11月11日(日) 2007 J1リーグ戦 第31節
川崎F 1 - 1 浦和 (16:04/等々力/23,355人)
得点者:10' 養父雄仁(川崎F)、32' ワシントン(浦和)
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勝てるチャンスは十分にあった。そしてその思いが、試合後の選手の表情を曇らせていた。
川崎Fにとって勝利への条件は整っていた。前半10分。プロ入り後2回目の先発出場となった養父雄仁が左足を振り抜く。
「闘莉王がクリアするかと思ったんですが抜けてきました。スローモーションみたいに冷静にやれました。GKが寝ているのが見えたので、浮かしました。自然と左足が出ました」
いきなり試合を動かした大卒ルーキーの養父には、苦い記憶があった。自身初の先発出場となった26節の柏戦で思うようなプレーを披露することができず、チームは大敗。後に問題化する事となったベストメンバー規定と相まって悔しい思いをしていたのである。
その養父は「入団時点でのポテンシャルでは中村を上回っている」との強化部の高い評価もあって、サポーターの期待を集める存在になりつつあったが、ここまでのシーズンでは、まだその本領を発揮してきたとは言い難い状況にあった。だからこそ、首位浦和との一戦で試合を動かす大仕事をやってのけた事で川崎Fは一つになった。養父を祝福したチームメイトの全てが、柏戦での悔しさを知っていたのである。
ところがその後、川崎Fはサッカーは相手がいて成り立つスポーツである事を思い知らされる事となる。
前半32分。ペナルティエリア左側を突破した長谷部からのクロスをワシントンが受けようとして、対応した伊藤宏樹が「反スポーツ的行為」と認定されたファールを取られる。このプレーに対し伊藤にイエローカードが提示され、浦和にPKが与えられた。川崎Fにとってはいかにも厳しい判定だったが、結果的にPKを手にしたワシントンがきっちりとゴールを決めて浦和が同点に追いつく。イラン遠征帰りの浦和にとって、大きなゴールであり、川崎Fにとって悔やんでも悔やみきれない失点となった。
同点で迎えた後半は立ち上がりこそ川崎Fが積極的な攻撃で形を作ったが、徐々に拮抗した試合となる。そんな展開を見ていて、浦和のタフさに感心させられてしまった。彼らはイランまでの往復を経験しているのにもかかわらず、後半に入ってもペースを崩さず、川崎Fの攻撃を抑え続けた。さすがに終盤には腰痛などで交代した阿部を筆頭に交代を強いられる場面もあったが、満身創痍とも言える状況の中でも集中した戦いを続けた。もう、それは見事と言うほかないものだった。
その点について関塚監督は「浦和さんの個々の力、そしてチームとしてのタフさと言いますか、(それを)我々が打ち破れなかったのではないかと思います」と脱帽せざるを得なかった。そしてそれがチャンピオンとしての矜持であり彼らが自ら背負ってきた責任なのだろうとも感じた。
手負いとも言える浦和を、川崎Fは結局下すことができなかった。そしてその勝負強さはこれから何シーズンもかけてJ1の頂点を目指していく川崎Fとして見習うべきものだろうとも思う。もちろん、紙一重の要素が反対側に転んでいれば勝てていた試合ではあったが、そうしたわずかな違いを引き寄せるための何かが川崎Fには足りていなかった。そしてそれを身につけるためにも、この試合は川崎Fにとっていい経験だったのではないかと思っている。
もちろん選手たちは試合直後にはそこまでこの試合をかみ砕いてはいないとは思うが、じきにチーム内で共通認識ができてくるものと思っている。そして浦和という強敵との戦いから、何かを掴んでほしいと思う。
河村崇大がこんな事を述べている。
「ここで負けないのがレッズが勝点を伸ばしてきたところ。試合巧者でした。うちのチームにももっと必要なところだと思いますし、勝ちきる力も必要でした」
もっともっと強くなるためには、河村が言うところの「勝ちきるための力」が必要なのである。
以上
2007.11.12 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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