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【J2:第38節 仙台 vs 柏 レポート】梁の一発で、ゲームの流れは一変。数的不利を跳ね返し、仙台が首位柏に対して、記憶にも残る大きな勝利。(06.09.10)

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9月9日(土) 2006 J2リーグ戦 第38節
仙台 2 - 0 柏 (19:05/ユアスタ/15,757人)
得点者:'59 梁勇基(仙台)、'69 ボルジェス(仙台)
★ハイライト&会見映像は【こちら】
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 梁が走る。その先にはいつも、仙台の歓喜がある。
 昨年の第16節、アウェイでの横浜FC戦。1−1の同点で迎えた73分に仙台はカウンターを仕掛けると、シュウェンクがGKと一対一となるものの、シュートはバーに弾かれる。しかしそのボールは、ハーフウェーライン付近から長い距離を走ってきた梁の元へこぼれた。この梁のゴールが決勝点となった試合、ベンチで見ていた仙台・手倉森コーチが試合後に語っていた「労を惜しまず走った梁への、あのゴールはご褒美だった」という言葉が印象深い。
 上記のゴールは最もそれが現れた顕著な例であるが、ともかく梁のゴールは、長い距離を走った上でのものが多い。ゴール前への飛び込み、あるいはロングドリブル、様々な形こそあれ、梁はその『疾走』で、何かを動かしてきた。

 今節、彼が動かしたもの。それは辛い思いを抱えながらも、それでも仙台を見守ってきた者たちの魂である。

 首位柏を、あと少しで昇格争いから脱落しかけていた仙台が迎え撃ったこの一戦、序盤からペースを掴んだのは柏であった。
 仙台はこの日、ボルジェスを1トップで残し、その後方で、梁、ロペス、大柴と並んだ3人がポジションチェンジを繰り返すことで柏の守備を惑わせ、陣形が乱れたところで後方からロングボールを放り込んでいくという意図を持っていた。
 しかしこの策は諸刃の剣。実際、直前の紅白戦では、それなりに攻撃で形を作れるものの、ボールを奪われた時に自分たちの陣形が整っていないことでBチームに何度もカウンターを食らい、結果75分間で5−4という大味なスコアになってしまっていた。この本番でも流れは変わらず、柏は危険なカウンターでスピードに乗り、あっという間に仙台ゴール前に襲い掛かっていく。

 だがこの前半、柏はゴールを割ることが出来なかった。北嶋が「簡単にセンタリングを上げるべき場面でも、時間をかけすぎる場面があった」と振り返ったように、良い形で仙台ゴール近くまで攻め込むものの、素早くフィニッシュに持っていけなかった柏側の要因もあるが、仮にペナルティエリアにボールが入っても、仙台はエリア内で粘り強く守り、簡単なシュートを許さなかった。さらに26分の、右から飛び込んできた鈴木のシュートや、43分、FKからのディエゴのセンタリングに、マークを上手く外して合わせた岡山のヘディングといった決定機も、GK小針がすばらしい反応でストップしている。

 このままゲームは後半に入るが、仙台にはさらに追い打ちとなりかねない出来事が56分に発生。前半から4枚もの警告を受けていた仙台だが、ここで菅井が2枚目の警告を受け退場に。引き分けでもだめ、勝たなくてはいけない仙台にとって同点での数的不利は、リスクを余計に抱えての攻めを打たなくてはならない状況が到来したことを意味する。
 しかし、菅井がいた右SBに、梁を下げて配置したこの応急処置が、結果的に仙台に幸運をもたらす。

 実は仙台ベンチは、菅井に代わる右SBとして中田を投入しようとした際、初めは梁をピッチから退かせようと考え、実際にそのように交代の手続きは進められていた。
 だが59分に訪れた場面が、その交代も、スタジアムの空気も、何もかも一瞬にして変える。
 この時間だけ右SBを務めていた梁は、前方に空いたスペースに気づきながらも、一人少ないという状況を思い、一瞬攻め上がりを躊躇したという。しかしすぐに「勝ちに行かないと意味が無い」ことを思い出し、また右サイド寄りでボールを持っていた大柴から、攻撃参加を促す意図を含んだスペースへのパスが出されたことで、意を決してタッチライン際を駆け上がる。この時点で、一人少ない仙台が点を取るために必要な「リスク」は、梁がその背中に背負い込んだ。
 梁は一度ボールタッチをしたのち、中央のロペスへ。ロペスが放った浮き球のスルーパスにはボルジェスが反応するものの、コントロールを阻まれたボールはゴールの正面にこぼれる。ロペス、そして再びボルジェスが詰めるものの、柏のDFもボールに密集し、二人はシュートまで持っていけない。
「クリアか?」と思われたその瞬間、後方から密集に飛び込んでくる選手がいた。その選手は誰よりも冷静にこのボールに反応すると、狙い済ましたゴール右へのシュートを流し込んでいく。
 左サイドのコーナーフラッグに、右手の指を突き上げて走っていくその選手こそ、最終ラインから覚悟を決めてゴール前まで走ってきた、梁だった。
 最悪の状況からもぎとった一発に、耐えていた仙台サポーターの声は爆発した。59分、一人少ない仙台が先制する。

 直後、柏もパワープレー気味に前線にボールを入れてきて、北嶋、岡山がシュートチャンスを掴むが、これを凌いだ仙台。先制点から10分後の69分には、結局大柴と交代で入ったばかりの中田の攻撃参加から、最後はボルジェスが倒れてPKに。2点目が決まった時点で、試合は決まった。
 前述のPKの場面で蔵川が退場となり、仙台と同人数になった柏も必死にに攻めるが、仙台は第1クールを彷彿とさせるゴール前の堅さで柏に効果的なフィニッシュを許さず。仙台は苦しみながらも、30節湘南戦以来となる完封勝ちで、首位柏を退けた。

 ところで、両チーム共に一人ずつレッドカードが出たこの試合は、双方に翌節以降への傷跡を残している。柏は小林亮、岡山、蔵川と、DFラインで次節3人が出場停止となる。その次節、柏の相手は今節に続き、昇格争いの渦中にいる横浜FCである。
 そして仙台の傷は、柏より深い。次節の徳島戦は、ロペス、熊林、そして菅井と、こちらも3人を欠く事になるが、ロペスと熊林はこれが累積8枚目の警告なため、その次のホーム札幌戦まで出ることが出来ない。
 次節が行なわれる13日水曜日は、昇格争いを分ける一日になりそうだ。

以上

2006.09.10 Reported by 佐々木 聡
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