12月2日(土) 2006 J2リーグ戦 第52節
仙台 2 - 1 神戸 (14:04/ユアスタ/15,626人)
得点者:'11 中島裕希(仙台)、'64 ロペス(仙台)、'89 近藤祐介(神戸)
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この一戦を迎える上で、望んでいたことのほとんどが叶った。仙台としては、そう形容すらできる試合となった。
敵は昇格を目前に捉え、意気上がる神戸である。事実、試合開始30秒で仙台は「行く手を阻むな」という無言の気迫が乗り移ったかのような、三浦の右足ミドルをいきなり浴びている。
だが、神戸が持つようなこうした気迫は、時として重圧に化けることもある。その反面、仙台はいわば「ノープレッシャー」。最終戦に集まったサポーターのため。そして、この試合を持って仙台を退団する歴戦の戦士たちのため。それをジョエルサンタナ監督の言葉を借りてひっくるめて説明すると「クラブが誇りを保てる終わり方をするため」に戦うこの日の仙台は、純粋に素晴らしい動きを見せていた。
4分にはオフサイドにこそかかるものの、梁からロペス、ロペスからスルーパスで中島という一連を、全てダイレクトプレーで完遂するなど良い流れ。昇格が懸かるか懸からないかで分けられる二つのクラブだが、その間には決して力の差などない。今日の仙台なら神戸相手にも、正面から対等に戦える。そうした空気が、このプレーでスタジアム中に広がる。直後の5分、ゴール正面で与えてしまったFKも、三浦から放たれたボールは小針の正面へ。大丈夫だ、行ける。
仙台が落ち着きを得て、それが自信に変わった頃、神戸の気迫はどうやら、予想以上のスピードで「重圧」に変わっていたらしい。11分、ベクトルが真逆を向き始めた両チームの状況を端的に表すような先制点が、仙台にもたらされた。菅井が前方右サイドに向けて放ったロングボール、メインスタンド側のタッチラインを割るかに見えたボールには絶妙なカーブがかかり、ギリギリのところでインバウンズをキープする。ボールを追っていった神戸のCBは若き柳川。同じくボールに向けて走りこんでいた梁によってクリアのコースを消された柳川はGK荻へと戻すのだが、柳川の方を向いていた荻の視界には、自身の右側から忍び寄っていた中島が全く映っていなかったのだろう。危険を感じることなくトラップした荻からボールを奪った中島、冷静にボールをコントロールし、無人のゴールマウスへと流し込んだ。試合の意味を考えれば極めて重い1点は、仙台へ。
それでも速い時間に同点にされれば、その瞬間神戸の「重圧」が再び「気迫」に昇華することは明白。だが17分、平瀬のヘッドは左へ外れ、19分、CKのこぼれ球を拾った遠藤のボレーもゴール左上を大きく逸れる。26分には、仙台の守備組織がこの日最も乱れ、マーク引継ぎの遅れからゴール左に空けてしまったエアスポットに朴の侵入を許し、反転から強烈なボレーシュートまで持っていかれるものの、ゴールマウスの上部を捉えたシュートは小針がファインセーブで防ぐ。
今思うと、試合の分岐点はこの時間帯にあった。立て続けにチャンスを作りながら同点ゴールが奪えない神戸が前がかりになりだした30分過ぎから、逆に試合の主導権を掴んだのは仙台だったからである。31分、32分、33分と、仙台は全てカウンターでフィニッシュまで持ち込めた。時を同じくして、3列目の菅井も前に飛び出せるようになり、仙台の攻めにはさらに分厚さも加わり出す。
そしてこの日特徴的だったのは、神戸が取った策のほとんどが、結果的に仙台への助けとなったことだ。もちろん神戸も考えあっての交代であり、トップ下の栗原からFWの近藤へという58分の交代も、ロングボール主体の攻撃に更なる効果をもたらすという意図があった。実際に近藤への対応で、仙台は3ボランチ中央の細川が最終ラインへとほぼ吸収され、そこをボランチの田中や遠藤、あるいは逆に降りてきた三浦などに使われると、仙台としても危なかった。
だがこの交代には「中盤が薄くなる」というリスクもあり、それがこの日の仙台にとっては一番の「栄養剤」であったのは、神戸には不幸以外の何物でもない。64分、またも仙台がカウンター。左SBの磯崎が持ち上がり中央を見ると、神戸の最終ライン前には、神戸の中盤が埋めきれないスペース、そしてそこに走りこむロペスが。磯崎からの横パスを受けたロペスは、ゴール正面25メートルから、迷わず右足を振り抜いた。ネットと、スタジアムが揺れる。
なお結果的に仙台の今季を締めくくることになるこのダメ押し点は、仙台の今季開幕戦、徳島相手に決まった先制点に、シュートの位置も、右上隅に突き刺さった弾道もそっくり。そしてそれを決めたのも、ロペスである。試合後に、今季のクラブMVPとして表彰されたロペスは、まさに今季の仙台の最初と最後を締めた格好である。
柏がこの時点で3点リードを奪っていたことも多少影響したかもしれないが、神戸の戦意が折れてしまったこともあり、残りの時間は完全に「仙台のための時間」となった。ひたすらカウンターで決定機を作れば、ゴール正面からのFKでは自ずと、今季限りでの退団が決まっている「村上コール」が沸き起こる。そして興奮は、こちらも今季での退団となる大柴の登場で最高潮に。ロスタイムに1点を献上する「余計な」仙台らしさを発揮したのは頭の痛い話だが、それでも最終戦、仙台は大いに胸を張ることの出来る勝利を上げて、2006年の戦いを終えた。
試合後に行われたジョエル サンタナ監督による今季の総括で、監督は「ホームでの弱さ」を指摘していた。確かに今季仙台は、ここユアスタで勝ち点を取りこぼした。そして、苦い話ではあるが、同時に観客動員やかつての熱狂も、仙台は以前に比べると失いつつある。これは事実だ。
だがこの最終戦、ユアスタの空気は「魔物が棲む」と形容されてきたかつての空気を確かに思い出させるものだった。
シーズンの最後、自らの足でユアスタの「主役」の座を奪い返したこの試合。そのことが選手の顔ぶれ変わろうとも、来季以降の未来に受け継がれんことを。それを願いながら、仙台の今季は暮れていく。
以上
2006.12.02 Reported by 佐々木 聡
J’s GOALニュース
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