3月21日（火） 2006 J1リーグ戦 第4節
清水 1 - 2 千葉　（15:04／日本平／12,114人）
得点者：'29 阿部勇樹（千葉）、'33 マルキーニョス（清水）、'87 羽生直剛（千葉）
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　プレビューでは、期待の意味で「何が起こるかわからない」と書いたが、今日のゲームでは良くない意味でその通りになってしまった。

　清水の布陣はいつも通りの4-4-2。前節で右足首を痛めた枝村に代わって、杉山がボランチに入った以外は開幕からずっと同じメンバーで4連勝を目指す。対する千葉は、羽生がスタメンから外れ、トップ下にクルプニコビッチが入った3-5-2で初勝利を狙う。

　立ち上がりは、ここまで３連勝の清水の動きがなぜかもうひとつ。対する千葉も、守備での徹底したマンマークは悪くなかったが、攻撃ではパスミスが多く、序盤はお互いに相手のミスからチャンスを作る場面が多くなった。8分の千葉の攻撃では、右クロスから巻が決定的なヘディングシュートを放つが、ここは絶好調のGK西部がファインセーブ。

　しかし、やはり清水は全体的にボールに対する出足がやや鈍く、セカンドボールへの反応も遅れて、いつになく相手にスルーパスを通されてしまう場面が目立つ。そして、その中の１本が失点につながった。28分、ハースのスルーパスで阿部がゴール左に飛び出し、GK西部が飛びこんで接触して、阿部がピッチに倒れる。これを主審はファウルと判定し、阿部が自らこのPKを決めて千葉が先制（29分）。清水にとっては、これが今季初失点となった。

　だが、その4分後には、清水の左サイドからクロスが入ったところでマルキーニョスが倒され、今度は清水のPK。これをマルキーニョスが決めて同点。どちらのPKも難しい判定だったが、まさに『おあいこ』という感じでゲームは振り出しに戻った。

　その後は、お互いに徐々に調子が出てきたが、あまり流れは変わらず、1-1で前半は終了。ハーフタイムには長谷川監督が「元気がない」と選手たちにハッパをかけ、後半は立ち上がりから清水の動きが良くなってくる。オシム監督に「もう少し落ち着いてつなごう」と言われた千葉も、徐々に攻撃の流れが良くなり、中盤もコンパクトになって前半よりもゲームのレベルは高まってきた。

　しかし、千葉は厳しいマンマークで相手に自由を与えず、清水はバランスのとれた守備のゾーンを作ってパスを通させない。守備のスタイルはまったく異なるが、どちらも自分たちの形が確立できているため、そう簡単には崩されない。

　それでも、お互いに守るだけでなく攻めの姿勢を貫き、チャンスもほぼ同じような回数を作り出した。だが、最後のシュートが決まらず、1-1のまま残り時間は少なくなっていく。どちらも最後まで引き分けを良しとせず、より迫力を増して攻め合う中、終了間際に信じられない結末が待っていた。

　清水がセットプレーの2次攻撃を狙って後方にボールを下げた42分、藤本のバックパスが少しズレて、あわてて下がろうとした伊東が足を滑らせて転倒。これでルーズになったボールを羽生がやすやすと奪い、大きく空いたスペースに飛び出して、GKとの1対1から冷静に決勝ゴールを決めた。

　伊東の守備での貢献度はこれまで非常に高かっただけに、ホームの清水サポーターにとっては、まさかの結末による今季初黒星だった。

　試合内容としては、両チームとも本来の力を存分に出し切ったとは言えず、やや決め手を欠いたが、守備面での持ち味はしっかりと出した。その意味では、引き分けで終わるのが妥当な結果だっただろうが、やはりサッカーは何が起こるかわからない。その結果、千葉がようやく今季初勝利を果たし、選手たちも少し肩の荷を下ろすことができた。

以上

2006.03.21 Reported by 朝比奈 穣