるだけに、選手の気持ちも楽になったはずだ。ただ、5位以内という目標を掲げている以上、試合内容的にはかなり厳しいものがあると言わざるを得ない。この勝利が、次節以降の内容に繋がっていくのか注目だ。
以上
2006.03.05 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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