5月20日（土） 2006 J2リーグ戦 第17節
東京Ｖ 0 - 1 山形　（14:04／味スタ／5,148人）
得点者：'51 レアンドロ（山形）
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　試合開始直後から徐々に近付いていた暗雲は、大きな雨粒となって試合終了のホイッスルと時を同じくしてその堰を切った・・・といってもこれは比喩ではなくて実際の天候の話。試合中、晴れ渡る山形ゴール裏側が嘘のように東京Vゴール裏側方面から濃厚な曇り空が近付き、試合が終わると同時に味の素スタジアムは大雨に襲われた。当たり前だが、試合結果や東京Vサポーターの心情が天候に影響を与るはずはない。ただ、ゲームを観戦した東京Vサポーターはこの空模様のような、泣き出したいような気持ちになったに違いない。

　この日は戸川がセンターバックに復帰、萩村とコンビを組む。両サイドバックはデジマールと藤田。中盤では第一クール山形戦以来の試合出場となった菅原はサイドではなく中央で2戦連続先発の金澤と相手を潰しにかかる。基本的にはいつも通りの４―４―２。対する山形は中盤の両サイドが張った形の４―４―２。真っ向勝負となったわけだが「ヴェルディは４―４―２に弱いって数字が出てるみたいで、監督からそう聞いていました」（永井）と１０位山形の選手たちは、自信を持って５位の東京Vに挑んだ。

　試合は前半から完全に山形のもの。攻めても守っても、はっきりした共通認識を持たない東京Vは、このところボールの取りどころを始めとする守備に自信を持つ山形を相手に立つ瀬なし。シュート数は６対１４。サイドを使って攻め込んだ回数のバロメーターでもあるCKは５対１２。東京Vの決定機は６６分、森本がディフェンダーに阻まれシュートまで持ちこめなかったボールを一旦中盤で根占が拾い出したスルーパスからバジーリオが放ったシュートのみ。これも枠を捉える事なく、上空に消えた。

「無理矢理つないで来ようとするから逆にうちの待ち構える網に引っかかるかのように引っかかってくれる」山形の選手たちは東京Vの攻撃をこう評した。前半から、ある意味東京Vらしい中央での球まわしに終始する。これがエリア内に侵入することがない為、相手への脅威にはなり得ず、FW平本のスピードも活かすには至らず。中盤でスピードダウンする攻撃は、時間経過と共に足も動かなく単調に。中央でのパスミスから速攻を食らうが、「相手サイドが高く来るのは分かっていたので、自分も逆に張ったりして、駆け引きの試合だった。それでフリーでもらえたりした」と財前が振返るように、ボールを取られた後の守備が機能しない。

先制点は財前が先述で指摘したサイドから生まれた。５１分、右サイドから財前の上げたクロスに林がヘディングで飛び込む。これがポストに跳ね返ったところをレアンドロが流し込んだ。１点を先制してしまうと、網を張って待つ山形のペースが更に増す。「高い位置で取って前へ」「取りどころがハッキリしていると自覚している」というように東京Vはゴールに近付くことすらできない。

試合はこのまま１―０で終了。１週間のインターバルで迎えた東京Vは勝ち点を２２のまま伸ばすことができず、中２日で迎えた山形は３連戦３連勝と上々の気分で帰路についた。

試合後、負けていることもあるのだろうが、山形の選手たちが具体的な手応えを口にするのに比べ東京Vの選手たちからその具体的な修正点に関するコメントが出て来ないことが気になった。「今週はいい練習ができたが、試合で出来ない。勇気がない、勝つ気はあるのか」とラモス監督。「監督が信じてくれているから、自分達も結果を」と金澤も言い、これは選手の総意だろうとは想像できる。ただ、そのためにどうするのか、と尋ねると精神的な話に終始してしまう。

もちろんメンタルも大切だ。ただ、連動した動きの少ないピッチを思い出すと、連戦が続くJ2リーグ戦を考えると不安に駆られてしまう。

以上

2006.05.20 Reported by 了戒 美子