●第86回天皇杯5回戦
12/9(土)13:00/ 5,627人/カシマ
鹿島 2-1 名古屋
得点者:11' アレックス ミネイロ(鹿島)12' ヨンセン(名古屋)25' 中後雅喜(鹿島)
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エース・ヨンセンが前半早々に背負った1点のビハインドを跳ね除ける同点弾を決め、その後もしばらく主導権を握った名古屋。彼らは「今度こそカシマスタジアムで初勝利を挙げられる」と信じただろう。しかし鬼門はあくまで鬼門だった。前半のうちに鹿島に2点目を奪われ、後半もいい形を作りながらゴールを奪えないまま終了の笛を迎えた。「今日の後半のような内容のサッカーをすれば来年はもっとよくなる」とヨンセンは話したものの、カシマでの19連敗という不名誉な記録を更新してしまったのは事実。名古屋にとっては非常に悔しい、そして鹿島にとっては悲願の10冠達成へ大きな弾みをつける一戦だった…。
2006年も、残されたタイトルもこの天皇杯だけ。9日には8強進出をかけて鹿島と名古屋が激突した。鹿島は11月以降のJ1終盤戦を4勝1敗で終え、名古屋もリーグ戦ラスト6試合無敗と、チーム状態が非常にいい両者。どちらが勝ってもおかしくなかった。しかし、この日のカシマは曇り時々雨というあいにくの天候。気温も9度と寒く、観衆も6000人足らずと寂しい中での試合となった。
今季限りで鹿島を去るパウロ・アウトゥオリ監督だが、強い闘志を持ってこの天皇杯5回戦に挑んだ。2トップにアレックス・ミネイロと田代有三、2列目に本山雅志とファビオ・サントスなどスタメンは大方の予想通り。システムも4-4-2だ。一方の名古屋も藤田俊哉が外れ、中盤に中村直志、山口慶、金正友が並んだところ以外は予想された顔ぶれ。システムも4-3-3だ。
鹿島がボールポゼッションしながら攻撃をしかけ、名古屋はこれを受けつつヨンセンを軸にカウンターを仕掛ける形になった序盤。先手を取ったのは鹿島だった。前半11分、野沢の左CKをファーサイドにいたファビオ・サントスが落とし、中央で待ち構えたアレックス・ミネイロが右足でゴール。幸先のいい先制点を奪う。彼ら両外国人も今季限りで鹿島を去ることが決まっているが、フロントの判断が残念に感じられるほどの見事な働きぶりだった。
しかし目下、6試合負けなしの名古屋も黙ってはいない。わずか1分後、左サイドバックの渡邊圭二のクロスに玉田が飛び込んでつぶれ、フリーになったヨンセンが右足でゴール。すぐさま追いついた。この同点弾で名古屋はリズムに乗る。その2分後には杉本恵太が相手最終ラインの裏に飛び出してフリーでシュートを放つなど、追加点が生まれてもおかしくない雰囲気だった。杉本、ヨンセン、玉田の3トップはいい連携を見せ、本田圭佑に代わって左サイドに入った渡邊も積極的にしかけるなど、名古屋らしい攻撃的なスタイルが前面に出た。
だが「サッカーは1点でも多く点を取らないといけない競技。鹿島は伝統的にそういうところを徹底してくる」と名古屋GK楢崎正剛が言うように、ゴール前での鋭さでは名古屋より鹿島に分があった。その象徴が前半25分の2点目だ。再び野沢の右CKからニアサイドに飛び込んだのが中後雅喜。パウロ・アウトゥオリ監督に「このままやってくれれば来季はチームの中心に成長するだろう」に言わしめた大卒ルーキーの一発で、鹿島は名古屋を突き放す。たった2つのセットプレーで2点を取るという「効率的な攻め」をやれるのが、今の彼らなのだ。
このまま負けられない名古屋。後半はヨンセンを起点に長いボールを次々と入れるようになる。しかし、鹿島守備陣も長身エースをシャットアウトしようと岩政大樹と中後が2人がかりでマークに行く。周囲の選手もカバーの意識が高く、ヨンセンがヘッドで勝ってもこぼれ球を拾わせない。「ヨンセンから先の攻めがうまくできなかった」と、山口も反省を口にしていた。
名古屋・フェルフォーセン監督は、後半25分から温存していた藤田を中村に代えて起用。3−5−2に布陣変更してさらに前がかりになった。藤田の動きは悪くなかったが、31分にスピラールが2枚目の警告を受けて退場したことで、全ての歯車が狂ってしまう。
鹿島も37分にアレックス・ミネイロ、38分に野沢が次々と決定機を迎えるが決めきれない。結局、試合は2ー1のまま終了。鹿島の準々決勝進出が決まった。
「今日はすぐ同点に追いつかれて、厳しい時間帯があったけど、早く勝ち越せたのがよかった」と決勝ゴールを決め、ヨンセン封じにも貢献した中後は笑顔で話した。守備陣に多少の混乱はあったが、今の鹿島は攻守ともにまずまず噛み合っているといえる。アレックス・ミネイロと田代の2トップはうまく機能しており、本山、野沢、ファビオ・サントスといったMF陣も流動的に動きながら数多くのチャンスを作っている。特に本山の復調ぶりは目覚しい。スピードと技術、創造性はずば抜けている。彼が高いレベルのパフォーマンスを維持している時の鹿島は強い。この男が天皇杯のキーマンになりそうだ。
一方の名古屋はタイトルを狙っていただけに悔しい結果となった。主導権を握りながら確実に得点を奪えず、一瞬のスキを突かれ失点してしまう「甘さ」が彼らの課題なのだろう。「シーズン通して我々は成長したが、もっと成長しなければいけない」とフェルフォーセン監督も強調していた。それでも今季は山口や本田、渡邊など若手も台頭し、収穫の多いシーズンだった。これを来季につなげることが何よりも重要だ。
以上
2006.12.09 Reported by 元川悦子
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