12月1日(土) 2007 J2リーグ戦 第52節
仙台 2 - 0 徳島 (12:05/ユアスタ/16,716人)
得点者:48' ロペス(仙台)、68' 萬代宏樹(仙台)
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双方の選手が、この試合の感想としてそれぞれの側から発言しているにもかかわらず、コメントの内容がほぼ同じだったのが面白い。要約すれば「今季を象徴するような試合」。
90分間全体を見れば、19対7というシュート数が示すように明らかに仙台のゲーム。とはいえ前半にはまだ徳島も付け入るチャンスがあった。4−5−1気味の布陣で高い位置でボールを奪ってから、手数をかけずに長谷川がシュートへ持ち込めた22分、ペナルティーエリア内の阿部の足元に素早くボールを入れた23分のチャンスで、あと一歩フィニッシュへの強い意志と精度があれば、ゲーム展開は違っていただろう。
しかしその時間は長く続かない。中長距離のパスがことごとくラインを割ったり、判断の遅れから仙台のプレスを受け間一髪の場面を生んでしまうなど、細かなミスが徳島に傾きかける流れをその都度さえぎってしまった。個々の技術向上となると、それこそ改善にはたゆまぬ努力と時間が必要になってくるが、今日の試合は徳島に、この課題を地道に改善していくことの重要性を説いたものとなった(今季中盤からのように、補強によってチームの技術レベルを底上げするという方法もあるが、期限付き移籍の多用では限界もあろう。となるとチームというより、スカウトの強化や獲得した選手の育成、もしくはそれを叶える財政面の話など、クラブとしての地力が試される問題でもある)。
2年連続最下位という悔しい結果となったが、チームとして全く指針が感じられない戦いぶりでは無かった今季の徳島。あと数枚駒が揃えば、来年の開幕戦でリーグに驚きを与えることでさえ不可能ではない。
この試合に話を戻すと、後半は仙台のほぼ独壇場となった。0−0の状況で始まった後半、昇格が消滅しても詰め掛けてくれた17,000人近いサポーターに無様な姿は見せられない仙台が前半以上の猛攻に出ると、徳島はそのままほぼ防戦一方に。48分、梁からのCKがニアに入ってくると、腰の高さほどのボールに対してロペスが体を捻ってダイビングヘッド。これがゴール左隅に決まりようやく先制点を奪った仙台は、以降カウンター、縦パス一本、細かなパス回しなど、様々な武器を駆使して徳島を攻め立てる。
そして68分のゴールが、来場した全てのサポーターを「満たした」。カウンターになりかけた攻めが、ロペスが若干ボールの処理を誤ったためスピードが鈍り、徳島に自陣ゴール前での守備陣形を整えられた…かに見えたのだが、左サイドにいたロペスは大外右をスルスルと上がってきた菅井へ大きなサイドチェンジ、それに合わせた菅井がヘッドでシンプルに中央へ折り返すと、最後はゴール正面にいた萬代が体1つ分マークをはずし、体勢を崩しながら右足で見事なボレーシュートを決めた。守備ブロックを固めた相手を大きくボールを動かすことで揺さぶり、いとも簡単にゴールを陥れる…変幻自在の形で点を決められる予感に満ちていたシーズン序盤の仙台が、最終節のピッチに戻ってきた。
その後の仙台は、いろいろな意味で来場したサポーターを沸かせた。今季第3クールから加入し、サポーターにとっての精神的支柱となった岡山が、最終ラインから攻め上がったかと思えば、CKのチャンスの場面では、四方八方のサポーターを両手でしきりに煽るあまりに、気がつけばプレーが始まりかけていたなんてご愛嬌も。ほぼ勝利が決まっていた終盤には、さらなるゴールを得るため少々無理に攻め、徳島にカウンターでヒヤッとする場面も作られたが、もはやそれを咎めるようなシチュエーションではなく、試合はそのまま仙台が2−0で勝利、今季の4位を確定させて終わった。
さて、この90分の中で仙台に見えた課題はと言えば、いつにも増してサポーターに頭を抱えさせる場面を作らせてしまった決定力不足に他ならない。閻魔帳でもつけているようで恐縮だが、手元の試合メモによると、1点目から2点目までの20分間に仙台が迎えた決定機(GKとの1対1や、センタリングに対してフリーで飛び込んだ場面)はなんと6つ(中島3回、萬代2回、ジョニウソン1回)。しかしその内1度も、仙台はネットを揺らすことが出来なかった。さらに前半も、DFラインの裏を取りながらシュートをGKに当てる場面が2度あった。
決定力不足で落としてきた勝点も少なくない今季の仙台。しかし勝点で考えるよりもわかりやすい例えであえて説明しよう。もしも前節仙台が京都に引き分けて最終節を迎えていたとしたら…
今節京都は終了間際に草津に追いつかれてドローとなった。となると仙台は最終節、4点差以上の勝利で、京都を逆転して3位に立っていたことになる。もしこのシチュエーションの元ならば、今日の内容での「2−0」は「痛恨のスコア」になっていた。あくまでたらればの話だが。
とはいえ試合後のセレモニーでチームに投げかけられた声援が示すとおり、今年の仙台が示した「人もボールも動くサッカー」は、間違いなくサポーターの心をがっちりと掴んだ。J2では「夢物語」と思われていた美しいサッカーでリーグを制す、その意気込みをサポーターは支持している。あまり好きな言葉ではないが、あえて言えば今季の仙台は「グッド・ルーザー」だったと思う。
ただ「ルーザー」から「ウィナー」になれる可能性を見出せたからこそ、サポーターがこのチームを信任したことを忘れてはいけない。ロペス、ジョニウソンの退団が試合後に発表されたように、主力メンバーの入れ替わりもまだあるかもしれないが、それでも来年こそ、仙台は勝たなければいけないのだ。
来年こそ、内容だけでなく結果も悔いのないシーズンを。1本のシュートから無駄にしない気持ちで1年通じて戦えば、来年の今頃はみんなで5年ぶりの笑顔になれているはずである。
以上
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第52節 仙台 vs 徳島】レポート:ピッチに浮き出たのは、今季両チームが戦いながら成長してきた証、そして各々の目指す物にあと一歩届かなかった理由であった。(07.12.01)















