■第85回全国高校サッカー選手権大会
平成18年12月30日(土)〜平成19年1月8日(月・祝)
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オープニングゲームから好カードとなった第85回全国高校サッカー選手権大会(以後、選手権)。06年度の高円宮杯全日本ユース・チャンピオンとなった兵庫県代表の滝川第二高校と東京都B代表の暁星高校の対決。オープニングゲームを戦う2校のみが1回戦を国立競技場で戦うことが出来るが、両校ともに国立に対する思いは深い。滝川第二は選手権で3度ベスト4入りを果たして国立で戦っているが未勝利。10月の全日本ユースでは埼玉スタジアムで勝利してチャンピオンになったが、今度は選手権でも国立で勝利を重ねたい。13年ぶりに選手権出場の権利を掴んだ暁星は、67回大会でベスト4に勝ち進みながらも昭和天皇崩御に伴い選手権のスケジュールと会場が変更となり国立で戦うことが叶わなかった。普通ならベスト4に勝ち上がったチームのみが許される聖地・国立でのプレー。それが1回戦から叶ってしまう。オープニングゲームを戦ったチームが2回戦、3回戦と勝ち上がることが難しいことは過去の例を見ても明らかだが、ベスト4に入ってもう一度、国立に帰ってくるために両者は過去のジンクスに挑戦することにもなる。
幼稚園から高校までの一貫教育が成されている暁星学園は文武両道の男子校。暁星小学校では校技に指定されるほどサッカーは盛んだ。高校のサッカー部員の多くは小学校、中学校から暁星学園で育ってきている。それだけに個々の能力では、優秀な中学生をセレクションで獲得できる学校と対等に競うことは厳しい。しかし、(学校が山手線の内側にあるために)広くはない人工芝のグラウンドで毎日朝練を行い、継続の力で10回目の選手権出場に繋げた。文武両道を追求する林監督、S級コーチの資格を取ったばかりの羽中田コーチの指導の下で、攻守に渡って能動的なサッカーを作り上げた。高い位置でボールを奪って攻撃に繋げるサッカーでポイントとなるのは、ハイプレッシャーのなかでも仕事が出来る風間を軸に宮崎、小嶋の3人だ。30日のオープニングゲームには、サッカー部OB、学校関係者が地の利を活かしてチームカラーである赤で国立を染める。そして、校歌、君が代と同じ回数歌われる「ラ・マルセイエーズ」を高らかに歌うためには、神戸から隊伍を組んでやってくる滝川第二の希望の薔薇を東京で散らさなければならない。
全日本ユースを制し、06年度ユース年代の真のチャンピオンになった滝川第二。選手権で注目されるのは当然だが、22年間チームを率いてきた黒田監督が今大会を最後に勇退(07年度からJ1神戸の育成部長に就任)するために、注目度は更に高くなっている。全日本ユースではサッカーの内容も素晴らしかっただけに、「いいサッカーをするチームに勝って欲しい」という期待も大きいだろう。意図してスペースを作り、それを使いながらポゼッションする有機的なサッカーは日本が世界を目指すときに必要とされる要素。橘がケガで欠場することは残念だが、金崎(J1大分に入団内定)、大塚のダブルボランチ、GK清水ら注目選手は多い。しかし、滝川第二にとって全日本ユースのタイトルは諸刃の剣になる危険性はある。黒田監督が兵庫の国体監督としてチームを離れているときにチームを任された小森コーチは「表面的には見えてこないが、(全日本ユースに勝ったことで)選手に満足している部分が全くないとは言えない。選手をハングリーにすることの難しさを感じる。同時に、市立船橋、国見、帝京、東福岡など全国で何度も勝っているチームの凄さを改めて感じた。全日本ユースのときのように、牙を剥き出しにした状態で選手権を戦うことが出来るかどうかが重要だと思う」と話す。プロでも勝ち続ければ慢心を抑えることが難しいだけに、高校生なら尚更だろう。全国大会の常連監督の中で、選手を尊重した上で与える自由の範囲が一番大きいのは恐らく黒田監督だろう。「鍛え上げる」という言葉よりも、「選手を伸ばす」という言葉が似合う指導スタイル。だからこそ、全日本ユースで魅せたような有機的なサッカーが生まれるのだ。が、高校生を率いて全国レベルで勝ち続けるには自由度が大きいだけに難しい側面もある。そこをカバーするのは選手が自ら感じ取る危機意識だろう。この意味で、キャプテンの山本(翔)がどうチームをまとめるのかという点も重要になってきそうだ。有力校が多いヤマだけに、1回戦から(負けることを)恐れずに進んで、勢いを付けて運を味方にすることが国立で3勝するために必要になってくるのではないだろうか。
以上
2006.12.29 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
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