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【J1:第30節 柏 vs 神戸】レポート:豪雨の日立台に沈んだ柏、運にも左右されたゲームで3位達成の可能性は消滅(07.10.27)

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10月27日(土) 2007 J1リーグ戦 第30節
柏 1 - 3 神戸 (14:04//8,947人)
得点者:44' 太田圭輔(柏)、73' ガブリエル(神戸)、75' レアンドロ(神戸)、80' レアンドロ(神戸)

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「バシャバシャッ、バシャー」。ピッチの至るところから上がる水しぶきに、選手たちの姿が霞んでいく。FKの際にポイントから手で水をかき出す選手がいれば、普段にも増してアクロバティックなプレーを繰り出す選手もいる。この日、台風の影響で千葉県各地では大雨警報などが発令され、日立柏サッカー場のピッチには、そこかしこに大きな水溜りが浮かんだ。予想以上にボールが流れ、不意にボールが止まる。ピッチ上にまだらに描かれた自然の作り出した数々のトラップに、両チームともに四苦八苦の様相を呈し、アウェイチームの指揮官は「サッカーじゃない競技のようだった」と振り返った。

そんな試合で先制点を奪ったのは、ホームの柏だった。フランサが絶妙なポイントにロビングのパスを落とし、相手GKがボールのバウンドに対する判断を一瞬躊躇した隙に、後方から走り込んできた太田圭輔がゴール。この状況下では最適と思われる形での得点は、試合前の練習のときから確認し合っていたというふたりのコンビプレーから生まれたものだった。だが、柏にとってはこれ以上ない展開で終えることになった前半とは裏腹に、石崎信弘監督は試合後に「退場が痛かった」とのコメントを繰り返すことになる。

両チームともに雨のなかのゲームに適応を見せ、こう着状態になり始めた67分、柏DF小林祐三がペナルティエリア内での大久保嘉人との競り合いで2枚目のイエローカードを提示されて退場処分となってしまう。そして、その6分後に生まれた神戸のガブリエルによる同点弾。ハーフウェイライン付近から柏ゴールに向けて無造作に蹴られたボールは、次の瞬間、前に飛び出したGK南雄太の頭上を超えてゴールに吸い込まれていった。悪天候による風の影響があったとはいえ、名手・南にとっては致命的な判断ミスとも言えるこのプレーにより、次第に強まる雨とともにゲームの流れは一気に逆流していく。

試合途中からピッチに立っていた神戸の近藤祐介は、小林祐の退場とガブリエルのゴールを受けて「ラッキーが2回続けて出たのは大きかった」と語った。運を手繰り寄せるのも実力のうちではあるが、近藤が続けて話した「技術よりも統一性」という言葉が、この日の神戸の輝きを際立たせる。
同点から2分後、古賀誠史のクロスにレアンドロがフリーでヘッドを決めて勝ち越し、その5分後にも柏の1点目を髣髴させるかのような形から再びレアンドロが絶妙なループシュートで追加点。7分間で3得点というゴールラッシュは、愚直なまでに勝利に向けて積み重ねられた「つまらない」(松田浩監督/神戸)プレーが生み出した結果とも言えるものだった。

そして、神戸の勢いに飲み込まれる格好となった柏にとっては、不運で片付けるには痛過ぎる4連敗となってしまった。同日に行なわれた3位鹿島の結果(大分に3−0で勝利)により、今季第2の目標として掲げた「トップ3」への可能性は消滅した。試合後、サポーターもブーイングで選手たちを迎えることとなったが、すぐさま「切り替えよう」という温かいエールが飛んでいたのが印象に残る。もちろん、掲げた目標が成し遂げられなかったとはいえ、リーグ戦は4試合残っており、その後も変わらずサッカーは続いていく。

シーズン当初の目標『勝点45』を達成した際、石崎監督はもうひとつの目標として「優勝を争えるチームになる」ということも語っている。この目標は今後も残っていくし、今季の残り試合は来季への基盤作りとなる重要な戦いでもある。それは、今季の柏にとって、第3章の幕開けと言い換えてもいいかもしれない重要な4試合だ。サポーターを筆頭に、この残りの戦いを厳しく見つめていくこと、恐らくそれがクラブの今後の財産となる。

一向に止むことを知らない豪雨が、無人のピッチに降り注ぐ。閑散とした日立台は寂しさを否が応でも呼び起こしたが、目標に到達できなかった悲しみの涙はこの大雨とともに流してしまえばいい。くしくも明日の柏の天気予報は晴れ。この挫折を乗り越えるべく、レイソルの新たな戦いが再びスタートする。

以上
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