5月26日(土) 2007 J1リーグ戦 第13節
鹿島 2 - 0 甲府 (16:03/カシマ/10,081人)
得点者:'28 岩政大樹(鹿島)、'76 佐々木竜太(鹿島)
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「強かった頃のような試合運び? 確かに。(大岩)剛さんとかDFのメンバーが頑張ってくれているのもあるけど、監督の指示が浸透してきた部分はある」と、2点目の起点となった本山雅志も笑顔を見せた。水曜日に敵地で下したヴァンフォーレ甲府を、今度はホームに迎えて2−0で撃破したのだから、選手たちの言葉も滑らかになって当然だろう。これで5月はリーグ戦・カップ戦含めて5勝2分と無敗。順位も暫定9位まで上がり、いよいよ鹿島の巻き返しが本格化してきた。
今週末でJ1は最初の中断期間に入る。第12節終了時点で10位の鹿島も14位の甲府も、1つでも順位を上げておきたいところだ。
鹿島はこの日、エース・マルキーニョスが右ハムストリング肉離れで全治2週間と診断され、試合に出場できなくなった。そこでオズワルド オリヴェイラ監督は興梠慎三を先発FWに起用。U−22日本代表候補に選ばれた若武者に大きな期待を寄せた。基本布陣は従来通りの4−4−2だが、今回は甲府のキーマン・茂原岳人を消すために2人がかりでマークする作戦を取った。
一方の甲府は23日のゲームからFW3人をそっくり入れ替えた。今回は右に大西容平、真ん中に山崎光太郎、左に茂原という配置だ。負傷離脱していた杉山新も前節から復帰、右サイドバックで先発した。
甲府が細かいパス回しと豊富な運動量で攻撃を組み立て、鹿島が引き気味に対峙しカウンターを狙う形が予想されたこの試合。案の定、甲府は序盤から飛ばし気味に来た。鹿島はうまくボールを支配できなかったが、20分に甲府のDF津田琢磨が負傷退場したのを機にリズムを取り戻す。大木武監督も「あの負傷は誤算」と苦い表情を浮かべていた。
そして28分、鹿島はワンチャンスから先制点を奪う。中盤右寄りの位置から野沢拓也が蹴ったFKをドンぴしゃりのタイミングでヘッドしたのが岩政大樹だ。「シュートを打った瞬間から入ったと思った」と本人も確信したゴールで、彼らは1点をリードした。
ビハインドを背負っても、甲府は攻撃の手を緩めなかった。前半終了間際にはゴール前に抜け出した山崎がGK曽ヶ端準と1対1になるが、残念ながらシュートは正面に飛んでしまう。「点が取れなくて何とかしなければいけない状況なのに責任を感じる」と山崎自身、大いに悔しがるビッグチャンスだった。
迎えた後半。甲府はさらに前がかりになる。「エンジンを20〜30%あげろ」という大木監督の指示に選手たちも呼応した。その原動力となったのが茂原だ。前半は左サイドに張り付いていることの多かった彼だが、後半は山崎、大西と頻繁にポジションチェンジをしながら攻撃の起点となった。彼がボールを持つたびに何かが起きそうな雰囲気だった。
けれども、この猛攻を封じきれるのが今の鹿島である。「茂原さんに外でボールをキープされるのはしょうがない。大事なのは中に入ってきた時のケア。大樹さん(岩政)や剛さん(大岩)がしっかり中を固めていたのがよかった」と、茂原と同じ前橋育英高出身の青木剛は語った。確かにこの日の鹿島守備陣は鉄壁で、どこまでも相手の決定機を跳ね返し続けた。曽ヶ端の反応も素晴らしかった。圧巻だったのは後半20分。2列目から飛び出してきた大西のフリーのヘディングシュートをセーブした場面だ。これを決められていたら、試合はどうなっていたか分からなかっただけに、彼の働きには大きな価値があった。
鹿島が勝負を決めたのは後半31分のカウンターによる2点目だった。貴重な決勝ゴールをもぎとったのは2年目の佐々木竜太。左のすねを打撲した興梠に代わった点取屋は、野沢からのクロスに絶妙の反応を見せ、右足を思い切り振りぬいたのだ。「自分はスピードや高さでは他のFWに勝てないから、点を取ることで勝負するしかない」と話す19歳のストライカーのJ1初ゴールで、鹿島は水曜日に続いて甲府を撃破した。
これで5月は無敗。3〜4月の不振から完全に抜け出し、鹿島は優勝候補の一角と言われるに相応しい強さを見せ始めた。しかも今回の甲府戦などは「相手に攻めさせて、手堅い守りで跳ね返し、大事なところで得点する」というかつての強い鹿島を彷彿させるような勝ち方だった。「ここ数試合、失点が少なくなってきたのは、DF陣だけではなくチーム全体が連動してきたから」とオズワルド オリヴェイラ監督も太鼓判を押したが、守備の連動性向上が今の好調を支えている。
非常にいい流れでJ1最初の中断に入る鹿島。次の6月9日の大分戦(@九石ド)には負傷中のマルキーニョスやファボンも戻ってくる。興梠のケガも癒えるはず。この勢いで一気に畳み掛けたいところだ。
甲府の方はナビスコカップを含めて公式戦3試合連続無得点という苦境にあえいでいる。大木監督も選手たちも「何とかして点の取れる方法を見出さないといけない」と口をそろえる。昨季に比べるとボール回しや攻撃の組み立ては向上しているが、バレーという大黒柱がいなくなったことが今も重くのしかかっているようだ。キャプテンの石原が「今は自信を失わないことがいちばん大事。自分たちのサッカーを見つめ直すところからもう1回始めたい」と言うように、今はとにかく前向きさを失わないことが肝要だろう。決して内容は悪くないのだから。
以上
2007.05.26 Reported by 元川悦子
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