8月30日(水) 2006 J1リーグ戦 第21節
鹿島 2 - 1 名古屋 (18:59/カシマ/9,457人)
得点者:'10 津田知宏(名古屋)、'68 岩政大樹(鹿島)、'80 ファビオサントス(鹿島)
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「前節の広島戦を終えてトップとの勝ち点差が10、本当の意味で優勝争い残留ギリギリのラインだった。今日の勝ち点3は、今季の目標を失うかどうかを左右すること。とりあえず勝って優勝戦線脱落を食い止められてほっとしている」と、2点に絡んだ岩政大樹が率直な思いを口にした。
かつて常勝軍団といわれた時代からチームを牽引してきた小笠原満男が去り、柳沢敦が出場停止。本山雅志も左太もも肉離れで全治4週間と診断された状況で迎えた名古屋グランパス戦。鹿島アントラーズはこれまでとは全く違った陣容で挑み、苦しみながら2−1で逆転し、ようやく8月初白星を挙げた。9月2日にはヤマザキナビスコカップ準決勝、横浜F・マリノスとの第1戦も控えており、今季初タイトル獲得へ弾みをつけた。名古屋は序盤から優位にゲームを進めながら勝ちきれず、13位から順位を上げることができなかった。
8月5連戦のラストマッチ。夏休み最後のカシマスタジアムに集まった観衆は9,457人とやや寂しかったが、イタリア・メッシーナへ移籍した小笠原のビデオメッセージが流されるとファンから歓声も上がっていた。
大黒柱だった男の離脱を受け、チーム再編を迫られた鹿島。パウロアウトゥオリ監督は大胆なメンバー変更を試みた。最終ラインは左の新井場徹を休ませ、ここまで右を担ってきた内田篤人をコンバート。空席になった右はケガ明けの中後雅喜を置いた。ボランチは欠場のフェルナンドに代わって「小笠原に代わる柱」と指揮官が期待する野沢拓也を起用。2列目は出場停止明けのファビオ・サントスと深井正樹が並ぶ。そしてFWは今季初先発のダ・シルバと田代有三の2トップだ。
対する名古屋もエース・ヨンセンがノルウェー代表招集のため離脱。玉田圭司が負傷し、豊田陽平もコンディション不良とFW不在の状況に見舞われた。そこでフェルフォーセン監督はDF増川隆洋をトップに起用。その両脇に若くて走れる津田知宏と杉本恵太を配してサイドをえぐる作戦に出た。基本システムは4−3−3だ。
立ち上がりはフェルフォーセン監督の采配が的中。名古屋が押し気味に試合を進めた。慣れない新布陣で連携面に不安を抱える鹿島のスキをつき、タテに早いサッカーでゴールに向かう。そして開始10分、いきなり先制点を挙げる。中盤の山口慶から左に開いた杉本にパスが渡り、彼が鋭いクロスを上げる。その瞬間、ファーサイドに飛び込んだ津田がフリーで押し込んだ。鹿島守備陣は増川らの他選手の動きにつられ、津田のマークがガラ空きになってしまった。
この1点で勢いづいた名古屋はさらに主導権を握る。ポゼッションのミスが目立つ鹿島からボールを奪ってカウンターが何度か出て、追加点も入りそうな雰囲気が漂った。しかし「前半のうちに2−0、3−0にしておかなかったことが悔やまれる」と本田圭佑が話すように拙攻が続く。結局、1−0のまま前半を折り返した。
「前半は連携面の問題というより、最近の連敗を引きずっていて、アグレッシブさに欠けた。ずるずると下がってしまって自陣に人がいる時間帯が長く続いた。これじゃダメだと思った」と岩政が言うように、鹿島イレブンはハーフタイムに話し合ったという。パウロアウトゥオリ監督からも「もっと積極的に残り45分を戦え」と指示が出る。
これで意識が大きく変わった。後半の鹿島はようやく攻撃に出る。前半は引いていた内田がオーバーラップを仕掛け、深井が遠めから果敢にミドルを打つ。野沢もセットプレーから見せ場を作った。そして23分、ついに同点に追いつく。野沢のFKを頭で合わせたのが岩政。「ボールが少し後ろに行ったけど落下点をうまく読めたのがゴールにつながったんだと思う」と話す守備の要の1点で、ようやくチームに自信が出てきた。
この直後に青木剛が退場し、鹿島は10人での戦いを強いられる。が、勝利の女神は彼らを見捨てなかった。そして後半32分の出来事が勝負の明暗を分ける。再び野沢のFKの場面。動き出した岩政を途中出場した名古屋のDF秋田豊がつかんだのだ。次の瞬間、レフリーは「PK」を宣告した。ラッキーな形でPKを得た鹿島。キッカーはファビオ・サントス。ファウルがあって一度はやり直しになったPKだったが、彼は難なく2度目も決め、鹿島は逆転に成功した。
シーズン途中の大胆なチーム再編はリスクが非常に高かった。この状況下で負けたら優勝争い脱落は必至。重圧のかかる中での逆転勝利は鹿島にとって非常に大きい。指揮官は次世代を担うべき岩政や野沢らの活躍にも手ごたえを感じたはずだ。この1勝で悪い流れを断ち切り、ヤマザキナビスコカップや今後のリーグ戦につなげたい。その第一歩としては意味のある試合だったといえる。
名古屋の方は終盤、古賀正紘を前線に上げるなど捨て身の攻撃に出るが、鹿島より試合間隔が短いこともあって疲労が色濃く、運動量が激減してしまう。試合終了間際に中村直志がゴール前でフリーになるなど決定機は作ったが、結局は痛い星を落とした。合計9枚の警告を受け、退場者(大森征之)を出すなど、彼らにしてみれば納得できない面もあるだろうが、自分たちのサッカーが90分間できなかったのは事実。好不調の波をなくさなければ、下位脱出は難しいだろう。
以上
2006.08.31 Reported by 元川悦子
J’s GOALニュース
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