12月1日(土) 2007 J1リーグ戦 第34節
大宮 1 - 1 川崎F (14:30/NACK/12,958人)
得点者:21' 鄭大世(川崎F)、89' 斉藤雅人(大宮)
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0−1で終わりかけていたゲームを同点に持ち込んだのは、後半ロスタイム斉藤雅人の一撃だった。デニスマルケスが中央でキープし、小林慶行がミドルレンジからグラウンダーのシュートを放つ。なぜだかペナルティエリア付近にいた斉藤の足元にそのシュートは入り、彼は右足を振り抜きネットを揺らした。その瞬間、歓喜するピッチ上の選手たちが一斉に目指したのはベンチにいる奥野誠一郎だった。肝心の殊勲者、斉藤が奥野を見つけられないほどの人数が駆け寄り、抱き合い、喜びを分かち合った。
そして、このゴールの数秒後試合終了のホイッスルがなる。それは『ミスターアルディージャ』奥野がスパイクを脱ぐ瞬間でもあった。98年、横浜フリューゲルスの消滅と共に当時JFLだった大宮に入団。以来、トニーニョと共に最終ラインを守り、大宮の堅守の象徴とも言える存在になった。だが、昨年、今年と出場機会は減りつつあった。そんな中、今年の夏には同期入団で大宮の生え抜き選手である斉藤には、今季限りの引退を告げていたという。その盟友であり、共に大宮を支え続けてきた斉藤のゴールで最終節を終えたことは、なにかを感じさせる終わり方であった。ちなみに、試合後斉藤が、奥野よりも涙を見せていたことは印象的だった。
モチベーションの違いを感じさせる一試合でもあった。好調とは言え、タイトルから遠くなってしまっている川崎。一方、大宮はこの試合前の時点で残留が決まっていたわけではなく、ホームNACK5スタジアムでの初勝利もお預けの状態。その上、奥野の引退が決まっており、試合後にはセレモニーまで予定されている。負けて送り出すわけにはいかない。そんな決意がにじみ出た90分でもあった。
とはいえ先制したのは川崎だった。「前半は0−0で、後半残り30分になった頃から攻撃的に。あくまで目指すは勝ち点3、自力での降格圏内脱出」という佐久間悟監督のゲームプランどおり、大宮は前半を進めていた。決して無理をして支配するのではなく、あくまでシンプルな中から得点機を見出そうとした。だが、21分中村憲剛の左CKから鄭大世のヘディングでの先制弾を許す。だが、この日のシュート数はなんと大宮の14に対し川崎が5。ワンチャンスをものにしたほかは、川崎はほとんど成すすべがなかった。
0−1で試合を折り返し、指揮官はプラン通り、残り30分を過ぎたあたりからカードを切り始める。それと同時に「今だから言えるけど、この試合はほぼ残留争いから開放されていたので楽しもうと思っていた」と主将・藤本主税が明かす様に、面白いように攻撃を始めた。「(小林)大悟と、主税とは近い位置でプレーすることに、今週一週間取り組んできた」と小林慶は試合前日に明かしていたようにリズムも良く、支配する時間も徐々に増える。「ポゼッションしたり、ウラに走ったりできたし、守備に関してもゾーンでもマンマークでも出来た」(藤本)、そんな戦いの末の同点弾だった。この後半の30分間には選手、監督が「勝てはしなかったものの」と前置きをしながらも「来季につながる戦い方ができた」と満足の表情を見せた。
この試合をもって、川崎は5位でシーズンを終了。チームとしてのタイトルにはあと一歩及ばなかったが、ジュニーニョが年間得点王の座に輝いた。大宮と同年にJ1昇格したチームがわずか4年でここまで輝きを見せたことは、大宮にとっての可能性でもあるはずだ。
そして、大宮。今季一年を振り返れば、苦しい時期ばかりだった。最終的にはメンタルの戦いになった。そんな中誰もが文句なく「主税のおかげで一つになれた」と言えるようなチームになった。「みんなを信じて戦えるようになったことはものすごく大事なことだった」と振り返るのは小林大悟。結果的にはギリギリ最終節での残留決定だったが、チームとして大きなものを得たシーズンだったことは間違いない。
試合後、奥野はチームに願いを託した。「J1に上がってからいつも残留争いばかりだった。来季は上位争いをしてほしい」今季の苦しさの中で一つになった大宮。来季はその団結力の上に立った強さを見せてくれることを願いたい。
以上
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