6月30日(土) 2007 J2リーグ戦 第25節
山形 1 - 0 湘南 (19:04/NDスタ/3,839人)
得点者:'89 横山拓也(山形)
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後半2度目のキックオフ直後、試合終了のホイッスルが鳴った。決勝弾を叩き込んだ横山はぎゅっと握った両こぶしを小刻みに振るわせ、木藤とレオナルドは抱き合ったまま固まったように動かなかった。それぞれがそれぞれの形で、5連敗、そして9試合勝利なしの長い長いトンネルから脱出したよろこびを全身で表現していた。5月3日以来、約2カ月ぶりの勝利となる山形のホームNDスタのスタンドも歓喜を爆発させた。
試合後の監督会見で、両指揮官は同じキーワードを発している。
「最後まで集中を切らさず、気迫あるプレーで守り、ゴールに迫った選手たちの戦いぶりに感謝したい」(山形・樋口監督)
「今日は山形の気迫溢れる力に我々が対抗できなかった、相手を上回れなかった、というのがいちばんの要因」(湘南・菅野監督)
「気迫」の差が生んだゴールは、2分間に設定された後半ロスタイムがほぼ終わろうかという時間帯。木藤から大きく右へフィードされたボールを、途中出場の佐々木が低い弾道のクロスに変える。ジャーンと斉藤の間に落ちる軌道に横山が頭から飛び込み、ゴールネットを揺らした。
山形のこの劇的な勝利は、思いもよらないアクシデントで幕を開けた。
試合前のウォーミングアップ中、先発予定の財前が左脚を負傷。山形は急遽、サブに予定していた木藤をボランチで先発させ、宮沢を財前の抜けた左サイドハーフに移す。さらに、出場予定のなかった本橋をバックアップメンバーとして登録する。しかしそうしたドタバタを、山形はキックオフ後のピッチには持ち込まなかった。
「相手は割り切って蹴ってきて、それに対して、自分たちは後手を踏んだ印象がある」と湘南・加藤が感じたように、前節に続き先発した林、坂井の2トップ、さらには右サイドハーフ北村が積極的に裏を狙い湘南の最終ラインを押し下げると、守備では外へ追い出すプレッシングで中央をしっかり閉じる。木藤は何事もなかったかのように試合に入り、前節に痛恨のミスで失点したセンターバック渡辺も凄まじい集中力を見せた。そうしたプレーのひとつひとつが、湘南2トップの原、石原が起点となることも、アジエルや加藤が中に入り中央をこじ開けようとする目論見も、最小限度に抑えることに成功していた。
ただし、前半16分のプレーだけは別だった。
「山形みたいにブロックで守ってくるチームには長い距離を走ったり、ボランチが変化を加えることが大事」という坂本がダイアゴナルに左へ走ってパスを引き出す。レオナルドを引きつけ、GK以外は渡辺1人となったゴール前へ向けてクロスを上げると、原のヘッドの折り返しに石原が右足ボレー。完璧に仕留めたかに見えたシュートは、しかしGK清水の正面を突く。湘南は前半最大のチャンスを生かしきることができなかった。
互いにパスをつなぐ時間帯はありながら、決定的なシーンはほとんどない前半を折り返し、後半に入る。霧雨から本降りへ、空が突然泣き出した後半5分あたりでは、山形がサイドなどを使いやや押し気味に進めていた。しかし後半11分、加藤に代えて永里がピッチに入ると、ここから湘南は流れを強烈につかみ返す。
永里がドリブルでプレスをかわして左サイドでフリーになっていた原へボールを供給。15分には原が奪ったボールをアジエルに預け、数的優位のカウンター。そのまま右サイドに走り込んだ原が再びボールを受けると、迷わず振り抜いた右足から飛んだシュートは、GK清水の手を弾く。25分には山口のクロスをファーで待つ石原が胸で落とし、混戦のなかでアジエルが左足を振るがミートせず右へそれる。サイドからボールが上がる機会が増えてきた後半28分には、石原に代えて梅田を投入。30分過ぎからは、アジエルのスルーパスに梅田がシュート、そのプレーで得たCKではジャーンの折り返しにアジエルがヘディングシュート、その後は山口のクロスに原がヘディングなど、畳みかけるような攻撃が続いたが、後半43分に梅田のシュートが清水にキャッチされたのを最後に、攻撃のバトンは山形へ。後半19分には林のヘディングにバーを叩かれるピンチをもはねのけてきた湘南だったが、もっとも大事な時間帯で山形の気迫に飲み込まれることになった。
湘南の連敗は今季3度目。ただし、一度も3連敗していない安定感が湘南の強さの土台となっている。次節(7/7@平塚)は、第1クールで敗れている福岡に、出場停止のアジエルと石原を欠いて臨むことになるが、追う立場にしてみれば、勝点1差(福岡37、湘南36)は格好のモチベーションになる。「しっかりと原点に戻って戦えるように」という菅野監督の思いを共有し、1週間充実したなかでリベンジマッチに備えたい。
山形は勝点30のまま5試合足踏みし、順位も一気に9位まで落とす苦しい状況から、まずは一歩抜け出すことができた。アクシデントを乗り越え、試合終了間際に決勝弾が生まれる劇的な勝利の余韻なら、いくら浸っていても飽きることはないだろう。ただ、忘れてならないのは、失ったものを取り戻す本当の戦いはこれから始まるということ。そして、それは取り返すその日まで続く。「第2クールはあと1試合。しっかりと戦って、第3クールへの反撃の狼煙となるように、今日の試合を評価したい」(樋口監督)。この勢いを活かせるか否か。首位・札幌戦と戦う次節(7/7@札幌厚別)まで、気迫をさらに強いものにしたい。
以上
2007.07.01 Reported by 佐藤円
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第25節 山形 vs 湘南 レポート】試合終了直前の決勝弾!山形が劇的勝利で湘南を下し、連敗を5で止める。(07.07.01)
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