6月23日(土) 2007 J1リーグ戦 第17節
甲府 2 - 0 大分 (19:04/小瀬/11,298人)
得点者:'22 石原克哉(甲府)、'89 久野純弥(甲府)
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■注目プレイヤー: 久野 純弥選手(甲府)
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試合前は妙にテンションの高い雰囲気だった。5月3日(対横浜FC)以来の勝利への期待と、連敗の数字が5に増える覚悟。後者の割合が一定以上になって安定して混じり合うとハイテンションになる人間が増え始める。イタリアブランドの勝負スーツを引っ張り出してきた女性広報。スーツ武装に加えて、スカーフで自分の首を締め付けたために、アドレナリンが止まらないのか、妙(無駄)に声が大きく、「(スカーフが似合うスーツを何着持っているのか知らないが)今日勝てば、これからもスカーフを巻き続ける」と宣言。地元テレビ局の女性アナウンサーは「甲府は勝たなくていいです。大分が負ければいいんですから。(シャムスカ監督がマジックを使えないようにするために)呪いをかけてきます」と、爽やか魔女に変身する。
核となる選手である林(2試合)と茂原(未決定)の出場停止を受けた甲府。大木監督はアンカーにこれまでサイドバックで使ってきた井上を入れ、3トップは須藤を中央に再起用し、左右に宇留野と大西を配置した。そして、CBでは犬より速く走り、猿よりアクロバティックに動くことが出来る池端を増嶋に代えて先発させる。対する大分は、金崎が久しぶりに先発に復帰したが、U20日本代表の森重、福元はベンチスタート。高松、根本の名前はサブにもなかった。
連敗中の試合を見続けてきた甲府サポーターは、開始10分もしないうちに「安心して観ることが出来る」と感じたのではないだろうか。何度かシンプルに長いボールを蹴られたのだが、そのボールはDFラインの裏には入らなかったし、そのボールに効果的に反応できた大分の選手もいなかった。そして、何よりこれまで目立っていたミスが飛躍的に少なくなった。試合前日に、柏戦(第7節、3−2で勝利)のビデオを観て、「(連敗中とは)スピードとテンポが違うし、みんなが動いていることが分かった。出来ていたことが出来なくなっていた」(石原)ということを確認していたのだ。また、3トップの中央(須藤)にボールが収まることも、2列目からの押上げとリズムを取り戻す意味で非常に効果的だった。そして、21分にセットプレーから石原のゴールが生まれる。「山本、宇留野とパスが通って、ゴチャゴチャしてからボールがこぼれた。ファーに転がせば何かが起きると思った」(石原)というシュートは、大分のDFに当たって少し方向を変えてネットを揺らした。
大分は、甲府の3トップに対応して4バックで臨んで来た。しかし、繋いでタメを作るサッカーはバスの中に置き忘れたようで、ボランチがパスを受けるシーンは少なかった。三木は前半を振り返って「ボランチが受けないと話にならない」と話した。11分に松橋が右サイドを突破してシュートを打っていたが、このシーン以外で大分の選手は給料に見合った仕事は出来なかった。前節(千葉戦)の課題が継続している印象だ。
後半も甲府がゴールの匂いを漂わせながら時間を消費していたが、大分が、前田(61分)、山崎雅人(70分)とフレッシュな選手を投入していくと、その匂いが徐々に消え始めてしまう。71分にはマークの受け渡しが乱れて、山崎雅にペナルティエリア内でシュートを打たせてしまう。大木監督は、スピードスター・久野を投入するが、それだけでは大分に傾きかけた流れを止めることは出来なかった。小瀬の椅子が座るための道具に見えなかったのか、立ちっぱなしで指示を出していたシャムスカ監督のマジックは、終盤になってくると、前述のアナウンサーの呪いを解き始めた。79分、81分、83分、87分、88分と間欠泉のように大分が決定的チャンスを作る。しかし、「3試合で11点ブチ込まれた」悔しさを受け止めているGK鶴田は、大分のシュートをことごとく防いだ。ただ、3分間のロスタイムに入ってからもチャンスは大分の味方だった。CKのチャンスには、藤田と久野をセンターサークル付近に残す甲府に対して、大分は三木1枚を残してパワープレーに出る。しかし、そのボールは鶴田がキャッチして、スーパーロングスローで久野に渡る。このスローが全てをひっくり返した。「(藤田)健君が逆サイドでフリーだったけどシュートしか考えていなかった」という久野は、ドリブルからそのままシュート。ネットが内側から揺れると、小瀬のスタンドは爆発したように、同時に歓声が沸き起こった。追い付かれる不安が、勝利の確信に変わった。
試合後、「一つ勝って全てが解決するわけじゃない。だから次のゲームが大切」と大木監督は戒めの言葉を残した。次節の名古屋戦、ナビスコカップの川崎F戦と大事なゲームが続くが、前半戦を終わる前にきっかけを掴んだことは大きい。また、池端、久野、井上、大西、田森ら、新しい力や違うポジションで能力を発揮する選手の登場は、林や茂原の不在をマイナスのままで終わらせなかった。この自信は甲府を前進させる原動力として、今後に大きな意味を持つことになるだろう。
以上
2007.06.24 Reported by 松尾潤
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