8月20日(日) 2006 J1リーグ戦 第18節
広島 0 - 1 大分 (18:05/広島ビ/10,145人)
得点者:'16 松橋章太(大分)
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試合終了後、大分GK西川周作はバッタリとピッチの上で倒れ込んだ。
「今までで一番、苦しい試合だった」
ミックスゾーンで吐き出した西川の言葉に、嘘はない。後半45分間、大分はほとんど自陣ゴール前に張り付かされた。1度だけ、ロングパスから広島の裏をつき、GKをかわして山崎雅人がシュートを放ったことがあるが、それもカバーに入った広島MF高柳一誠にはじかれている。それ以外は、広島の津波のような攻撃の前に、ただただ耐えるしかなかったのだ。
大分・シャムスカ監督は、DF三木隆司が前半終了間際に退場したことを受け、後半からFWを一人減らしてDF藤田義明を投入している。佐藤寿人・ウェズレイというJリーグ最強2トップ(二人合わせて19点は、川崎Fのジュニーニョ・我那覇のコンビと並びJ1の2トップコンビ最多得点)がいる広島に対し、DFが一人足りない状況ではとても守りきれないと判断したのだろう。実際、三木の退場も、広島のDFダバツからのロングボールに呼応した佐藤寿の鋭い飛び出しに対応しきれなかったことが原因。試合前に選手たちに告げた「2トップに対する徹底マーク」を後半も続けるには、DFの枚数を揃えておく必要があった。
そして、シャムスカ監督は9人のフィールドプレーヤーをPA近くまで下げ、専守防衛の構えを敷いた。少しでもスペースを与えるとやられる、という想いが、策士・シャムスカをしてなりふり構わない戦術を選択させたのだ。
確かに、この戦術は広島にとって厳しかった。ウェズレイと佐藤寿に対しては、常に2人以上のマークがつき、前を向くことすらできない。ペナルティエリア内でのシュートは、二人とも0本。身動きすらとれない状況だった。また、この日の前半に見せた積極的な2列目からの飛び出しも、中央のスペースに対して完全にロックされた状況では、それもうまくいかない。ミドルシュートを打とうとしても、それに対しても相手選手がブロックにくる。攻め手はかなり限定されてしまった。
ただ、大分のやり方は徹底的に中央を固めることで、サイドは基本的には一人ずつだった。佐藤寿人は「真ん中で何かを起こすのは難しい。サイドでもっと数的優位をつくるようなプレーをしないと」と試合後に語ったが、確かに広島の選手がサイドて2対1をつくるシーンはほとんどなかった。81分に前田俊介を投入し、彼を右サイドを突破させたことで決定機を2度つくったが、もっと早くそういうシーンをつくっておけば・・・と広島側からすれば悔いが残る。森崎和幸・ダバツというDFがまるでサイドバックのようにあがりっていたのだが、もともとボランチの森崎和はどうしても真ん中のスペースに入ってしまうし、まだコミュニケーションが確立していないダバツに対しては、ボールがなかなか出なかった。
また、確かに押し込んではいたのだが、肝心の最前線に入ってくる広島の選手が少なかったことも事実。森崎浩が何度も入ってきてはいたが、彼にも厳しいマークがついていたことを考えると、やはりボランチの高柳一誠あたりが長い距離を走って前線に走り、相手のマークを混乱させる形を何度かつくらないと、こういうブロックを崩すことはできない。戸田和幸や森崎和、ダバツのDFラインがハーフウェイラインを遥かに超えて上がっている状況だったわけだから、高柳や柏木陽介がバランスを考える必要はない。スペースがないのであれば、それをこじ開けなければならないが、それはチーム全体で行わないといけない。その強い意志をプレーに込めないと、周りには伝わらないではないか。
シャムスカ監督は「広島には素晴らしい選手がそろっている。今後、順位をどんどんあげていく可能性のある危険なチームだ」と相手に対する賛辞を口にした。しかし、1勝1分8敗というホームでの現実を目の当たりにした広島サポーターにとって、この賛辞はとても素直には耳に入るまい。しかも、駒野友一・青山敏弘という主力の故障に加え、この日のゲームで戸田和が左足を痛め、佐藤寿も足を引きずり、森崎和は8針も額を縫うケガをした。G大阪・鹿島と強豪が続くアウェイ連戦という試練もあり、広島にとってはまさに「正念場」が続く。
以上
2006.08.21 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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