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【J2:第17節 山形 vs 徳島 レポート】同じ勝ち点、されど違う重み。攻める山形が徳島ゴールを割れず、スコアレスドロー。(07.05.24)

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5月23日(水) 2007 J2リーグ戦 第17節
山形 0 - 0 徳島 (19:04/NDスタ/3,373人)

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 今シーズンのJ2は、試合のない節を経たブレイク明けチームの勝率が低い傾向にある。それを踏まえたうえで、山形は中9日を、中身の濃いトレーニングで過ごしこの一戦に備えてきた。

 立ち上がり、徳島のターゲット羽地に出されたロングボールのセカンドを拾うと、高い位置から連動したプレスも機能し始める。立て続けにコーナーキックを奪いながら、6分には臼井が、10分には財前が、12分にはCKから豊田が、次々にシュートを放つ。今季のJ2に「ブレイク後の呪縛」なるものがあるとすれば、集中した試合への入りを実現することで、山形はそれを払拭していた。

 ただし、その内容が盤石とも言いきれなかった。その理由は、自らリズムを失う細かいミスが続発していたこと。園田がトラップを後ろにそらせば、GK清水は手にしたボールを落としたり、裏への縦パスをキャッチに行った際にスリップで転倒しヒヤリとさせた。前半18分には小原が足でバックパス。やや弱いボールを見逃さなかった片岡がチェイスすると、ボックスの外へ飛び出した清水のクリアキックはミートせず、力なく右へそれタッチを割った。いずれも大事には至らなかったが、起きてはならないミスの連続は、歯車の狂いをも想起させるものだった。

 山形にとって、そんな微妙な空気が決定的となるのは、舞台を徳島のゴール前に移してからのこと。

 15分には左サイドで財前がタメをつくると同時に、3人がラインの裏へ走りだす。そのうちのひとり、宮沢が相手を完全に振り切り、やや角度のない位置から放ったシュートはわずかに右へ外れる。26分、またも左サイドで起点となった財前がクロス。しかし、裏へ抜け出した臼井のシュートはGK島津に、その跳ね返りを打ち込んだ北村のシュートは西河のブロックを受けた。豊田のプレッシングからマイボールにした38分には、ペナルティーエリア内でフリーで打ち込んだ財前のシュートが体をねじ込んだ西河に跳ね返され、41分にも、マイナスクロスに合わせた豊田のシュートがGKを抜いたものの、ゴールマウス直前で青葉に跳ね返された。

 打てどもシュートが入らない理由の在処は、もちろん山形側だけではない。
 2−1と仙台戦で勝利した徳島の先発変更は、負傷したクレベルソンから岡本への1枠のみ。ただし、左SB青葉との距離をきっちりと埋め、裏のスペースをケアするのがクレベルソンとは違う岡本の重要任務だった。このサイドはロングボールでギャップを突かれる場面もあったが、臼井のドリブルに対しては2枚で突破を阻止し、クロスを上げることを許さなかった。また、押し込まれてラインは下げていたものの、中に入ってくるボールには河野、西河、青葉が果敢に体を当てていった。「運が味方した、そのひと言に僕の感想は尽きる」と今井監督が言うその「運」は、中2日と厳しいコンディションを思わせないタフなディフェンスが引き寄せたものだ。

 ただし、もう一方の右サイドでは、その手薄さを突かれてしまう。
 徳島は、守備では1トップ羽地の周りを片岡が動く4−5−1に、攻撃に移ると、右サイドの塩川と小山が1段ずつポジションを上げる3−4−3のような形になるが、ボールを奪われたあとのタイミングのズレで、DFラインに戻った塩川の前にぽっかりとスペースをつくってしまう。ここを山形に使われて攻め込まれることになった。
 
 また攻撃では、羽地が縦パスに反応し、開始早々にいきなりシュートを放ったが、あとは運動量豊富な片岡の献身的なプレーが目立った程度。前半は両チームともに得点には至らなかった。

 停滞した空気をうち破ろうと、前半に引き続き、後半も山形が激しく攻め込んだ。しかし、北村のバックヘッドが枠をそれ、財前がえぐったあとの北村のマイナスクロスも豊田に合わず。そして後半10分、オーバーラップしてきた小原のクロスをていねいに合わせたはずの豊田のシュートがポストに跳ね返されるに至っては、前半からの嫌な空気の存在を思い知らされることになった。
 
 押し込まれた徳島も前線に小林を入れ、「サイドで時間をつくってあわよくば」(今井監督)とクロスからのワンチャンスを狙う。しかしそれも、右クロスに石田がヘディングした26分、塩川のグラウンダーのクロスを石田が打った42分、こぼれ球に詰めた丹羽がシュートを放った43分と、3度の単発な攻撃に終わる。ただし、交代枠を使いながら攻撃の活性化を図った山形も、起点がつくれず、かえってチャンス自体は遠のいた。かくして、ゴールネットが揺れない90分は幕を閉じた。

 両チーム、勝ち点1ずつを分け合う結果となったが、中2日で東北2連戦と厳しい日程の徳島にとっては、重みのある勝ち点1となった。地元への手みやげとして、2試合で稼いだ勝ち点4に不満を漏らすサポーターはいないだろう。ただ、内容は決してよろこべるものではない。仙台戦とうって変わってゴール前へのパスを封じられた塩川は、「パスを出すところがないですよね。みんな逃げてたので。ボールをもらいに来ないで、出せば出しっぱなし。じゃあ誰がやってくれるんだろう、みたいなのが多かった」と問題点を厳しく指摘する。5月に入ってから1勝4分けと負けはないが、ポテンシャルをまだ出しきってはいないはずだ。

 14対5とシュート数で圧倒した山形は、まさに樋口監督が言う「1点が遠く、勝ちきれなかった」試合になった。攻撃の形はできていた。シュート数にカウントされないゴールチャンスも、一度や二度ではなかった。しかし、ゴールネットを揺らせなければ、つかめる勝ち点は1しかない。スタジアムを包んだのは、勝ち点2が消えた喪失感だった。「『ブルイズ』やってみたいんですよね」。プロ入り後初のベンチ入りを果たしたGK鈴木雄太が試合前、選手とサポーターが一体となる勝利のパフォーマンスを楽しみにしていたが、それもお預けとなった。

 「これが実力だと思いますよ、正直。もともと、そんなに点が取れるチームじゃない」と吐き捨てるように言ったのは、ディフェンスリーダーの小原。ただ、それはいま判ったことではなく、連勝が続いている時期から一貫して認識していたこと。そうした厳しい状況のなかにいることも忘れずに、ここまでだって戦ってきた。驚きも戸惑いもない。ただ、覚悟は再確認できた。10試合ぶりに無得点となったこの試合の悔しさを、次なる成長のエネルギーにすればいい。日曜日、仙台で宿敵が待っている。

以上

2007.05.24 Reported by 佐藤円
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