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【J2:第24節 札幌 vs 草津 レポート】4試合連続ノーゴールだった草津が研究の成果を生かして堅守・札幌から2得点。見応え溢れるドローゲーム(07.06.28)

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6月27日(水) 2007 J2リーグ戦 第24節
札幌 2 - 2 草津 (19:04/札幌ド/13,458人)
得点者:'19 西谷正也(札幌)、'40 氏原良二(草津)、'59 芳賀博信(札幌)、'83 高田保則(草津)

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それほど大きくはないものの、序盤はチームとしての勢いの差が表れていた。草津はポゼッションスタイルでボールを運ぼうとするが、所々でプレーの判断が遅れて効果的な展開ができなかったり、ちょっとしたトラップミスによるヘッドダウンや、無駄な横パスにより札幌DF陣にラインを押し上げられてしまい、チャンスの芽を失う場面が目立った。絶好のカウンターチャンスを得ながらも、パスの出しどころを探すうちに時間をかけてしまいフイにしてしまうシーンもあった。相手の三浦監督に「(草津の)中盤4人の選手が、ボールを回すのが非常に上手い」と褒められながらも、ボールを奪ってからの最初のパスや、ラストパス一歩手前のプレースピードが遅く、もったいない場面を幾つも演じてしまっていた。

一方、シンプルな攻撃が持ち味の札幌は、ボールを奪ってからの判断がどの選手も速かった。16分には左MF西谷がボールを受けてからの一瞬の判断でダヴィにパスを通して決定機を作り、18分過ぎには最終ラインでボールを拾ったDF曽田が左サイドで張っていた西谷にロングパスを送ってチャンスを演出するなど、チームとしての狙いがハッキリと感じ取れた。そして19分、カウンターからFW中山が絶妙なラストパスを西谷へ送り、それを西谷が左足で冷静にゴールへと流し込んだ。

ここまで首位を独走する札幌は堅守を活かしての「先行逃げ切り」が勝ちパターン。それを考えれば、この時点で試合の大勢は決まったようなものだと多くの観衆が思ったはず。しかし、さすがの第2クール後半。この日の草津は札幌の守備スタイルをかなり研究していたようである。

それが垣間見えたのは開始6分に草津が得たCKだ。札幌は、CK時の守備ではブルーノ・クアドロスだけが相手の優先順位の最も高い選手にマンマークでつき、その他の選手がゾーンで守るスタイル。この日のブルーノ・クアドロスは187センチのチカのマークについていた。そこで草津はこの場面、ニアポスト付近に張っていた選手がショートコーナーを受けるべく突如走り出し、その対応のためにゴール前から離れた札幌選手のいた無人ゾーンにボールを送り込むことで決定機を作った。そしてこれは後半のことになるのだが、同じくCKの場面でブルーノ・クアドロスのマンマークを受けているチカをおとりにして、184センチの氏原を活かすなどアイデアを見せた。

40分に生まれた同点ゴールもそうだった。氏原、高田という草津の2トップは、ゾーンで守る札幌の人と人との間に徹底してポジションを取っていて、この場面で氏原はDF中央の曽田とブルーノ・クアドロスの中間に上手く入り込みヘディングシュートを決めたのである。

後半に入ると、攻守の入れ替わりが多い見応えのある展開となる。多少のイージーミスはどちらにもあったが、攻守が激しく入れ替わる展開にはそれなりの見応えがあった。そうしたせめぎ合いのなかで、59分、草津の布陣が間延びした隙をついて芳賀が強烈なミドルシュートを叩き込み札幌が再度リードを得る。「今日は点を取れそうな気がしていた」という芳賀のビューティフルゴールは、前節まで4試合無得点だった草津の戦意を削ぐには充分かと思われた。
しかし、試合はこのままでは終わらなかった。草津・植木監督はFW松浦、MF桑原、MF山崎という攻撃的な選手を次々に投入し、貪欲に同点を目指した。そして、見事にそれを掴み取ったのだ。

「草津は高木の特徴をよく知っているから」とは試合後の札幌DF西澤の弁。そう、今季札幌のゴールマウスを守るGK高木は昨季草津で全試合のゴールマウスを守っていた選手である。草津イレブンは当然、その高木のスタイルは充分に把握している。
高木は至近距離および遠距離のシュートに対しての反応には抜群のセンスを持っているが、その一方で、前方のスペースへ積極的に飛び出すタイプのGKではない。それを知っている草津は終盤の時間帯、札幌DF陣と高木との間のスペースへ何度もボールを蹴り込んで揺さぶりをかけ、そして83分、そのプレーからのこぼれを拾った高田が蹴り込んでドローに持ち込んだ。

やはりこれがJ2の面白さなのだろう。すべてのチームと4回ずつ対戦するJ2では、時には戦力アップと同じくらいに他チームの研究が重要な意味を持つことがある。今季ここまで首位を独走する札幌だが、同時にそれは他チームからのマークがキツくなるということも意味する。今回の草津だけでなく、他チームも様々な策略で札幌攻略を目指してくるのだろう。そしてもちろん、札幌自身もそうした策略に打ち勝つべくチーム強化に力を入れるはず。今後のリーグの展開からはますます目が離せなくなりそうだ。

以上

2007.06.28 Reported by 斉藤宏則
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