6月30日（土）J2 第25節 山形 vs 湘南（19:00KICK OFF/ＮＤスタ）
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　前回の対戦は第12節（ /jsgoal_archive/result/20070200030420070429_detail.html ）。４連勝で４位まで一気に順位を上げた湘南が、４連勝後１引き分けの５位・山形を平塚競技場に迎えた。勝点18で並ぶ好調なチーム同士の対戦で接近した試合が期待されたが、終わってみれば戦術がハマった山形が４−０と圧勝。山形はこの勝利を含めて３連勝で一気に首位まで駆け上がり、逆に湘南は２度の連敗などでしばらく中位をさまようことになった。あれから２カ月。途中、ジャーンの離脱などもありながら堅実に勝点を奪ってきた湘南は４位、９試合勝利がなく５連敗の山形は９位で今節を迎える。

　ラインを高く上げる両チームの試合は、コンパクトな中盤と広大なライン裏、という舞台設定になる。おそらく、クリア気味に放り込むようなボールは相手に対応されてしまうだろう。相手の意識を裏のスペースから逸らすためにも、激しいプレスをかいくぐりボールをつなぐトライアルは常に必要になってくる。が、そこで奪われれば一瞬にしてピンチを招くこことも忘れてはならない。

　湘南の前節・京都戦の最初の失点がそうだった。中盤で奪われ、サイドから早いタイミングでクロスが入ることで、中央突破のパウリーニョに振り切られてしまった。このときボールを失ったのが、絶対的に信頼されているアジエルだったことも事を大きくした一因だが、中盤で危険な奪われ方はぜひとも避けたい。
　とは言え、２−４で連勝が３で止まった京都戦においても、そのゲーム内容が連勝時と比べて悪くなっていたわけではない。攻守のバランス、中央とサイドの使い分けのバランスともに保たれ、11人が11人を意識することで、「当てて、落として、３人目の飛びだし」のパターンもおもしろいように決まる。サイドで縦のコースを切られれば、すかさずサイドチェンジで仕切直しができるのも、攻撃のリズムを持続できている要因だ。

　さらに、攻撃で大きな役割を果たしているのが２トップ。前節では永里も間で受ける動きや周囲との連携で光っていたが、今節は、縦への仕掛けに迫力が伴ってきた石原と、得意のクロス対応でアジエルと並ぶ８ゴールを挙げている原の先発が予想される。特に、原は今シーズン、体を張りまくるポストプレーでもチームに大きく貢献している。前節の出場停止で図らずも連戦から解放され、プライベートでは第一子誕生という明るい話題もある。前回対戦では怪我でメンバーに入らず、昨年まで２シーズン在籍していた山形とは移籍後初対戦となるだけに、心に期するものはあるだろう。

　迎え撃つ山形は５連敗。シュート数では、５試合すべてで相手を上回っているという不思議な現象が起きているが、それでも結果が出ていないのは、先制点を許す展開が多いことと、守備のポジションで致命的なミスが発生していることに起因している。ただ、連敗脱出の兆しもはっきりと見えている。前節・鳥栖戦では、敗れはしたものの、山形が最後に白星を挙げた第14節以来の先制点を奪うことができた。直前のサテライトリーグで結果を出した２年目のＦＷ坂井将吾が先発し、アシストを含む活躍を見せたことも、得点力不足に悩んでいたチームには十分な刺激となっている。バイタルエリアを使わせず、特にアジエルを周囲から遮断するために集中したディフェンスを実現したい。

　積み重なる黒星や順位がジリジリと下がっていく状況は、選手にとってもサポーターにとっても辛いものだったに違いないが、チームは間違いなく、再建への道をたどっている。それを勝点３という形につなげていくものを、選手はすでに知っている。「前節も試合内容は悪くなかったので、悲観的にならないで、あれを長い時間続ける。それしかない。戦術とかじゃない。気持ちで頑張る」（財前）

　ワンサイドで敗れた前回の借りを返したい湘南と、湘南戦をふたたび上昇の契機にしたい山形。「コンパクトな中盤と広大なライン裏」という舞台は、接戦とワンサイドゲーム、双方の可能性を含んでいる。そこに、３連戦の３戦目を中２日で戦うという条件も加わることになるが、勝点３を奪い取る権利があるのは、間違いなく、勝利への貪欲さが大きいほうだ。


以上

2007.06.29 Reported by 佐藤円