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【Jユースサハラカップ2006 決勝トーナメント準々決勝 フクアリレポート】優勝候補同士の第1試合はハイレベルな攻防戦を制した広島に軍配。第2試合は粘る仙台をF東京が振り切り準決勝進出。(06.12.10)

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●Jユースサハラカップ2006 決勝トーナメント準々決勝
横浜FM 1-2 広島(11:02/フクアリ/507人)
F東京 3-0 仙台(14:02/フクアリ/422人)
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 10日、フクダ電子アリーナを舞台に、8強の半分が激突。広島とF東京が準決勝進出を決めた。

●第1試合
横浜FM 1-2 広島
得点:7'木村勝太(横浜FM)16'横竹翔(広島)60'中野裕太(広島)
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  第1試合でぶつかったのは、横浜FMと広島という両優勝候補。開幕前から互いに意識し合っていたという両雄の激突は期待に違わぬ激戦となった。広島は今大会から取り組む「平繁(龍一)を生かすこと」(森山佳郎監督)、そして守備面の修正を意図した4−4−2の配置。対する横浜FMはいつもの4−3−3(または4-5-1)だが、主将のボランチ山岸純平が大学受験のために不在で、いつものメンバーとはいかず。高橋真一郎監督は、負傷明け間もないMF長谷川アーリアジャスールを先発に復帰させ、山岸のポジションに配置した。

 立ち上がり、広島の決定機をGK佐藤峻の好守でしのいだ横浜FMは、最初のチャンス、そして最初のシュートで得点を奪取する。7分、左サイドを破ったMF斉藤陽介のクロスに、中央でFW木村勝太が合わせて押し込む。だが、そこから10分も経たないうちに、「ウチの攻撃陣がゼロ点ということはない。焦りはなかった」(広島DF遊佐克美)という信頼に前線が応えた。16分、平繁のFKからMF横竹翔が頭で合わせ、あっという間に試合は振り出しへと戻ることになる。

 その後はまさに一進一退。ただ、ボール支配率はほぼ互角か横浜FM優位だったものの、チャンスの数ではむしろ広島が上回っていた。「平繁、横竹、中野(裕太)の3人は1対1が凄い」と横浜FM・高橋監督も脱帽する、広島アタッカー陣の個人能力。それが横浜FM守備陣に大きな負担を強いていた。迎えた60分、横竹から平繁、そして中野へとつながったボール。これを中野は反転から左足を強振。ミドルレンジから放たれた弾丸のようなシュートは、横浜FMゴールを射抜き、広島が勝ち越しに成功した。

 横浜FMベンチは神戸加入内定のMF大久保翔をピッチに送り出したのに続き、終盤には元FWの長身DF広田陸を最前線へ送り込む。今年の広島は後方に高さがなく、パワープレーに脆さを見せることが多かった。それだけに決定的な効果を生む可能性が十分あるかに見えた策だった。

 だが、「特に練習していたわけではなかったですけど、本人も自分の仕事だと思ったはず」と語る森山監督は、すかさず横竹にポジション移動を指示。2センターバックの間に陣取らせる。この策は見事にはまった。放り込まれるボールを驚異的な力強さで横竹は次々に撃墜。DFとしても経験豊富な男が、その真骨頂を見せ付ける。こぼれ球への寄せも鋭く、集中は途切れない。弱点と言われたこともある佐藤拓と篠原聖の二人のセンターバックも最後まで見事なプレーを見せ、成長を証明した。結局、2-1のまま試合終了。広島がハイレベルな攻防戦を制し、長居行きの切符を勝ち取った。


●第2試合
F東京 3-0 仙台
得点:36'櫻井誠也(F東京)80'森村昂太(F東京)87'稲葉基輝(F東京)
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 第2試合で対峙したのはF東京と仙台の両雄。プロ入り内定選手3人と、それ以外にも全国区のタレントをズラリと揃えた優勝候補F東京に、初のベスト8進出となった仙台が挑む構図だった。
 仙台にしてみると、今大会は1年前の屈辱からのリベンジだった。昨年のJユースサハラカップ、初の決勝トーナメント進出を果たした仙台は、初戦で清水と対決。0-9という記録的な大敗を喫してしまう。「あのときのメンバーは、ずっとあの試合のことを思ってきた」と主将の村中雄治。いわば、今大会はその復讐戦だった。自分たちから崩れてしまったその試合から1年。培ってきた気迫と思いをぶつける大会である。初戦、福岡を相手に10人になりながらも粘りに粘って逆転勝ちを収めた所以は、まさにその点にあったのだろう。

 「楽な試合になるなんて思ってなかった」と語ったのはF東京の主将・中野遼太郎。その言葉どおり、F東京にとっては何とも難しい試合になった。支配率では完全に上。局面の攻防でも、フィジカルに優るF東京がトータルで上だった。ただ、本当の意味での決定機は数えるほどしか生まれない。村中と亀井秀将のセンターバックコンビは素晴らしいプレーを見せており、F東京攻撃陣はペナルティーエリア付近で自由を与えてもらえなかった。

 ただ、F東京のこの学年は、経験豊富な巧者が揃っていた。こういった状況を打破する鉄則は、セットプレー。GKを含めて180cmを超える選手がいない仙台に対し、「吉本(一謙)なら勝てる」とフリーキッカーの森村昂太は見ていた。36分、ファーに蹴りこまれたハイボールに、まさにその吉本が首を伸ばして頭で折り返す。中央で待っていた櫻井誠也が押し込み、価値ある先制点を奪い取った。

 これで試合の流れは決まったかに見えた。だが、「1年前ならここで崩れたと思う。でも、今は違う」(村中)という仙台は崩れない。統率された守備は健在で、逆にMF奥埜博亮の創造性、FW鈴木弾のスピードといった武器から攻撃も仕掛けた。素晴らしい戦いぶりだったが、対するF東京も大したものだった。「90分終わったときに勝っていればいい」(福井哲監督)の言葉どおりに、慌てて攻めるようなことはせず、カウンターにも吉本と櫻井を中心に冷静な対応を披露。仙台が一か八かで前線に人数をかけ始めると、その間隙を逃さずに80分に森村が得意の左足で追加点を奪い、87分にはMF稲葉基輝が決定的な1点を華麗なループシュートから奪い取った。

 派手な試合ではなかったかもしれないが、見応えのある好ゲーム。敗れた仙台にとっても、次につながる大会となったと言えるだろう。一方のF東京も、優勝候補と言われるに足るだけのものを見せてくれた。このチームは強い。名古屋との準決勝は今から楽しみだ。

以上

2006.12.10 Reported by Reported by 川端 暁彦(サッカー新聞エルゴラッソ編集部

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★次回の対戦
Jユースサハラカップ2006 決勝トーナメント準決勝
12月17日/長居2
11:00 三菱養和 vs 広島
14:00 F東京 vs 名古屋
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