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【FIFAクラブワールドカップ決勝戦:インテルナシオナル vs バルセロナ レポート】カップは再び南米・ブラジル勢の手に。インテルナシオナルがカウンター一閃でバルセロナを撃沈(06.12.18)

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●TOYOTA プレゼンツ FIFAクラブワールドカップ ジャパン 2006 決勝戦
2006年12月17日(日)19:20キックオフ/横浜国/67,128人
インテルナシオナル 1-0 バルセロナ
得点者:82' アドリアーノ(インテルナシオナル)
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67,128人もの大観衆が集まったなか、いつまでも続く静かな展開。バルセロナがどのようなアイデアを繰り出しても相手DFの厚い壁は崩れず、かといってインテルナシオナルにもゴールの予感がない。90分では決着がつかないかも…。そのような空気が終盤、一瞬だけ変わった。辛抱して守り切ったインテルナシオナルに、報奨の1ゴール。カップは2年続けて、南米勢の手に渡った。

インテルナシオナルはバルセロナにリスペクトを払っていた。だからこそ、まずは守備第一というもともと得意とするゲームプランを実行した。左寄りで観客の視線を一身に受けるロナウジーニョには右サイドバック・セアラーがつき、最前線のグジョンセンをインジオとファビアーノ・エレルが抑える。密着度の高いマークがグジョンセンの自由を奪い、クロスに対してもファビアーノ・エレルが頭一つ高い。「バルセロナはスペースがなくて四苦八苦したと思う」(インテルナシオナル・アベル・ブラガ監督)。グジョンセンは3本のシュートを放ったものの、枠内に飛んだものはなく、沈黙した。

それでもバルセロナはデコが巧みな配球を散らしたり、ロナウジーニョが、ときにはダイレクトで、ときにはじっくりためてからパスを出し、そしてゴール前ににじり寄りながら、相手の守備の穴を探す。だが我慢強いインテルナシオナルは、バルセロナの高レベルのパスワークにも引き出されることなく、スペースを絶対に譲り渡さない。ときにはロナウジーニョはゴール前でDFの頭上を越える浮き球を軽やかに出して、インテルナシオナルを見上げさせようとするのだが、それでもインテルナシオナルDF陣の集中力は削がれることはなく、ギリギリのところで触ってのクリアが続く。こうして、バルセロナが多くボールを持つものの、シュートレンジに入り込めず、インテルナシオナルに「ボールを回されている」様相で、0-0のまま試合が進む。

インテルナシオナルの攻撃は、行く時は行くのだが、守備時を考慮して慎重さが見え、人数をかけた怒涛の攻勢とまではいかない。17歳の新星・アレシャンドレ・パトもマルケス、プジョルなどのバルセロナDF陣にはどうも力弱く、前に進めない。よってバルセロナにとってはやられる危険性は少なかったが、ライカールト監督も黙って見ていたわけではない。先制すべく、後半途中にモッタに代えてシャビを投入。彼は途中投入選手に求められる、淀んだ試合の空気を撹拌する役割をまっとうした。
後半29分、ベレッチからボールを受けたデコがペナルティエリアに向けてパス。そこにシャビが勢いよく走り込んでシュート。これがバルセロナのこの試合いちばんの絶好機だっただろう。しかしこれは38歳のベテランGKクレメルに阻まれ、世界中のバルセロナサポーターは天を仰ぐ。
インテルナシオナルも、少しでもバルセロナにプレッシャーを与えるべく、攻撃陣をリフレッシュさせる。後半16分、アレシャンドレ・パトをあきらめてルイス・アドリアーノにチェンジ。後半31分にはエースのフェルナンドンに代えてアドリアーノを投入。これだけ攻撃陣を代えても、インテルナシオナルには10番を背負った170cmの小兵の曲者が残っていた。後半37分、ボールを受けたイアルレイがプジョルをかわして前へ。この時、バルセロナが崩れた。突き進むイアルレイにはシュートコースもあったが、背後からチェックを受ける寸前、イアルレイは左にパス。そこにアドリアーノが猛然と走り込み、右足でシュート。辛抱の末のカウンターで、インテルナシオナルが先にスコアを動かした。

あわてたバルセロナは後半43分に不発のグジョンセンをベンチに下げるも、時すでに遅し。3分のロスタイムも、インテルナシオナルが左前方でボールを持つと、相手にとっては嫌らしいキープで時間を稼ぐ。こうして見事バルセロナの反撃をかわして、1-0で逃げ切り、優勝という「実」を得た。

バルセロナは日本の地においても、魅せるサッカーを披露した。それが義務だと理解しているかのように。しかしインテルナシオナルのほうが現実主義的だった。勝つなら、相手に自由を許さない守備で、カウンターしかない。後半の半ばまで無失点が続いても、色気を出さず、なお一層守り続ける。普通、後半の20分くらいまで守りきれば、「そろそろ良い時間帯か…」と前がかりになりがちだが、サッカー王国・ブラジルからの来訪者は迂闊ではなかった。インテルナシオナルは90分というサッカーの時間の中での辛抱の仕方という手本を見せてくれた。バルセロナの抜きん出た個の力とその融合による美しい攻撃はサッカーのかけがえのない結晶なのだが、インテルナシオナルの時間感覚も、またサッカーの真髄がにじみ出ている結晶なのだろうと思う。


以上

2006.12.18 Reported by 永井謙一郎(サッカー新聞エルゴラッソ編集部
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