8月18日(土) 2007 J1リーグ戦 第21節
広島 2 - 0 大分 (18:05/広島ビ/10,402人)
得点者:'29 服部公太(広島)、'71 ウェズレイ(広島)
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「俺たちの和幸、俺たちの誇り」
これは、広島サポーターがプライドを持って叫ぶ、森崎和幸のコールである。
通常なら、1回で終わるはず。だが、ここからいつもとは違った光景が見えた。
「カズ!カズ!カズ!」
そして。
「俺たちの和幸、俺たちの誇り」
もう一度、サポーターはコールを連呼したのである。
2試合連続。5連敗中3度目。これが、森崎和がPKを与えた数である。そしてそのすべてが、相手に勝ち越しを許すPK。彼は連敗の全責任を背負うような想いにとらわれていた。
しかし、サポーターはそんな森崎和に対し「俺たちが支えるから、前を向け!」というメッセージを込めた。森崎和は、そのサポーターの気持ちが嬉しかった。思わずこぼれ落ちそうになる涙をこらえながら、彼は「絶対に勝つ」という決意を新たにしたのである。
ただ、この試合が始まる前、広島の勝利を予測できたジャーナリストはほとんどいなかった。5連敗中。U-22日本代表・柏木陽介が出場停止。森崎浩司が昨日の前日練習時に左太もも裏を痛め、当日朝の練習でも違和感が強く出て出場できない。青山敏弘も急性の腰痛に襲われてメンバーから外れる。この緊急事態で中盤を組むこととなったのは、桑田慎一朗・李漢宰・高柳一誠の3人。急造の中盤といっていい。一方の大分が、再開以降は好調なプレーを見せていることもあり、「広島不利は否めない」というのが記者席の評価だった。
しかし、その予想を覆す活躍を、広島のMF陣は見せる。このところ、広島はいいパスからいい攻撃を演出していたものの、一方でFWを追い越してゴール近くに走り込む動きは影を潜めていた。「ベンチで見ていて、危険な走りをしていないと感じていた」という李は、前半、ウェズレイにクサビのパスが収まる前に走り出し、一気に長い距離を走って右サイドのスペースに走る動きを見せた。その動きに呼応して、桑田や高柳がダイナミックに走り出す。それが、広島の攻撃の幅を一気に大きくしたのである。
広島は守備でも、チーム全体がお互いを助ける動きを見せた。佐藤寿人が中盤を助けるべく広範囲に動き、最終ラインもラインを高く保つ努力を怠らない。積極的に戸田和幸や槙野智章が前に出るアタックを見せれば、この日鬼気迫る気迫を見せていた森崎和幸がその裏をカバーする。中盤の3人は、何度も相手ボールを奪って速攻へとつなげた。前半5分、カウンターから高松大樹が決定的なシュートを放ったが、そこを下田崇が素晴らしい反応で防ぐと、大分は広島の全員守備を崩せなくなった。
その流れからすれば、29分に飛び出した広島の先制点は、必然だった。ウェズレイのCKを佐藤が足を伸ばして落としたそのボール。「シュートだ!」と決意した服部公太が放った30m弱のドライブシュートは、下川誠吾の手をはじいてゴールネットに突き刺さった。
後半開始早々、途中出場の前田俊介が放ったスルーパスを梅崎司がシュートにつなげたが、これも下田が防ぐ。試合の流れを変えかねない決定的シュートを防いだ好セーブの後、広島は再びペースをつかんだ。そこで目立ったのが、森崎和である。前半は、槙野智章の積極的なオーバーラップの一方で、彼は正確なくさびのパスで攻撃を構築。そこに後半はドリブルも加えた。
62分、森崎和はペナルティエリア近くまでボールを運び相手を引きつけた上で、右サイドへパス。フリーとなった駒野友一のクロスをウェズレイがたたき込んだが、これはファウルをとられノーゴール。71分、高萩洋次郎が奪ったボールをキープした森崎和は、逆サイドのスペースに走っていた佐藤寿人を確認。約70mものロングパスを通した。佐藤のクロスを決めたのは、ウェズレイ。主砲の5試合ぶりのゴールは、広島の5月26日以来の勝利を決定づける得点であり、その攻撃を演出したのは、サポーターの想いを支えに走り続けた森崎和幸だったのだ。
新戦力のストヤノフがボランチとして8分間出場し、存在感を見せつけたことも広島にとっては大きな収穫。一方の大分は、「前2試合とは違うレベルだった」とシャムスカ監督が嘆くように、ほとんどチャンスもつくれず守備面でもミスを連発。大分の強みである両サイドからの攻撃が完璧に封じられ、攻撃の形がつくれない。この試合で勝てば入れ替え戦圏である16位から脱出できた大分だったが、そのもくろみは崩れてしまった。
ただ、補強した選手たちが機能し、本来の力を発揮するのはこれから。「我慢して続けることが大切」という今日のヒーロー・服部公太の口癖は、今の大分にこそ必要な言葉なのかもしれない。
以上
2007.08.19 Reported by 中野和也
J’s GOALニュース
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