7月26日(水) 2006 J1リーグ戦 第15節
福岡 1 - 2 清水 (19:00/博多球/13,655人)
得点者:'23 千代反田充(福岡)、'59 伊東輝悦(清水)、'63 マルキーニョス(清水)
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「勝たなければ何も付いてこないので勝ちたかったです」。飯尾一慶(福岡)は搾り出すようにして報道陣の質問に答えた。自分たちのサッカーは十分に披露できた。決定的チャンスも作り出した。そして待望の先制点も奪った。しかし、その勢いは90分間は続かず。チームのバランスが崩れたところを清水に巧妙に突かれて逆転負け。勝利を信じて戦った選手。勝利を信じて声援を送り続けたサポーター。だが、重たい足取りでスタジアムを引き上げなければならなかった。
立ち上がりから攻め込んだのは福岡だった。2分のバロンの強烈なシュートと金古のヘディングシュート。さらに6分、7分と決定的なシュートが清水ゴールを襲う。機先を制した福岡は、その後も清水を圧倒した。長いボールをDFラインの裏へ送り込み、相手が下がってできた中盤のスペースに、古賀、薮田が入り込んでボールを受ける。裏を狙う飯尾の動きも清水の守備陣を混乱させた。清水を圧倒する福岡にスタンドから歓声が沸きあがる。
そんな福岡に先制点が生まれたのは23分。古賀の放った直接FKがペナルティエリア内にこぼれたところを千代反田が押し込んだ。その後も一方的にリズムを刻む福岡。チョ・ジェジン、マルキーニョスに一瞬の隙を突かれる場面もあったが主導権は譲らなかった。「前半は立ち上がりを含めて、選手たちはやりたいことはやってくれた」(川勝良一監督・福岡)。その言葉通り、前半は福岡の攻撃サッカーを存分に披露した45分間だった。
ところが、後半に入ると試合内容が一変する。「ルーズボールの拾い合いに負けないこと。あと45分ある。集中して次の1点を取ろう」(長谷川健太監督・清水)。1点を追って前に出る清水。その勢いに福岡が押され始める。「後半になって自分たちの時間も出てくるようになって、その中でボールが回せるようになって、それで相手は少し精神的にもショックが出たんじゃないか」(伊東輝悦・清水)。福岡の運動量が落ちたこともあって、試合のリズムはあっという間に清水に移った。
長いボールを入れて福岡のラインを下げ、大きく空いた中盤のスペースを使って攻撃を組み立てる。前半、福岡が披露したサッカーと同じパターンで清水は一方的に試合を進めていく。バランスを崩した福岡は相手を捕まえることが出来ない。そして59分、完全にフリーになった伊東のミドルシュートがゴールネットを捉える。そして清水の逆転ゴールは63分。動揺を隠し切れない福岡のミスを突いて、最後はマルキーニョスがゴールを奪った。
運動量に大きな差がでた両チーム。この時点で実質的な勝負は決まったと言っていいだろう。それでも福岡は、選手交代とフォーメーションを変更することで活路を見出そうとし、最後は5人が前線に残る形で強引に主導権を奪い返した。だが反撃もそこまで。ゴールを奪うことは出来ずに福岡は手痛い逆転負けを喫した。
相手にリズムが生まれたことで平常心を失い、追加点を奪うのか、1点を守るのかの意思統一が乱れた福岡。我慢を強いられた前半を終えて、一番苦しい時間帯を走りぬき、相手の動揺を巧みに突いて逆転に成功した清水。そこには、中位に位置するチームと、降格圏内に位置するチームの精神的な差が明確に存在していた。ホームゲームでありながら、精神的な部分で後手を踏んだチームに、サポーターは複雑な思いを描いたに違いない。
しかし、福岡にとって悔やまれるべきは前半に1得点しか奪えなかったことだろう。決めるべきところで決めなければ、結局はそのツケを支払わせられる。その典型とも言える試合だった。結果を求めて川勝新体制で迎えたリーグ戦だが、これで2分1敗。攻撃的なチームへの変身には成功したものの、ゴールが奪えないことと、精神的な弱さが見え隠れする戦い方は以前と変わっていない。チームの建て直しにはある程度の時間が必要だが、さすがにこの敗戦はきつかった。次節は強豪G大阪との対戦。勝利する以外にチーム浮上のきっかけを掴む手はない。
以上
2006.07.27 Reported by 中倉一志
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