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【東アジア女子サッカー選手権2008 決勝大会 なでしこジャパン vs 北朝鮮女子】レポート:試合終了間際、澤のループシュートで逆転!なでしこジャパンが東アジア選手権初戦を勝利で飾る(08.02.19)

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2月18日(月) 東アジア女子サッカー選手権2008 決勝大会
なでしこジャパン 3 - 2 北朝鮮女子 (18:00/中国・重慶/23,000人)
得点者:3' 安藤梢(なでしこジャパン)、37' RI KUM SUK(北朝鮮女子)、54' RI UN GYONG(北朝鮮女子)、81' 宮間あや(なでしこジャパン)、93' 澤穂希(なでしこジャパン)

★第2戦の予定
2月21日(木)東アジア女子サッカー選手権2008 決勝大会
なでしこジャパン vs 韓国女子(18:00KICK OFF/中国・重慶)
-試合速報はこちら-
★TV放送:BS-iとTBSチャンネルで17:50〜生中継、21日24:55〜TBS系列にて録画中継(※一部地域を除く)
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 最後の最後、まさに今にも笛がなろうかという瞬間に、なでしこジャパンがドラマのような展開を見せてくれた。
 後半45分に近づく頃、表示されたロスタイムは3分。2−2でそのまま終了かという、まさにその3分が過ぎようとした瞬間のこと。スローインを荒川が落としたボールを、右サイドの、かなりゴールからの距離がある場所だったのにもかかわらず、澤は「とったらすぐシュート。とにかくシュート、シュートって思った」と、迷わずゴールに向けて足を振りぬいた。その、ふわりとしたボールの軌道が、まるでスローモーションのようにも見えた。

 その瞬間、「入ったと思った」そう振り返る澤は、決まった瞬間、力強くこぶしをにぎりガッツポーズをして見せた。3−2となり、 “最後まであきらめない”なでしこジャパンらしさで、アテネオリンピックの予選以来、北朝鮮に対して見事勝利をして見せた。

 2月18日、午後3時。気温8度。試合開始ごろには雨が降りはじめた永川スタジアム。およそ2,500人の観衆がスタジアムに観戦に訪れ、試合前からにぎやかな雰囲気に包まれた。佐々木監督のもとのぞむ初めてのこの試合。始動してからはまだ間もないが、どんな戦いを見せてくれるのか、期待が高まる。そして監督、選手自身も「90分の試合をまだこのチームでやったことがない(佐々木監督)」ことから、北朝鮮を相手に戦えることを楽しみにしていた。
 その新生なでしこジャパンのスターティングメンバーは、GK福元、DF右から近賀、岩清水、豊田、柳田、MFに安藤、澤、阪口、宮間、FWに永里、大野という4−4−2。体調不良でベンチスタートとなった池田(旧姓=磯崎)に代わり、澤がこのチームで初めてキャプテンマークを巻いて出場することとなった。

 立ち上がり3分には、宮間のFKから安藤のヘディングで先制。そのFKの際には「澤さん入って」と声をかけた宮間だが、その澤にマークが集中し「安ちゃん(安藤)がフリーになったから、そこを迷わず狙いました」と、宮間の狙い通りの展開。
 しかし、「15分くらいまでは本当につなぎも良かったですが・・・」と試合後に佐々木監督が振り返ったように、次第に北朝鮮にペースを握られ、なかなか狙うところのサッカーができなくなってしまった。
 すると、36分、GK福元が左サイドに大きく出てしまい、ゴールが完全にあいてしまう。福元もDFもかわされ、北朝鮮の中でも一番警戒したかったリ・クムスクにヘディングで同点ゴールを決められてしまう。そこから、さらに北朝鮮の勢いが増し、そのうまさを見せ付けられた。ペースを取り戻せぬまま、1−1で前半を終了。澤は、近賀、岩清水らDFと話をしながらロッカールームへと戻った。

 後半に入り、「相手のトップ下とボランチから機能していたので、4−1−4−1に変更(佐々木監督)」。阪口をボランチに、澤を前に上げ大野を右に下げて2列目に4枚、永里のワントップにし、4−1−4−1とした。しかしわずか3分で相手にビッグチャンスを与えるなど、北朝鮮の攻撃力が弱まることはなく、むしろその強さを見せつけられた。9分には追加点をあげられ、2−1と逆転された。
 直後に荒川を安藤に代えて投入した佐々木監督。大野が右へずれ、その大野のいたところに荒川が入る。4−1−4−1に代えてのぞんだ後半だが、「ちょっと引きすぎてそんなに功は奏したとは思いません」と振り返る佐々木監督。次第に北朝鮮の選手の足がつり始めて、試合が止まるとすかさず選手同士で話し合あったり、ベンチに向かって指示をうけたりと、修正をしながら試合を進めたなでしこジャパン。かなり攻め込まれる時間が続いていたが、次第に相手陣内でのプレー時間も増え始め、ペースを取り戻し始める。

 36分、ビッグチャンス。宮間が「いつもやっているとおり」というFKは、ゴール前で体を低くしてあわせようとした岩清水にかすり、見事にゴールに突き刺さった。これで2−2。その直後、永里に変えて丸山を投入した佐々木監督だが、北朝鮮にペースを握られ時間が過ぎていく。そのまま終了かと思われたロスタイムギリギリの48分、澤の見事なゴールが決まり、「最後には日本の女性、なでしこらしい精神力の強さ(佐々木監督)」をみせ、勝利をたぐり寄せた。

 その戦いぶりを見た中国人の観客からも試合後には拍手が沸くなど、多くの人の心をうったなでしこジャパンの選手たち。満面の笑みで、スタンドに向かってお辞儀をした。

 試合後「まだまだもっと出来る」という言葉と「思ったとおりには出来ていない」という言葉を繰り返した佐々木監督。そして「修正点はいっぱいある」と口をそろえた選手たち。当然、新しいチームを立ち上げたばかりで修正すべき点は多々あるが、まずは初陣を勝利で終えほっとした表情を見せた。まずは強豪北朝鮮を相手に勝利し、“結果”を手にしたことで、今大会の次の試合へのはずみとなり、「北京オリンピックにもつながる一勝(澤)」となったことだろう。

“まさかは起きる”。
なでしこジャパンは、それを私たちに見せてくれた。

以上
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