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【J2:第46節 仙台 vs C大阪】レポート:PK失敗と失点、2度の困難にも下を向かなかった戦いが、仙台に結果をもたらした。驚きの布陣で臨んだ9戦負けなしのC大阪を退ける大きな勝利。(07.10.21)

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10月21日(日) 2007 J2リーグ戦 第46節
仙台 2 - 1 C大阪 (13:04/ユアスタ/17,481人)
得点者:37' 菅井直樹(仙台)、56' 前田和哉(C大阪)、61' 萬代宏樹(仙台)

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 試合前のプレスルーム。話題はC大阪が並べてきたスタメン11名のリストに集中していた。
 元々は香川の欠場によって左サイドに誰が入るのかという程度のものだった疑問が、いつの間にやら「これは結局、どういうシステムになるのか?」というレベルにまで深まっていた。MFとして記されていた羽田はボランチか、実はCBか?となると4バックか3バックか?そもそもアレーとジェルマーノがアタッカーの位置に来るとは考えづらい以上、前の3人、柿谷、古橋、小松の配置はどうなるのか?記者の数だけ、疑問がある。そんな様相である。
 だがそんな雑談も今日に関しては、このビッグマッチのキックオフを待ちわびる間に与えられた、つかの間の愉しみとなった。仙台のクラブとサポーターが手を取り合って行っているホーム戦満員プロジェクトによって、試合前からスタンドには人だかり。最高の雰囲気と、クルピ監督が我々にもたらした奥深い謎解きによって、いつになく高まる試合への期待感。
 俄然肌寒くなったこの季節、煎れたての温かい紅茶などなくたって、そこにサッカーと愛するクラブさえあれば、幸せな秋の午後はやって来る。今日の空気がそれを、何よりも雄弁に証明した気がしてならない。
 いざなわれるがままに、いざ幸せな、そして濃密な90分へ。

 教授然とした風貌のクルピ監督が示した「回答」は、一言で言うと4−3−3。4枚のDFラインはそのままに、アレーとジェルマーノの両ボランチの後方に、本来はCBの羽田を入れることで「仙台の攻撃の起点であるロペスを封じたかった」(クルピ監督)という意図だった。そして前線は、小松をセンターフォワードとして前線に残し、トップ下のような位置に左に柿谷、右に古橋を配した形。柿谷、古橋は守備の局面ではしっかり中盤に下がってセカンドボールを拾い、攻撃となるや勢いよく前線に飛び出していく。
 この布陣は試合の序盤に効果を発揮した。アレーとジェルマーノで思いのほかボールが収まること、そして羽田がロペスにマンマークでつくわけでなく、むしろ最終ラインと中盤の間を広範囲にカバーしてまわる役割をこなしたことで、両SBの攻撃参加に通常通りの脅威を持たせることにC大阪は成功していた。さらに3トップ、特に左に柿谷が配されたことで、仙台の右SB菅井はほとんど攻撃に参加できず。急造の布陣は、序盤にゲームの主導権を奪う上で機能したと評価できる。

 だがそんな布陣にも付け入るスキはあった。C大阪は両SBを筆頭に前がかりになりやすいチームなため、ボールに中盤を越されてしまえば、残るのはCB2枚のみという状況が何度か生まれていたのだ。仙台もそれに気付いており、早いタイミングで前線の二人にボールを当て始める。
 そこが仙台にとっては、ペースを手繰り寄せる突破口となった。28分、スペースを埋めるべく高い位置取りを強いられていた前田、江添の両CBの裏に長いボールが出され、裏を取った中島がペナルティーエリア内でGK吉田と交錯、仙台にPKが与えられる。このPKこそロペスが失敗してチャンスを逃すものの、今度は37分、かなり以前のセットプレーの影響で左サイドに残っていた「右SBの」菅井が、ロペスが入れた右からのクロスにファーサイドより飛び込んで、ヘディングで仙台に先制点をもたらす。
 さらに前半終了間際、今日のキーマンであった羽田がヘディングの競り合いで頭部を強打し負傷退場。C大阪のゲームプランは一気に苦しくなった、かに見えた。

 ところがクルピ監督はすぐに動き、チームの傷を最小限にとどめた。もうすぐハーフタイムというタイミングで、羽田に代えて早くも森島康仁を投入し、小松との2トップに。そして右の中盤に古橋、左の中盤に柿谷という、重厚かつ超攻撃的な布陣を並べてきたのだ。システムとしては普段使っていたものに戻すだけだったというのも、早期の決断を後押ししたのかもしれない。
 そしてその結果はすぐに表れた。56分、C大阪のセットプレーからボールを奪い、カウンターを出そうとした仙台から、再びC大阪が奪い返し逆カウンター。守備陣形が大きく乱れていた仙台を左サイドから崩すと、柿谷がニアに入れたセンタリングに、先制点の菅井同様セットプレーで前に残っていた前田が合わせて同点に追いつく。

 だがしかしこの日の仙台は、PK失敗にも動じず先制点に辿り着いたように「気落ち」と無縁だった。失点から5分後、右へのサイドチェンジの後、ダイレクトで上げてきた菅井の右クロスに対し、センタリングと逆サイドからニアに入ってきた萬代がヘディング、柔らかい弾道のボールは、GK吉田に反応を許さないままに、ゴールの左隅、つまり対角に吸い込まれていった。
 C大阪も69分、右サイドで森島康仁が3人に囲まれながらも強引に入れたグラウンダーのセンタリングが、仙台のCBの前、ゴール正面でフリーとなっていた柿谷にピタリと合う場面を作ったが、柿谷のシュートはGK林の閉じた股に収まりゴールならず。後半、終始消えかけていた2人によってゴールを割られれば流れは大きく変わったかもしれないが、結果として仙台は、その後何度もあったピンチを「ロスタイムの声援は普段以上だったのでは」と木谷が証言したように、サポーターの祈りにも似た声に背中を支えられる形で守りきった(余談だが、1点リードで迎えたロスタイムに仙台がボールを持った際、最初はよく攻撃時に歌われる「仙台、レッツゴー!」の声援が響いていたはずが、いつのまにか別のものに変わっていた。チームがこの時間になすべきことをサポーターも考えてチャントを変えたのであれば、仙台のチームとサポーターは今、まさに「人馬一体」の状態にある)
 鳥肌が立つような緊張感、これこそがJ2の第4クール。そしてこれこそが昇格争い。2001年の感覚を己に呼び起こさせるような、仙台の勝利だった。

 C大阪は10試合ぶりの敗戦によって、3位仙台との勝点差は1試合少ないながら7へ。仙台が次節休みを消化するために、次の山形戦をしっかりと勝利すれば、残り5試合で4差までは詰められるが、状況が苦しくなったことに変わりはない。クルピ監督が語るとおり、求められるのは「残り6戦全勝」で間違いないだろう。
 一方、今節の激闘を制した仙台だが、今日の終了間際、ボールキープの際にロペスがヒジ打ちをしたと判断され一発退場。次節・福岡戦でロペスは「アウト」となる。 最高の秋を謳歌していたかのようなスタジアムの雰囲気は、快勝を前にして凍りついた。
 仙台はこの後、ロペスのいない秋を迎える。だがこのピンチを乗り切れなければ、僕らの待ち望む「どの季節よりも熱い冬」はやってこない。

以上
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