今日の試合速報

開幕招待
開幕招待

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【第87回天皇杯準決勝 G大阪 vs 広島】レポート:失った誇りを取り戻すために、自分たちのサッカーに徹した広島が、8年ぶり4度目の決勝進出!(07.12.29)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
12月29日(土) 第87回天皇杯準決勝
G大阪 1 - 3 広島 (13:00/エコパ/6,180人)
得点者:0' 佐藤寿人(広島)、38' 平繁龍一(広島)、39' バレー(G大阪)、89' 高柳一誠(広島)

----------

89分、G大阪の選手がペナルティエリア内で仕掛けたドリブルに対応した森崎和幸が、倒れる。何とかボールを外に出したものの、相手にコーナーキックを与えてしまった。
だがその森崎和が、足をつらせて立てない。ピッチに担架が入る。この瞬間、彼はピッチの外に出ないといけない。
1点差で、相手CK。本来であれば、すぐに森崎和を交代させたいが、しかし、もう交代枠はない。広島が一人少ないまま、遠藤のコーナーキック。広島、何とかクリアし、スローインに逃げた。だが、G大阪の攻撃は続く。ロングパスのこぼれ球をシジクレイがクロス。バレーのダイレクトシュート。クリアをシジクレイが拾い、家長昭博へ。そこに槙野智章が猛然と突っ込む。そのプレッシャーのためか、家長のシュートは大きくバーの外へ。森崎和がピッチ内に入ったのは、その直後だった。

そしてそこから、最後のドラマの舞台が、ゆっくりと回転する。
下田崇のゴールキックを拾い、加地亮が縦パス。それをカットしたのは、ピッチに戻ってきた森崎和だった。
落ち着いたボールキープ能力と広い視野、そして正確かつ受け手に優しいパス。そんなストロングポイントを持つ森崎和が、背筋を伸ばす。
フワリ。ループパスは佐藤寿人の足下にピタリ。
佐藤は、加地のマークを背負いつつ、外側へ。キープだ。そう感じたG大阪の守備陣は、ボールを奪おうと、佐藤に引き寄せられた。
その瞬間、佐藤は外ではなく内側に、パスを出す。そこには柏木陽介が、さらにその外側には、高萩洋次郎も長い距離を走っていた。彼らは、森崎和がボールを持った瞬間、スタートを切っていたのである。
「カズさんは、ミスをしない」
それは、広島で育った若者たち、共通の認識である。「広島のカズ」の技術を信じ、エース・佐藤の判断を信じた2人の若者は、92分という時間帯であえて、リスクを負って走る。そのため、2バック状態のG大阪DF陣に対し、数的優位な状態ができた。佐藤から柏木、そして高萩にまでパスがつながった時、G大阪のゴールを守るのは、GK藤ヶ谷陽介しかいなかったのだ。
高萩は藤ヶ谷に身体を寄せられ、シュートできない。しかし、ボールをキープした彼は落ち着いてバックパス。そこにもう一人、広島の若い選手が走ってきた。93分、その高柳一誠が放った強烈なシュートは、広島の決勝進出を確実にしたのである。

J2陥落の屈辱の中で、広島の選手たちは天皇杯を「自分たちの誇りを取り戻すための戦い」と位置づけた。そしてその言葉どおり、広島は見事に自分たちのサッカーを表現して見せている。
今日の準決勝でも、森崎浩司→佐藤寿人のホットラインが機能した先制点。駒野友一から佐藤寿人、そして平繁龍一とつないでとった2点目。最後の3点目も含め、すべて自分たちのシナリオどおりにチャンスをつくり、ゴールを奪った。そして、失点シーン以外は全くぶれない集中力と身体を張った守備。「我々の決勝進出は、驚きではない。天皇杯ではすべての試合で自分たちのサッカーができている」とイリアン・ストヤノフが言い切るほどの内容で、広島は8年ぶり4度目の決勝進出を果たした。

「最初の失点が…」と西野朗監督が悔やむように、佐藤寿人に喫した「24秒ゴール」が、G大阪を最後まで苦しめた。このため広島のカウンター狙いが明確化し、ゴール前のスペースを消してきたからだ。ボールを支配したものの「ほとんど決定機を与えなかった」とペトロヴィッチ監督が胸を張るように、G大阪らしい崩しは最後まで不発。今季限りでチームを去るシジクレイと共に有終の美を飾ろうとした目論みは、広島の執念の前に霧散してしまった。

J2降格を喫したチームがその年の天皇杯決勝に進出したのは、2002年1月1日に国立のピッチに立ったC大阪以来。広島としては、2000年1月1日以来の決勝だ。
ただ、広島はまだ何も手にしていないし、J2降格の屈辱で失った誇りは、まだ何も取り戻していない。だが2008年1月1日、天皇杯をサポーターと共に勝ち取ることができれば、「J1復帰」という本当のプライド回帰に向け、大きな弾みがつく。
「決勝に進出して、サポーターに少しは喜んでもらえたかも。でも、元日には、もっと大きな喜びを、プレゼントしたい」
佐藤寿人の言葉は、サンフレッチェ広島、全員の言葉である。

以上


2007.12.29 Reported by 中野和也
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2026/02/09(月) 10:00 【週末のゴールをイッキ見!】明治安田Jリーグ百年構想リーグ 全ゴールまとめ【0206-0208】