●AFCアジアカップ2007予選大会 グループA
11月15日(水)19:10キックオフ/札幌ドーム/40,965人
日本代表 3−1 サウジアラビア代表
得点者:'20田中マルクス闘莉王(日本)、'29我那覇和樹(日本)、'33 ヤセル・アルカフタニ(サウジアラビア)、'50我那覇和樹(日本)
※AFCアジアカップ2007 予選大会グループA 1位通過決定
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●オシム監督(日本代表)
Q:前回からチームは良い方向に向かい始めているとおっしゃっていたが、今日の試合でよい方向に向かう確信は強まったか?
「インドよりも出来が良くなかったと思います。もちろん相手が違いますし、ピッチ状況もインドとは違います。インドではミスが出てもあるところまではコンディションの問題があったわけです。今後もっと良いチームを作っていくためには、今日の試合で何が良くなかったかを話す必要があると思います。
今日は試合の立ち上がり非常にイライラしました。普通だったら失わないようなボールを相手に渡してしまいました。その後、良い時間帯になりましたが、もっと色々アイディアを発揮してよかったと思います。これは中村の批判ではありませんよ。彼よりも他の選手がもっとアイディアを出して、全体のコンビネーションを考えて欲しかったです。
この次の時間帯は日本の決定的な問題なのですが、自分のミスによって自分を追い込んでしまいました。これは修正しなくてはいけません。相手に主導権を与えてPKをプレゼントしてしまいました。
後半立ち上がりはまぁまぁでしたが、時間がたつにつれフィジカルの問題が出ました。前回も話したように、リーグ終盤であるということです。ジャンプをするどころかボールに逃げられてしまっています。相手がもっと強豪であれば、その時間帯に失点してしまいます。そこは気をつけなくてはいけない時間帯です。もちろんサウジアラビアが弱いといっているわけではありませんが、彼らはボール回しに熱中しているようでした。サウジアラビア同士のパス回しが彼らの関心であって、ゴールは二の次だったようにも見えました。
しかし、結果的には我々の努力もあって、サウジアラビアにはチャンスらしいチャンスを与えなかった。そこは評価したいと思います。どの点を修正するかについては皆さんではなく選手に直接話したいと思います。
それから、良い点について言うのを忘れました。今日の試合で一番良かったのは次の試合のPKキッカーが誰でないかがわかったことです。これは大きな収穫だったと思います」
Q:サウジアラビアの左サイドの選手が交代したことで、混乱させられていたような印象だったが?
「大きい問題ではありません。走れない選手がいるところでどうするかということです。誤解されやすいのは、相手があるサイドからプレッシャーをかけてきたとき、実際には我々がピンチなのは反対サイドであるということがよくあります。例えばことわざというほどではありませんが、危険だと思われることほどそんなに危険ではないということです。
例えば日本の左サイドで三都主や中村が疲れたとき、逆のサイドの加地が攻められたら大変です。その逆も同じです。連鎖反応が一番怖いんです。誰かがミスをした時、カバーをするために他の選手が余計に走ることになり、そこでまたミスをしたら第3の選手がもっともっと走ることになります。明らかなミスは誰でも気がつきますから簡単ですが、相手との距離が不正確で攻撃されるといったような、見えない形のミスが最も押し込まれる原因になります。
サウジアラビアはスキルが高い選手が揃っていましたから、それを利用して攻めてきました。相手の交代を見ても、サウジアラビアがそれを理解して日本の弱点をついてこようとしてきたことは分かりました。パフォーマンスが落ちた上での交代ではなく、日本を研究した結果あの攻撃があったと思っています。つまり、日本のパフォーマンスが落ちたところをつかれそうになったわけです。ですから、そういう見えない部分での分析的な記事を書いてくれたらサッカーの理解が進むと思います」
Q:24番を中心に攻めてきた印象だったが、彼にもっと注意するということは考えなかったのか?
「そうしようと思っていましたが、それでも向こうが上回っていたんです。相手のベストプレーヤーのマークをすることで試合を作るあるいは壊すことは説明がしやすいことです。極端な例ですが、バルセロナと戦う時にロナウジーニョ、メッシにそれぞれマーカーをつけたとして、その時、マークをするこちら側が最初は必要以上に怖がっているわけです。向こうの良いことを消すということでしかプレーをしないわけです。
こういう風に考えられないでしょうか?ロナウジーニョをマークしていた選手がマークを放り出して前線に走りパスをもらおうとする。そうした場合ロナウジーニョはどうするでしょうか?誰が追うでしょう?もちろん一番近い選手ですから、ロナウジーニョがマークして走ることになります。ロナウジーニョが戻ってDFをすることに追い込んだとしたら、もうその選手はロナウジーニョではないわけです。最も良い選手を何とかしようとする際には、そういうやり方での対策が考えられるわけです。
今日も24番をマークする係りの選手は、24番が攻撃で果たした役割よりももっと素晴らしい、つまり日本の攻撃に役立つ働きをしたわけです。ナンセンスな話に聞こえるかもしれませんが、真面目にいっています。あの選手がいい選手だからマークをしろということだけでは、あの選手に自分達の誰かをマークさせて疲れさせようという考えには及ばないわけです。日本の監督は選手に『相手をリスペクトする必要はあるが、怖がってはいけない』ということをもっと教えるべきだと思います」
Q:色々な選手を試している段階だとおっしゃっていたが、今日の我那覇、巻、中村のコンビネーションは実験成功だったと思うか?
「成功か失敗かは皆さんが判断してくださって結構です。ただ、今日の試合は真剣勝負ですから、実験だったとは言いたくありません。相手に対して失礼です。
もっと長い時間トレーニングできればもっといいコンビネーションができると思います。選手にもいったんですが、日本には海外でプレーするいい選手が7人、8人いるわけです。彼らも今日の試合をみて、(今日)がんばった選手と同じようにがんばって欲しいと思います。逆に日本でプレーしている選手が、ヨーロッパでプレーする日本人選手を脅かすプレーをもっとして欲しいと思います。
ですから、ヨーロッパでプレーしているからといって、代表でレギュラーであると考えるのは間違っています。そこを誤解していると海外にいる選手も、国内にいる選手も悲しい誤解のままで誤りをおかしてしまいます。ですから競争相手なんだという意識をもっと持ってもらいたいと思います。例えばスコットランドの中村が、日本に別の中村が現れたぞということでショックを受けてくれるような状況がいいですね」
Q:三都主のポジションが違うポジションだったが、特別な役割を与えていたのか?
「どんな役割だったと思いますか?(記者:内側から外側にせり出して、駒野とのコンビネーションを引き出しているように見えました)その通りです。それでバランスを取ろうと思ったんです。左サイドには三都主、鏡の対象の右サイドのポジションには中村を置きました。
反対側では7番と24番をアレックスと駒野で押さえる狙いがありました。サウジアラビアの選手の側も中にはいってくる傾向がありました。我々もサウジアラビアと同じやり方を取りました。恐らく我々の方が成功したのではないかと思います。サウジアラビアの最後のサイドバックよりも我々の加地と駒野のほうがより相手に脅威を与えたと思います。それは相手の選手に対する我々の対応でした」
以上
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