8月20日(日)J1 第18節 広島 vs 大分(18:00KICK OFF/広島ビ)
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「私は、若い選手を育てながら、厳しい状況を打開したい」
広島・ペトロヴィッチ監督は、まなじりを決して想いを語った。通常、J1残留争いのような厳しい状況にチームが陥っている場合、未知数な若者よりもベテランを優先して使った方が「ケガ」がなくてすむ。しかし、ペトロヴィッチ監督の考え方は違う。広島の方向性である「若者たちを育成して勝つ」やり方を徹底することで苦境を脱しようというのだ。
その象徴が、彼の就任初戦から抜擢したU-21日本代表のMF青山敏弘だ。ただ彼は、豊富な運動量と思い切りの良さを武器にチームを活性化させはしたものの、8月7日に行われたU-21中国代表との試合で負傷した左足捻挫の回復が間に合わず、大分戦の出場も無理。しかし、ペトロヴィッチ監督はそこでも信念を曲げない。「若手の代役は若手だ」とばかりに、U-21日本代表候補の高柳一誠を青山の代わりに起用、さらにU-19日本代表のルーキー柏木陽介を抜擢する方針を固めたのである。
共に広島ユースの黄金時代を支え、森山佳郎広島ユース監督が「将来の広島を背負って立つ」と言い切ったほどの逸材二人。相手ボールの奪取能力に成長の跡を見せ、前への推進力もある攻守万能型ボランチの高柳。左足のキックを駆使したパスやドリブルにアイディアを詰め込み、無尽蔵のスタミナを駆使して縦横に走り回る柏木。能力の高さは誰もが認めるところだが、彼ら二人に共通する弱点も、実は存在する。
それは、大切な場面で考えすぎてしまい、自滅してしまう精神面のもろさだ。高柳は、今季に入って何度か先発しているが、いずれも自分の良さを出し切ったとは言いがたい。柏木に至っては、ヤマザキナビスコカップの千葉戦(第1日)で初先発しながら、前半途中で交代させられてしまった。自分のプレーに確信がないため、どうしても「ベンチからの声」が気になってしまう。相手よりも先に、ベンチと闘ってしまい、その闘いに気持ちが疲れてしまうのだ。
「自分の思ったとおり、自由にやればいい」と、先輩・森崎浩司に言われたことで、「気持ちが楽になった」と柏木は言う。ただ、ホームでまだ1勝しかしていないという状況、そしてJ1残留争いの渦中という現状が、彼らに過度の重圧となってのしかかる可能性は多いにある。「若い選手を起用するにはリスクはあるが、当然、そこは覚悟している。私は彼らの後ろに立って、支え続けるつもりだ」というペトロヴィッチ監督の言葉を信じ、思い切って自分を表現できれば、十分に闘えるはずなのだが。
「若手を起用して窮地を脱する」という手法は、大分・シャムスカ監督の方が「先駆者」と言えるだろう。昨年9月10日、監督就任直後の浦和戦で彼は当時はまだ大分U-18所属だったDF福元洋平を起用。その試合を2-1で勝利したことで勢いにのり、就任以降7勝3分2敗で乗り切り、見事にJ1残留を達成したのである。
今季、シーズン当初の7試合で2勝1分4敗と苦戦にさらされた時も、彼はU-19日本代表の梅崎司やルーキー・高橋大輔を抜擢。さらに伸び悩んでいたFW松橋章太を我慢強く育てあげることでチームに勢いを取り戻し、第11節以降は5勝1分1敗という好成績で7位にまで浮上した。
大分の堅守を支えてきたDF上本大海・深谷友基が共に出場停止になった前節も、ルーキー森重真人や福元を起用して乗り切ったシャムスカ監督。彼の育成手腕によって成長した大分の若者たちが伸び伸びとピッチ上を走り回っている姿は、大分サポーターだけでなく、多くのサッカーファンに共感を呼んでいる。
ただ、大分の快進撃は、その優秀な若者たちを操るピッチ上の指揮官が存在することも大きい。それが、トゥーリオとエジミウソンのブラジル人ボランチコンビだ。運動量に優れ、闘争心にあふれた動きでチームを奮い立たせるエジミウソンと、広い視野と精度の高いパスを駆使した知性あふれるプレーでゲームを組み立てるトゥーリオ。「彼らが大分の核であり、自由にさせてしまうと苦しくなる」と広島・戸田和幸も警戒する。実際、昨年の広島での対戦でも、彼らを起点としたカウンターで、広島は4失点の惨敗を喫したのだ。
数多くの北京オリンピック世代が登場することになるだろうこの試合は、もちろん彼らの活きのいい活躍も楽しみである。ただ、大分のボランチコンビや広島の戸田・服部公太など、経験を積んだ選手にしか出せない「味」を楽しむのも一興。戦術家の色彩も持つシャムスカ監督と攻撃サッカーに向けてひたすら邁進する情熱家・ペトロヴィッチ監督の采配の妙も楽しめそう。たくさんの側面から味わいを見いだせそうなこの一戦、見逃す手はない。
以上
2006.08.19 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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