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【J2:第49節 湘南 vs 草津】レポート:湘南が全員サッカーで3連勝、次節の挑戦権を死守する。草津はカレカのリーグ戦2戦連続ゴールが飛び出すも惜敗。(07.11.12)

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11月11日(日) 2007 J2リーグ戦 第49節
湘南 2 - 1 草津 (13:03/平塚/4,579人)
得点者:38' 鈴木将太(湘南)、85' オウンゴ−ル(湘南)、86' カレカ(草津)

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 奇しくも菅野将晃監督が、「3つ勝って仙台戦を大一番にしたい」と決意を語ったその「3つ」の緒戦、第47節の水戸戦を目前に控えたある日のことだ。柏との練習試合を終えて、松本昂聡はこんなふうに語っている。
「トップのゲームに出ていないなかでも、みんなで盛り上げている。意見を言い合いながらそれぞれが一生懸命プレーし、僕自身、調子もいい。楽しいですよ」

 逆転負けを喫した練習試合の内容には渋い顔を見せた。しかし、チームの現在を語る表情は明るく、「いつでも出る準備はできている」という後方に控えるメンバーたちの意気を代弁しているように受け取れた。

 今節、直前までスタメンに名を連ねていたジャーンの交代がアナウンスされたのは、試合開始およそ10分前のことだった。不意のアクシデントに、急きょスタートを任されたのは松本である。
「久々にメンバーに入っていたし、これまでずっと手を抜かずにやってきた自信もあった。立ち上がりには気をつけたが、緊張はなかった」
 おそらくは急ピッチのアップとなったに違いない。だが試合に臨むメンタルのアップは日々、十分になされていたのである。

 湘南にとって、この日の試合にはさらに大きな出来事が重なっていた。来日中だったアジエルの父・アントニオ氏が急逝し、アジエルが急きょ一時帰国したのだった。出場停止のエドワルド マルケスを含め、プレー、そしてムードづくりにも貢献するブラジル人トリオが外れることになった。

訃報に打ちひしがれるチームに試合前、おなじくブラジル生まれのカルロス・フィジカルコーチが円陣の中心で語りかけた。
「アジエルのお父さん、アジエル、そして自分にとって大切なひとたちのために闘おう」
 しばし黙祷を捧げ、そして語気を強める。
「いま想ったひとたちのために、全力で、全力で、もっともっと底力を出して、闘おう」
 カルロスと西村律郎通訳の声は、早くも嗄れんばかりだった。

 さて、いささか長い導入となったが、「いろんなことがある」と指揮官が試合後に語ったように、3位争いに可能性を残すホームチームにはかような事情が背景に横たわっていた。そのうえで迎えた今節の草津戦は、それぞれのおもいを束ね、チームとしていかに体現するかに懸かっていたのである。

 湘南のスタメンには、鈴木将太がじつに半年ぶり、また前回の敷島で石原直樹のゴールを演出した梅田直哉も約4ヶ月ぶりに抜擢された。対する草津は19歳の岩田正太が起用されてJ初ピッチを踏み、高田保則と鳥居塚伸人とともに前線を担う。

序盤は落ち着かぬボールも、FWから始まるタイトな守備によって湘南が次第に支配を強めていく。ジャーンに代わってキャプテンマークを巻いた坂本紘司の、ときにFWを追い越す積極的なアプローチも効いた。15分を過ぎるあたりから相手を押し込み、2トップに左の加藤望、右の鈴木、また山口貴弘と尾亦弘友希の両サイドバックも絡みながら波状攻撃を仕掛ける。23分には坂本のパスカットから鈴木を経て石原のフィニッシュまで繋ぎ、また25分には鈴木のアウトサイドにかけた巧みなスルーパスから石原、最後は加藤がクロスバーを掠めるミドルを撃った。

 こうした敵の圧力に耐えていた草津にもアクシデントが起こる。31分、腰を痛めた高田に代わり、前節初ゴールを決めたカレカが投入された。だが湘南の時間帯はなかなか途切れない。そして38分、湘南に先制機が訪れる。田村雄三からパスを受けた加藤がクロスを供給、鈴木がゴール前へ斜めに走りこみ、ヘディングシュートをねじ込む。「相手のセンターバックとサイドバックの間に入ってこいと、望さん(加藤)に言われていた」というホットラインによる先制ゴールだったが、14分にも加藤のクロスと鈴木のダイアゴナルの動きは交差しており、その伏線をもとに成就したかたちだった。

「前半があれだけ悪ければ……」と植木繁晴監督が振り返ったように、鳥居塚によるシュート1本にとどまった草津は後半、立ち上がりから押し込んでいく。カレカや櫻田和樹もミドルを狙った。かたや湘南も2点目を目指し、奪うとすかさず攻撃に転じる。キレを増す石原を軸に鈴木や加藤、途中交代の原竜太といった面々が率なく攻撃に絡み、また坂本の攻撃参加を後ろで支える田村ら守備陣の存在も見過ごせない。相手のカウンターに対するリスクマネージメントも絶やさなかった。

 両軍ともにチャンスをつくる一方、崩しきれない時間帯を経て、得点は思わぬかたちで動く。85分、攻め込まれていた湘南のクリアから、草津が処理を誤ってしまう。前に残っていた石原のアプローチも効き、アウェイチームのオウンゴールを誘うのだった。

 ミスから均衡が解けた直後、草津は途中交代の佐田聡太郎が前線に蹴りこむ。これに反応したカレカが1トラップで相手DFのあいだを抜き、ニアに強烈な弾丸シュートを刺した。この86分の追撃弾ののちも草津は押し込み、セットプレーを相次いで手に入れゴールを目指すが、湘南の決死のディフェンスは堅く、勝負は決した。劣勢にも持ち前の粘り強さを見せていただけに、草津にとっては失点の場面が悔やまれる。

対する湘南は、さまざまな出来事のなかで勝利をもぎ取った。ベテランの外池大亮がJ2通算100試合出場を果たせば、高卒ルーキー・林彗もわずかの時間ながら芝を踏み、リーグ戦デビューを飾っている。今節は華麗な技を繰り出す主役はいなかった。しかしサブのメンバーを含め、全力を注ぐ彼らは等しく主役だった。そして全員のハードワークのもと、指揮官の言葉どおり「3つ」勝った。次節はいよいよ、決戦の地・仙台に乗り込む。

以上

2007.11.12 Reported by 隈元大吾
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