6月27日（水） 2007 J2リーグ戦 第24節
Ｃ大阪 0 - 2 東京Ｖ　（19:03／長居／6,715人）
得点者：'29 フッキ（東京Ｖ）、'66 オウンゴ−ル（東京Ｖ）

----------

　大阪長居スタジアムの気温は27度、風がほとんどない蒸し暑さの中でのキックオフ。ホームのC大阪はここまで4連勝。しかもそのすべての試合で無失点と、チームとしてまとまりを見せ始め、5連勝して上位に迫りたいところだった。しかし、この日のメンバーは前節までとは違ったもの。FWの小松塁が負傷欠場、左の攻撃的MFとして活躍を続けていた香川真司はU-20日本代表メンバーとしてカナダに旅立った。同じくU-20日本代表の森島康仁も不在で、ベンチ入りした選手の顔ぶれも前節までとは異なっていた。

　レヴィー・クルピ監督がチョイスしたのは、FWにキム・シンヨン、左の攻撃的MFに堂柿龍一。キムは前節の草津戦で古橋達弥のゴールをアシストするなど、チームにフィットし始めていた。一方の堂柿はこれがプロ初出場。持ち味であるスピードあるドリブルや左足からのパスをどれだけ見せられるか注目された。先手を取りたいC大阪は開始直後から積極性を見せた。3分に苔口卓也がミドルシュートを放つと、8分にはキムの左からのクロスに古橋が飛び込んで相手ゴールを脅かした。が、そのあとディエゴ、フッキ、佐藤悠介を中心に東京Vの中盤がボールを支配し始めると、流れが変わっていった。

　東京Vも前節の札幌戦からメンバーを変えていた。負傷したというFW廣山　望に代えて長身の船越優蔵を、同じくケガを理由にCB富澤清太郎を外して戸川健太を起用。そしてもうひとつ、この試合でキーとなった右サイドハーフのポジションにも前節とは違う選手が入っていた。「（C大阪の左サイドの）ゼ・カルロスのことを考えると、（前節出場の）藤田より海本のほうが（相手が）苦手かなと思った」。ラモス瑠偉監督の読みが的中した。海本は厳しいマークを続けてゼ・カルロスの進出を許さず、ほぼ完璧に役割をまっとうした。逆サイドも同様で、左CBの戸川と左サイドハーフの服部が相手の進出を阻んだ。

　試合が動いたのは29分。相手陣内でボールをつなぎ始めていた東京Vは、ボランチの佐藤が左にはたき、服部がつないで最後はフッキ。「イメージどおりだった」（フッキ）というシュートがゴールネットを揺すって、アウェイチームが先制した。そのあとも東京Vの優位は変わらず、0-1で前半が終了した。

　C大阪にすれば、0-1の時点で効果的な手を打ちたいところだった。が、いつもならこの状況でピッチに登場するはずの森島康はいない。前半同様のメンバーで後半をスタートさせ、49分と56分にチャンスを作るが、得点には至らなかった。59分にクルピ監督が切った最初の“カード”は、左MFの堂柿に代えて、ボランチの千葉を投入することだった。4バックの前に3人のボランチ（宮本、千葉、アレー）を並べ、前線に苔口卓也を上げて古橋、キムとの3トップに。が、皮肉なことにこの交代が裏目に出てしまった。66分、フッキの上げた右サイドからのクロスに、C大阪・千葉がヘディングで飛び込み、痛恨のオウンゴールになってしまったのだ。

　2点差になって、C大阪はさらに苦しくなった。無理をせず、スペースを消して守りを固める東京Vに対し、なかなかバックラインを上げることができず、前線の3人が孤立。そこでトップ下に濱田武を入れて攻撃の形を作ろうとしたが、ゴールにあと一歩及ばなかった。「2失点はいずれもアンラッキーなもの。内容は互角だった」と、C大阪・クルピ監督。多くの戦力が離脱している点についても、「けがをしている選手は戻ってくる見込みだし、一時的な状況だ」と強気で、「4勝1敗のペースでいけば（J1昇格の）目標は達成できる」と言い切った。巧みに長所を抑えられ、攻め手を見出せずに敗れたこの試合。「悲観する内容じゃない。悪かったところを修正していけばいい」と語ったのは前田和哉。仙台、京都と上位チームとの試合が続くだけに、早く気持ちを切り替えることが必要だ。

以上