9月9日(土) 2006 J1リーグ戦 第22節
広島 0 - 0 名古屋 (18:02/広島ビ/9,299人)
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湿度90%。ピッチレベルに降り立ってみると、もわっという熱気が芝生から立ちこめ、呼吸をすることも厳しくなる。そんな状況の中で選手たちはよく走りきった。特に、日本代表遠征から戻ってきたばかりの佐藤寿人・駒野友一(共に広島)、ヨンセン・中村直志(共に名古屋)らの頑張りは、そのパフォーマンスレベルを超えて、頭が下がる。
さて、この試合は7月19日に行われた名古屋のホームゲームの時とは、様相が完全に変わった。あの時は、名古屋が積極的に2列目から飛び出し、アグレッシブな攻撃サッカーを見せていた。その裏を広島が巧みにつき、最後はセットプレーから勝ち越したものの、最後までゴール前の攻防が絶えないゲームではあった。ただ、一方で両チームとも守備面に課題があり、戦術的なミスをいくつも犯していたことも事実だった。
一方、昨日の試合では、特に名古屋の方に「リスクを犯したくない」という強い想いが感じられた。前半の途中までは確かにボールを支配していたものの、有効な縦パスがほとんどなく、足下への横パスばかりで怖さがない。広島の運動量があがり中盤を制圧されてくると、名古屋はリスクを回避して低めにブロックをつくって守備を固め、はじき返してカウンターを狙うサッカーに切り替えた。
もちろん、代表組やケガ明けの選手たちが多い、というコンディション的な問題もあるだろうが、一方で広島の2トップ=ウェズレイと佐藤寿人に対する強い警戒心がそうさせたのだろう。特にウェズレイに対しては、「ファウルも辞さず」という意識で強いプレスをかけるため、彼は何度も芝生の上に転がされた。佐藤寿もフリーでボールを持てるシーンはほとんどなく、前を向いた形でのシュートは1本もない状況。彼ら2トップへの対応に名古屋のミスはなく、前回の対戦の教訓は見事に活かされたといっていい。
広島はサイド攻撃に活路を求めていた。実際、駒野と服部公太はサイドを完全に自分たちの支配下においていたが、最後の局面での工夫が不足していた。単純にゴール前にクロスをあげるだけでは、よほどスーパーな精度のボールがいかない限り、高さに勝る名古屋の牙城を崩すことはできない。
ただこれは、彼らだけの問題ではなく、広島のMFのサポートが足りなかったことも影響している。70分に服部をサポートした柏木陽介が、クロスのこぼれを拾って横パスを出し、森崎浩司のシュートを導いたシーン。81分に駒野をサポートした森崎浩がスルーパスを出して駒野の突破を導き、クロスで終わったシーン。こういうプレーがもっと頻繁に出てくれば、名古屋の強固なブロックをもっと崩すことができただろうが、その回数があまりに少なかった。
また、ウェズレイは自分のマークが厳しいのを承知で、あえて中盤に下がってスペースをつくるプレーを選択した。ただそれは、ウェズレイがつくったスペースにMFが飛び込んでくれないと意味がないのだが、そこに飛び出す選手がほとんどいなかった。特に青山敏弘はそういうプレーが持ち味なのだが、連戦の疲れも影響しているのか、彼の運動量がいつものものとは違っていた。彼が動けないのであれば、森崎浩や柏木、あるいは服部や駒野といった選手たちが、その代わりを務めないといけないが、そういうアイディアにも乏しかった。
名古屋はサイドを制圧されても、中央ではじき返せばいい、という一種の開き直りが功を奏し、広島にほとんど決定機を与えなかった。しかし、頼みのヨンセンは広島の3バックにほぼ完全に抑え込まれ、杉本恵太のスピードを利した突破も単発に終わった。前半に一度、カウンターから杉本が抜け出し決定的なクロスを供給したが、ビッグチャンスはそれくらい。得意のセットプレーも広島GK下田崇の集中力の前に抑えられてしまっては、打つ手はなかった。
ミスが少なく、戦術も明快。局面での厳しさもあり、チームとして前回の対決時よりもお互いによくなっていることは、確かだろう。だが一方で、あえてリスクを犯してでも攻撃に出るプレーや、アイディアを駆使するプレーが、互いに少なかったことも一方の現実。「全体的に可もなく不可もない」という名古屋・藤田俊哉選手の表現がピタリとはまる試合ではあったが、それがJ1残留争いに足を突っ込んでしまっている両チームの現実、ということなのだろう。
以上
2006.09.10 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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