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【J1:第27節 広島 vs 鹿島 レポート】戦術が徹底されたことで続いた膠着状態を打ち砕いたのは、マルキーニョスのアイディアとテクニック。鹿島がしたたかに勝点3を奪う(07.09.30)

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9月30日(日) 2007 J1リーグ戦 第27節
広島 0 - 1 鹿島 (14:04/広島ビ/13,492人)
得点者:'65 マルキーニョス(鹿島)

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「守備から入る」
これが、互いのチームのコンセプトだった。もちろん、攻守一体がサッカーの特質であり、いい攻撃の裏側にはいい守備がある。しかし、「どう崩すのか」を先に考えるのか「どう守るか」が優先するのかで、その発想の先に出てくる戦略や戦術が違ってくるものだ。
この日の両チームが守備から入るのは、それなりの理由があった。広島はJ1最多失点という現状がある。そしてチーム全体でいい守備ができていないことが攻撃にも影響し、得点力が落ちていることも問題だった。攻撃陣と守備陣の意識に乖離が生まれ、チーム全体がバラバラになりそうな雰囲気もあった。そこで、まず守備から入ることで意識を一つにして、チーム全体の連動を意識させることが重要だったのだ。広島・ペトロヴィッチ監督が、システムをダブルボランチに変えて、鹿島の二人のトップ下を消しにかかったのも、その一環である。

一方の鹿島は、優勝のためには絶対に勝点を落とせない。しかし、広島にはウェズレイと佐藤寿人の脅威がある。そこで鹿島・オズワルド オリヴェイラ監督は、負けないために守備から戦術を積み上げていく必要があった。まず、岩政大樹にウェズレイの密着マークを命じた。中盤に下りていくウェズレイも追いかけていくほど徹底したマークで、ウェズレイのプレースペースを消した。さらに佐藤寿人には青木剛が、やはり厳しいマークで自由を奪い、そのカバーに大岩剛が、後半には中後雅喜が入る。さらに両サイドバックの位置も、いつもよりはやや低めにして広島のアウトサイド=駒野友一・服部公太の存在を消しにかかった。これによって、広島の攻撃の起点を潰しにかかったのである。

この戦術は、共に成功した。広島は、ストヤノフが前日練習でケガをしてしまい、急きょ槙野智章が起用となったが、3バックの連係は決して悪くなかった。前半に一度、内田篤人と野沢拓也のコンビに崩されて決定的なシュートを浴びたが、他は組織が崩されるシーンはなかった。小笠原満男からのクサビは脅威だったが、そこもギリギリのところで跳ね返せた。一方の鹿島も、岩政の厳しいマークがウェズレイを苛立たせ、いつもの冷静さを彼から奪うことに成功。佐藤も青木のマークの前に有効な飛び出しができない。広島はボランチに下がった森崎浩司がいいタイミングで攻撃参加し、駒野友一が決定的なシュートを放つも、曽ヶ端準の代役として起用された小澤英明の好守もあってゴールを許さない。
しかし、それは逆に言えば、両チームとも攻撃の突破口を見いだせないということ。相手の堅い守備を崩すには、どこかでリスクをかけなくてはならないものだが、そのきっかけを両チームとも創れない。そういう膠着状態の中で、鍵を分けるのはセットプレーか個人技と相場が決まっている。

65分、浮き球をキープしたマルキーニョス。後ろに槙野がつく。だが、一瞬のスキをついたマルキーニョスは、ヒールでボールを浮かしながら素早く反転し、うまく手を使って槙野と態勢を入れ替えた。GKと1対1となったマルキーニョスは、落ち着いてボールをネットに流し込んだ。槙野が「完全に個人の能力で打開された。持ち味のゴール前での守備でやられるなんて」と唇をかんだ、広島にとっては痛恨の失点だった。

失点後、広島はしゃにむに前に出た。しかし、ゾーンを思い切って下げ、ゴール前に堅牢なブロックを創り上げた鹿島の前に、単調なサイド攻撃の繰り返しではなかなか崩せない。73分に柏木のパスを受けたウェズレイのシュートがゴールネットに転がりそうになったが、それを中後が外にかき出した。このビッグチャンスを逃した後は、ますます攻めが単調になり、鹿島の堅守を崩すことができなかった。

したたかに勝点3を奪った鹿島は、狙い通りの堅守が実行できたという部分でも収穫は大きい。攻撃面での迫力不足は気になるが、そのあたりは修正可能だろう。一方の広島は、確かにチーム全体の意識は統一され、守備面での連動も出てきた。敗れたとはいえ、そのあたりの実感があるから、試合後のコメントにもポジティブなものが相次いだのだろう。

しかし、拮抗状態で相手がスペースを与えてくれない状況でいかに打開するかという難問は、解決されていない。コンビプレーで崩すことが必要な時も、個人の突破に頼り勝ちになっているところが、ここ最近の得点減につながっているとも言える。この日の試合で間違いなく収穫はあったが、それを意味あるものにするためにも、「勝利」という結果が必要だ。

以上

2007.09.30 Reported by 中野和也
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