6月27日(水) 2007 J2リーグ戦 第24節
水戸 1 - 3 仙台 (19:04/笠松/2,099人)
得点者:'16 萬代宏樹(仙台)、'19 富田晋伍(仙台)、'24 吉本岳史(水戸)、'78 ロペス(仙台)
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「ワーストゲームの一つ」と試合後、ロペスが語ったように、試合は水戸の優勢で進んだ。だが、そこには確実なる力の差が存在した。特に攻撃面、仙台はボールを奪うなり、1人1人がしっかりスペースを見つけ、そこへ飛び出していく。ボールを奪ってから数秒で数的優位を作り出しシュートまで持ち込んだ仙台は、敵陣内でボールを奪ったシーンは必ずと言っていいほどシュートまでつなげていた。16分、19分の得点シーンはまさに電光石火の攻撃であり、水戸が守備陣形を整える前にフィニッシュにつなげる狡猾さが仙台にはあった。チャンスの数では劣った仙台が、2点を先制することとなった。
一方、水戸は稚拙であった。小椋、村松を中心にテンポのいいパス回しで仙台を翻弄したものの、ゴール前までボールを持っていけず。特にサイドにボールが入った時のゴール前の動きは仙台のそれと比べて格段と劣るものであった。「工夫と落ち着き」。水戸の攻撃に必要なものを前田監督はそう語る。
たとえば、右サイドの金澤にボールが入った時。彼がサイドで孤立するシーンがよく見られる。というのも、彼からの精度の高いクロスは水戸の最大の武器であり、そこから上がるクロスに対して準備するために前線の選手をはじめ、多くの選手がゴール前に入ろうとする。しかし、全部が全部好クロスを上げられるわけではないし、突破ができるわけではない。特にここ数試合は相手から厳しいマークを受けることが多く、彼に自由は少ない。
金澤は言う。「僕ももっと周りを見ないといけない。ただ、僕が持つとみんな中に入ってしまう。もう少しサポートに来てもらいたい」。金澤がどういう状況なのかを考えて動く柔軟さがさらに攻撃の幅を持たせるためには必要である。そのシーンを含め、攻撃面においての「細部」の動き方の修正が求められる。
ただ、その反面、そうした「細部」を詰めることで飛躍的にチームが成長する基盤が水戸にはある。この日も前節京都戦に続き、試合を支配したのは水戸であり、上位相手でも引けを取らない戦いを見せている。
この試合においても先にリスクをかけたのは水戸であった。16分、膠着した展開の中、DF裏のスペースに走りこんだのはボランチの小椋。最後尾の鈴木和がそこにロングボールを入れようとしたものの、中盤でカットされ、そこから速攻を食らい、失点を喫してしまう。水戸の積極性がマイナスに働いてしまった格好となったが、リスクとチャンスは紙一重。積極性こそが今季の水戸の売りでもある。その姿勢は失ってはいけない。要はそこへボールを入れるかどうかの判断。ボランチが1枚欠けている中でリスクのあるボールを入れることが妥当かどうか。そうした部分での「細部」の判断一つが勝敗を分けるということをもっと真摯に受け止めないといけない。
19分には仙台の速いパスワークについていけずに失点したものの、24分、吉本がFKから芸術的なシュートを右隅に突き刺し、1点差に迫る。すると、その後は水戸の猛攻が始まり、後半はほぼ仙台陣内で試合が行われる展開となった。だが、仙台はセンターバックとボランチのジョニウソンの体を張った守備で耐え、そして78分にカウンターからロペスが押し込み、勝負あり。仙台が劣勢ながらも貴重な勝ち点3を手に入れた。
攻め込みながらも勝ち点を奪えなかった水戸。過去これほどまでに仙台を押し込んだ試合はなく、確実にチームは力をつけていることは間違いない。ただ、「勝つ」という意識に対して希薄さも感じられる。前節同様、ミス絡みからの失点。ミスからの攻撃に対して何が何でも止めるという力強さに欠けていた。攻撃面においても相手のミスにつけこむことができず。「ツボを知っている、というところで差が出た」と前田監督は言う。そろそろ水戸も「ツボ」に固執するべきではないだろうか。
どの試合でも内容のあるサッカーはできている。あとは結果だけだ。「結果が求められる世界」(金澤)にいる限り、「勝利」から逆算した判断が選手個々に求められている。その大きな壁を越えることが一番難しいのである。この壁を乗り越えた時、本当の意味で仙台と伍すことができるのだろう。
以上
2007.06.28 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
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