6月27日(水) 2007 J2リーグ戦 第24節
湘南 2 - 4 京都 (19:03/平塚/7,968人)
得点者:'3 パウリーニョ(京都)、'19 田村雄三(湘南)、'41 徳重隆明(京都)、'52 倉貫一毅(京都)、'84 パウリーニョ(京都)、'86 北島義生(湘南)
----------
大切な局面において両者に差があった事実は否めない。よいゲーム運びをしながらフィニッシュ、あるいはフィニッシュに持ち込むまでのプレーに課題を垣間見せた湘南に対し、京都は相手に時間帯を譲りながらも決めるべき場面で一気に集中力をかき集めたかのように得点を重ねた。とくに今節のアウェイチームは、前後半の立ち上がりと前半の終り際にゴールを挙げたことからも顕著なように、抑えるべき勝負どころを確実に逃さなかった。
白熱のゲームの号砲は開始わずか3分に放たれた。京都は湘南の連携のミスを逃さず中盤で奪い、斉藤大介がすかさず前線へ送る。これに反応したパウリーニョの瞬発力は逞しい。DFの背後を捉えると、相手GKの位置を見極め落ち着いて先制点を沈めた。じつは開始1分にも満たない時点でも、おなじようにこの背番号10はボランチのスルーパスから敵の背後を盗んでいる。そこで湘南DF陣はマークを確認していたが、そんな警戒網をもすり抜けるのだから脅威というほかはない。
さらに京都は序盤、相手の両サイドバックに対するプレスを強め、ボールの出どころを抑えていた。立ち上がりに湘南がリズムを掴みきれなかった要因でもある。
だが両翼がプレスを仕掛けつつコンパクトなラインを敷く京都に対し、湘南も最終ラインから背後を狙うロングパスで応戦する。たとえば右サイドバックの田村雄三から逆サイドの加藤望、あるいはアジエルへ送るといったくだりである。こうして次第に相手の狙いどころを剥いでいき、また中盤にスペースを見出しながら流れを引き寄せていった。出場停止の原竜太に代わってトップに入った永里源気の効果的な動きも見逃せない。19分の同点弾は、リスタートから永里が右サイドの高い位置でキープし導かれたものだ。永里がアジエルに落とし、その間にサイドを駆け上がった田村が角度のない位置から強烈なミドルを撃ったのである。
コンパクトに保ちタイトな守備に徹する両者の攻防は見ごたえ十分だった。プレスバックを含めた前線からの守備は湘南に分があり、対する京都も切り替え後のパウリーニョの動き出しが予断を許さない。
ただ、美濃部直彦監督が「いい守備からいい奪い方ができてきた」とチームの成長を口にする一方で、「それ以上に質が高かった」と認めた湘南のポゼッションが徐々に支配を強めていったのは事実だった。たとえば永里のプレスバックに始まり、トップと中盤、そしてサイドバックを絡めゴールに迫っていくパスの連鎖は、形勢を確実なものにした。あるいはボランチの北島義生が相手を背負いながら前へパスを繋いだプレーも、日々のトレーニングの賜物である。終盤、ポストに嫌われた加藤のフリーキックと永里のミドルは、そうした流れのなかで引き出されたシーンだった。
逆に京都が抜け目ないのは、相手が決定機を外した直後のチャンスを逃さないことだ。攻守の切り替えから畳み掛け、湘南ゴール正面でファウルを誘うと、徳重隆明が壁を越える鮮やかなフリーキックを左隅に沈めた。この追加点が前半終了際、41分のことである。
瞬きすら許さぬような緊迫の45分間を終え、アウェイチームの1点リードで後半が幕を開ける。振り返れば前半は、湘南がビハインドこそ背負ったものの主導権を握り、逆にリードした京都は支配を許していた。しかし、「京都のカウンターは普段の状態でもストロング。ましてや追わなければいけない状況が今日の結果に表れたのかなと思う」と菅野将晃監督が語ったように、つぎのゴールはゲームを主導する側ではなく、支配を許したほうのチームに生まれたのだった。後半立ち上がりの52分、両者ともに見せ場をつくった直後の出来事だ。京都が速攻から左サイドを陥れ、ゴール前に詰めた倉貫が追加弾を突き刺したのである。「前半のうちに2点を取れたこと、そして倉貫の3点目が試合運びを楽にした」と、指揮官を安堵させた貴重な一撃だった。
その後も構図は変わらない。前半からハードワークを続けた両者の、とくに全員が攻守に奮闘する湘南の足が止まったことは否めないが、それでもポゼッションを譲らずゴールを目指し続けた。両者が切った3枚のカードもそれぞれに存在感を示し、新鮮な血をピッチに注いでいる。京都はその新鮮なカードの1枚である渡邉大剛のラストパスから、ふたたびパウリーニョが沈めた。一方の湘南は、足が攣るまで前半から広いエリアをカバーし続けた北島が、アジエルのコーナーキックからゴールをねじ込んだ。こうして最後まで総力と死力を尽くした一戦は、京都の勝利で幕を下ろしたのだった。
今節の結果を受け、2ゴールを決めたパウリーニョは、東京Vのフッキに並ぶ13得点でランキングトップに躍り出た。逆に湘南はアジエルと石原が封じられながら、田村と北島という伏兵が2得点を挙げた。次節、湘南は中2日で山形へ臨み、京都も中3日のアウェイ連戦となる。まずはコンディションを整えることが先決となろう。猛暑と予想される夏場が待っているが、しかし今後も、観る者を沸かす両者の好ゲームに期待したい。
以上
2007.06.28 Reported by 隈元大吾
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第24節 湘南 vs 京都 レポート】白熱の好ゲームを制したのは、効果的に得点を重ねた京都。今季3度目の3連勝で、湘南の3位浮上を阻止。(07.06.28)
- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













