12月1日(土) 2007 J2リーグ戦 第52節
C大阪 2 - 2 東京V (12:04/長居/13,126人)
得点者:14' ディエゴ(東京V)、33' 飯尾一慶(東京V)、36' ジェルマーノ(C大阪)、76' 小松塁(C大阪)
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「神様はそんなに優しくはなかった」(ラモス監督)
7連敗を喫しながらも昇格を許してくれたサッカーの神様だったが、ターゲットが優勝となるとさすがに簡単には微笑んでくれなかった。結果として「J1昇格」という目標を達成した安堵感と、ほぼ手中にあった「優勝」を獲り逃した悔しさとが半分半分入り混じった最終戦となったが、この試合が感慨深く忘れられない試合となった選手も少なくない。
その要因となったのはやはり背番号「7」、名波浩だった。
リーグ戦では9月22日(土)第41節水戸戦以来10試合ぶりの先発となった名波は左腕にオレンジ色のマークを巻いていた。「なんでキャプテンマークを着けているのか、なんで先発なのかも不思議」と本人は試合後話したが、「船越と相性が良いから」とラモス監督は起用の理由を述べている。ベンチへ回ることになった大野敏隆も『名波さんが出るのなら全然問題ない』と了承済みだった。
他の選手たちにも「ずっとチームのために闘ってくれた名波さんのために勝利を」と、『優勝』とは別のモチベーションを与えることにもつながった。
ディエゴの思い切ったミドルシュートから始まった今季ラストゲームは、序盤から東京Vがおした。名波を起点にこれまでとは明らかに違う展開で攻めていく。「外から見ていて、前に速いなと思っていたんだけど、実際入ってみたらやっぱり速かった」(名波)。時間を作れるところでは無駄に急がず、落ち着いてパスをつないで崩すサッカーに努めた。
「今までは出しどころが無いから仕方なくパスを回していることがあったけど、名波さんのパスには全て意図があって、本当にやりやすかった」(廣山望)。ディエゴ、廣山、名波、飯尾一慶と流れるようなパスワークからビッグチャンスを作るなど、流れが向いてきた矢先だった。
前半14分、服部のCKからディエゴが頭で決め先制する。
セットプレーからの得点は、今季東京Vが日頃の練習から最も力を入れてきた形だけに、集大成という意味では「やってきたこと」がきちんと出た幸先の良いゴールとなった。
さらに同33分、この日何度も決定的な場面に顔を出していた飯尾が「狙いとは違ったから、おまけみたいなもの」と苦笑した技ありのシュートを決め、リードを広げた。
これで優勝は一気に近づいたかに思えたが、残念ながら違った。
主導権は握っているものの、C大阪は一度ボールを奪うと驚異的とも言える切り替えの速さで一気に攻め込んでくる。小松塁に強引に突破され36分、PKを与え1点を返される。
ゲームプランが狂ったのはハーフタイムだった、とラモス監督は明かす。
足の張りを訴えた飯尾を後半早々下げざるを得なくなるとゲームの流れは一転し、C大阪の両サイド濱田武、香川真司の2人にボールが入るようになる。自由に運ばれDF最終ラインが下がったところで後半30分、名波を下げるがそのわずか1分後、左からの丹波竜平のクロスを小松に上手く頭に当てられ同点に追いつかれてしまった。
そのまま終了のホイッスルを聞いた結果、最後に目指した優勝こそならなかったが、会見でラモス監督が「一言だけ。嬉しくてしょうがないです」そう言って静かに笑った姿に、2年間の苦労と『昇格』という命題を果たせた充実感の全ては表れていたのではないだろうか。
選手たちも「サッカーを楽しめた」と、ようやくホッとした表情を浮かべた。
晴れて『J1昇格』の悲願は達成した。しかし、忘れてはならないのが同時に立てた『J1でも通用するチーム』というもう1つの目標はまだこれからだということだ。名波は「J2の優勝に価値はない」と苦言を呈したが、最終的な『目標達成』のステージがJ1にあるのだから、その言葉は当然と言えるのではないだろうか。
「無駄に急ぐな」「時間を作れ」「相手をいなせ」「DFラインを下げては守りきれない」・・・この試合で導き出した課題をクリアして初めてJ1で互角に戦えるのだと、東京Vの背番号「7」はプレーで声でアドバイスを残した。
「プレーも人間的にも学ぶべきことが多く、こんなスゴイ人とサッカーができて僕の人生の中で最も成長できた1年だったと思う。名波さんだけではなく、服部さん、バウル(土屋征夫)さんという日本代表経験をもつ偉大な人が来てくれたおかげでヴェルディは大きく変わり、まとまった。心から感謝している。今年感じたものを来年プレーで表現したい」。飯尾の言葉は全ての東京V在籍選手の思いに違いない。心一つとなったことで、J1昇格へ相応しいチームへと変貌を遂げた。
7連敗という地獄を味わい、チーム全員で力を合わせて乗り越えた末に掴み取ったJ1復帰。大きな喜びに浸りながらも、真の意味での『目標達成』はまだまだ先にあることも心している。つながった道へさらなる飛躍成長をそれぞれが誓い、2007シーズンの幕を下した。
以上
2007.12.01 Reported by 上岡真里江
J’s GOALニュース
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