11月18日(土) 2006 J1リーグ戦 第31節
甲府 2 - 0 大分 (14:04/小瀬/9,156人)
得点者:'15 バレー(甲府)、'52 茂原岳人(甲府)
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勝利以外にも楽しさを感じさせてくれる甲府のサッカー。この日はセンターバック2枚(秋本、津田)、ボランチ1枚(鶴見)に、これまで出場機会が少なかった選手を先発させてきた。そして、この3人がゲームに出られない間に確実に進歩していることを証明して勝利に大きく貢献した。勝てば何でもいいという「カサついた勝利」ではなく、うまみ成分たっぷりの「コクのある勝利」を小瀬の観客は楽しめたはずだ。
甲府の3トップに対して、通常は3-5-2の大分は梅田を下げて4バックで対処してきた。「甲府が前から来るのは分かっていた。そこでボールを引っ掛けて奪って、その裏を狙えるイメージがあった」(根本)という大分。4バックにして、中盤が不必要に引くことなく立ち上がってきた。このコンセプトが正しいのか、修正が必要だったのか判断する時間はなかった。アクシデントが流れを甲府に傾けたのだ。9分にバレーと交錯したGK・西川が膝を痛めて負傷交代となる。担架に乗せられた状態で、柏原主審のイエローカードに見送られてピッチを去った西川。代わってピッチに入った下川誠吾は、ペナルティエリアすぐ外からのFKを防ぐことが最初の仕事となった。このFKはしっかり読んで防いだが、3分後にバレーにゴールを決められる。大分はアクシデントによって流れが変わることを止め切れなかった。
一方、久々に先発した甲府のフレッシュな3人の選手は、予想以上の働きを見せていた。センターバックの秋本と津田はコンビネーションもよく、サイドからクロスを入れてくる大分の攻撃を跳ね返した。秋本は初期のオーバートレーニング症候群と診断され、第18節以来の出場だったが、前への強さは健在。サッカーが出来る幸せを感じてプレーした。津田は足首の痛みに悩まされ続けており、今シーズンの出場は2ゲームに止まっていたがラインの統率能力という特徴に、強さも増してきた。
そして、最大の驚きは鶴見の進歩だ。甲府のサッカーにおいて運動量という点では鶴見は不十分という印象を持っていたが、第22節以来の登場となった今節はまったく違う印象を受けた。使ってもらえない状況でも、腐らず努力をしてきたのだろう。攻守において運動量は飛躍的に向上していた。秋本、津田、鶴見の3人はこの一戦で自らの価値を高める活躍を見せたと言っていいだろう。
前半はスピードスター・松橋にヒヤリとさせられるシュートを打たれたが1−0で終えた甲府。一方、思うように流れを引き戻せなかった大分は、後半開始から梅崎を投入する。そして、立ち上がでは前半より厳しくボールにプレッシャーをかけて高い位置でボールを奪いに行く。しかし、甲府のポゼッションは、ボールに行けば行くほど相手を疲れさせるだけのレベルの高さがある。「相手がボールにガツガツ来ない方が、(スペースを使わずに)足が止まってしまう」(石原)と言うほど。
そして、52分にはそれが茂原のゴールに繋がる。ポゼッションからの突破を左サイドの井上が見せて、2点目の起点となった。2−0になった時点でこれまでなら、「2点差はいちばん恐い点差」ということが頭に浮かぶが、大木監督が繰り返し言い続けたことで選手の気が緩んだり、極端に引いたり、無意識に守りに入ることはなかった。61分に津田が2枚目のイエローで退場となって数的不利になるが、このアクシデントは甲府から流れを奪い去ることは出来なかった。
大分は2バックに変更してパワープレーを仕掛けるが、サイドからのクロスは単調で恐さがなかった。セカンドボールが拾えなかったことが大分にとって誤算だったようだが、甲府は1週間この点に対処する練習をして成功を収めた。終盤は大分に押し込まれる時間も長くなったが、最後のところではシュートコースに身体を入れて決定的なシュートは打たせなかった。大分・シャムスカ監督が「(このまま)日が暮れるまでサッカーを続けても点が入らない気がする」と会見で話したが、甲府のサポーターも押し込まれた割に、点を取られる恐怖をそんなには感じなかったはずだ。遊園地のジェットコースターのように、「安全なスリル」を楽しむことが出来たのではないだろうか。
大木監督の持論である「右肩上がりの進歩」を感じさせての2−0の勝利。残り3ゲームとなったリーグ戦と、1ゲームなのか4ゲーム目まで行くのか分からない天皇杯で、進歩を定着させることが甲府の課題。リーグ戦なら「今日は駄目だったけど、次はやります」ということも言えるが、負ければ終わりの天皇杯では通用しない。リーグ戦では次節のアウェー浦和戦(11/23@埼玉)で進歩の定着が試される。浦和戦まで中4日。ジェットコースターの整備・点検は怠らず、事故のない運営を甲府は見せることが出来るのだろうか。
浦和と優勝を争う川崎F、G大阪サポーターの応援も力に変え、今季最後の大金星を手に入れて、海野社長から「勝利給2倍」の一言を引き出したい。いや、埼玉スタジアムの雰囲気に酔えば「3倍もあり得る」。
以上
2006.11.19 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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