3月18日（土）J2 第3節 水戸 vs 湘南（14:00KICK OFF/笠松）
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今季初勝利を挙げた前節東京V戦後、湘南・上田監督はロッカールームのホワイトボードに「一喜一憂するな」と書き込み、選手たちの気を引き締めさせた。「まだまだ先は長いし、結果に一喜一憂していたら目標を見失う」と力強くその理由を説明した。

1勝1分と好調なスタートを切った両チームだが、ともに現状に「一喜一憂」する様子はない。「前節はギリギリ勝っただけ。いっぱい修正するところがある」と水戸・秦が言えば、「まだはじまったばかり。足元を見失わないように精神面のベースを高くしていきたい」と湘南・加藤が話す。ともに前節は勝利したものの、試合内容は劣勢を強いられ、水戸はセットプレーから、湘南はカウンターから得点を決めるという薄氷の勝利だっただけに今節は相手を圧倒して勝利を挙げ、確固たる自信をつかみたいところだ。

だが、互いの監督とも対戦チームを「ウチのチームに似ている」と分析しており、「ガチンコになるでしょう」と前田監督が予想するように実力の拮抗した展開となるだろう。両監督の挙げる類似点とは1勝1分の戦績や前節の戦い方だけでなく、「メンバーが昨年と大幅に変わったこと」と「コンパクトな守備から速い攻撃を仕掛けること」だという。そうした相手に勝利を挙げることについて「駆け引きが必要となってくる」と水戸・時崎は見る。「いかに向こうに攻めさせて、裏のスペースをつくれるか」。お互いの出方を牽制し合い、一瞬の隙を突き合う緊張感の溢れたスリリングな展開になることだろう。

そして、この試合で注目なのが、水戸の時崎、湘南の須田とファビオ（北島は欠場予定）が古巣相手にどんなプレーを見せるかというところにある。昨季途中に7年半在籍した湘南から水戸に移籍してきた時崎。移籍後最初の試合で先発出場を飾ったが、わずか16分で靭帯損傷。残りのシーズンを棒に振ることとなってしまったため、今節が湘南との初対戦となる。「個人的にモチベーションが高い。湘南とはずっとやりたかった。ぜひ勝ちたい」と話しており、気合いは充分だ。今節は吉本がけがのために出場は微妙な状況なのだが、「誰が入っても信頼してやれる。新しく起用される選手がやりやすいようにしっかり声をかけていきたい」と統率にも自信を見せた。

そして、今季、湘南に移籍した須田は故郷とも言える笠松でのプレーについて「あまり意識しないようにする」と話す。「自分の役割をしっかりやることで、成長した姿を水戸のサポーターに見てもらいたい」。だが、最後には「やっぱり、絶対に勝ちたいね」と本音をのぞかせた。それに対し、対面にあたる大和田は「絶対にあの2人（須田とファビオ）にはやられたくない」と強い口調で話す。「相手の特徴は分かっているので、とにかく思い切りやってつぶしたい」。

手の内を知り合った者同士が今度は敵としてしのぎを削りあうことでピッチ上でのボルテージは最高潮に達する。スタートダッシュのための大切な一戦でもあり、古巣相手の選手が多く、因縁も多いこの試合だけに激しくかつアグレッシブな戦いとなるだろう。華麗なプレーは少ないかもしれないが、気迫のこもったプレーでスタジアムをヒートアップさせてほしい。

さらに、この試合を皮切りに1週間で3試合という連戦が待っており、ここが「序盤戦のヤマ場」（前田監督）である。両チームにとってこの試合の意義は決して48分の1ではない。この試合での勝ち点3は今後を大きく左右することだろう。

以上

2006.3.17　Reported by　佐藤拓也