6月27日(水) 2007 J2リーグ戦 第24節
鳥栖 2 - 1 山形 (19:03/鳥栖/3,630人)
得点者:'55 北村知隆(山形)、'79 山城純也(鳥栖)、'85 高橋義希(鳥栖)
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中9日で試合に臨む鳥栖と直近8試合勝利に見放されている山形。
どちらのチームの方が、勝利に対する貪欲さが強いだろうか。
鳥栖は、前々節に4失点と良いところ無く敗れていた。けが人もコンディション不良のメンバーもいる。岸野監督が選んだ今節のメンバーは、「いかなる状況に陥っても対応できるメンバー」だった。FWには、コンディションが思わしくないレオナルドに代えて、山城を藤田と組ませる布陣を引いた。
開始早々にDF吉田がふくらはぎを痛めて退場となった。13分には、MF高地が足首を痛めてしまった。15分には、DF柴小屋が古傷の肩を強打した。
しかし、岸野監督にとっては「想定内」のことだったのかもしれない。吉田に代えて長谷川を右サイドDFに入れ、日高を左サイドDFに回した。前半を終了すると高地に代えて村主を入れ、高橋を少し高めの位置に置いた。予測外の怪我で、3枚しかない交代カードを前半から2枚使わざるを得ない状況でも、岸野監督はあわてることは無かった。この「いかなる状況に陥っても対応できるメンバー」たちが、後半79分からのドラマを生むことになるとは、誰にも予測できなかった。
前半から両チームとも高い位置からプレッシャーをかけて、リズムを掴もうと走り回った。鳥栖は、ボールを奪うとポゼッションしながら、山形DF裏を執拗に狙った。山形も同様に鳥栖DFの裏にFWを走らせた。両チームともコンパクトな陣形を保ちつつ、前線からボールを奪いに行く意図が明確にあらわされていた。そして、試合が動いたのが55分、山形の先取点だった。
左サイドの財前から、この日初先発となったFW坂井にボールが渡った。坂井は鳥栖DFをかわして、ゴール前に走りこんだ北村の足元に送り先制点を演出した。坂井の粘りと北村のポジショニングで奪った先制点だった。
この日の北村は右MFに位置し、度々前線に飛び込む動きを見せていたので、樋口監督の狙い通りの得点だったのかもしれない。しかし、これまで8試合勝利から見放されているチームの運命なのか、このあとの試合運びに明確な意図が伝わってこなかった。先制点直後の交代でFW豊田、67分にMF佐々木と攻撃的な選手を入れたにもかかわらず、攻撃のリズムはそれまでと同様にDF裏を狙い続けていた。これが、その後のドラマを生む結果となる。
79分、ハーフウェイライン近くで村主がボールを持った。左サイドを駆け上がった日高にボールが送られる。山形DFは、ボールサイドに寄りつつラインを形成した。上背のある藤田には、レオナルド(山形)が身体を寄せた。日高のボールは藤田へ送られた。レオナルドと競った藤田の頭でコースが微妙に変わった。そのコースが変わったボールは、この日前線を縦横無尽に動き回っていた山城に入った。フリーな状態で受けた山城は、左足でゴール上部に豪快に蹴りこんで勝負を振り出しに戻した。
それまで、統率されていた山形DFに手を焼いていた鳥栖が、勢いに乗じて追加点を奪ったのは6分後。残り時間わずか5分というところだった。長谷川からのロングフィードに約50mを走りきった高橋が、山形DFに競り勝ちボールを奪ったのである。角度の無い位置でのGKと1対1。中には途中交代で入ったレオナルドがフリーの状態で待っている。しかし、高橋の選択はシュート。GKとの間合いを計り、ループシュートで決勝点をあげた。前半から、何回も前線への飛び出しを見せていた高橋の努力が、最後に実を結んだ。
勝利への執念は山形が勝っていたかもしれない。前半からアグレッシブにボールを奪いに行っていた。狙い通りに先制点をあげることができた。しかし、勝っていないチームだからこそ、2点目を奪うのか1点を死守するのかを明確にしないといけない。そこに山形の甘さが見えた。対して鳥栖は、先制されたので得点を奪うしかなくなっていた。リスクを犯してでも、得点をあげる意図を選手全員が持ち続けた。その想いが、数少ない好機を生かし勝ち点3をもたらした。
チャンスもシュートもボールを支配する時間も鳥栖より山形が上回っていたことを、この日の鳥栖スタジアムに駆けつけた両サポーターは見ている。どちらも勝利への執念を持った熱い試合だった。ボールデッドになる時間が短く、ボールが良く動く試合だった。選手の疲労は、相当なものだったであろう。しかし、試合を見ている我々には、争点が多くエキサイティングな試合だったといえる。砂川主審の見事なレフリングも読者諸兄にお伝えしないといけない。
両ベンチと選手全員、そして審判が一体となった試合は、90分という時間の経過を全く感じさせない。だからサッカーは面白い。
以上
2007.06.28 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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