6月30日（土）J2 第25節 福岡 vs 水戸（13:00KICK OFF/博多球）
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　一時の最悪の状態は脱した。しかし、福岡はまだ微妙にかみ合わない状態が続いている。草津戦、山形戦となんとか連勝をしたものの、３連勝を狙った前節の愛媛戦では相手のペースに引き込まれてスコアレスドロー。90分間にわたって辛抱強くボールを動かしてパスをつなぐサッカーは出来たが、終盤に作り出した何度かのゴールチャンスをＦＷが決められなかった。まだ試行錯誤は続くが混戦模様の昇格争いに生き残るためには、もう無駄な勝ち点は落とせない。

　やっているサッカーに大きな問題があるわけではない。根本的にメスを入れなければならないほどの大きな修正点があるわけでもない。自分たちのサッカーをどうやって貫くのか。福岡の課題はまさにその１点に尽きる。互いの力関係から行けば、福岡が主導権を握る時間帯が多くなることが予想されるが、それを効果的にゴールに結びつけること、そして、自分たちのリズムを崩さずに試合を終わらせることが必要だ。置かれている状況からすれば勝ち点３が最優先だが、結果も内容も出さなければ上昇のきっかけは掴めない。

　水戸は最下位とはいえ決して侮れない相手。不用意に攻め込めば足元を救われかねない。ゴールを奪い、試合を有利に進めたいからこそ我慢が必要。ボールを広く、じっくりと動かして相手の守備網に穴を空け、チャンスには一気にスピードを上げてゴールを陥れたい。そんな福岡にとっての好材料は累積警告で出場停止処分を受けていたリンコンが戻ってくること。第18節以来のゴールでチームを勝利に導くことが期待されている。

　一方、昨年までは低い位置に構えて徹底して守り抜く姿が印象的だった水戸は、その姿を着々と変えつつある。立ち上がりにロングボールを多用して相手のラインを下げ、中盤にできたスペースを利用して、ボールをつないでビルドアップする。京都、仙台に敗れ２連敗中だが、試合内容では相手を上回る部分を随所に見せ、リアクションサッカーからポゼッションサッカーへの転身が着実に進んでいることを示した。

　U-22日本代表に選出された小椋祥平と村松潤のダブルボランチが攻撃の起点。右サイドからは金沢大将が縦への突破を仕掛け、左サイドの鈴木良和は中へ切れ込んで攻撃のポイントを作る。小気味よいリズムで中盤でつなぐパスワークは時として相手を混乱に陥れる。ただし、そこから先にまだ工夫が足りず、またミスも多く、成長の度合いが結果に反映していない。その壁を乗り越えるには公式戦での成功体験、すなわち勝利が何よりの薬。それを得るべく、高いモチベーションで臨んでくるだろう。

　じっくりとボールを回して相手を崩したい福岡。堅守をベースに高い位置で奪って素早くボールをつなぎたい水戸。中盤の主導権争いは非常に興味深い。簡単には穴を空けない水戸の守備網に対して、我慢してボールをポゼッションし続けられるかが福岡にとってのポイント。水戸にとっては、中盤から前線にかけて自由に動き回るアレックスのマークが鍵。多くのチームがそうであるように、アレックスの動きに引っ張られるようだと中盤にスペースを与えてしまうことになる。

　順位や勝ち点の差ほど一方的にはならない試合。両チームの丁々発止の駆け引きに注目だ。

以上

2007.06.29 Reported by 中倉一志