3月16日（日） 2008 J1リーグ戦 第2節
東京Ｖ 0 - 2 鹿島　（16:03／味スタ／18,934人）
得点者：74' マルキーニョス（鹿島）、86' マルキーニョス（鹿島）

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試合後にDF和田拓三が呟いた通り、東京Ｖが「勝てた試合だった」。
ホーム開幕戦、昨季のJ1王者に真っ向から勝負を挑んだ東京Ｖは、積極的な守備で鹿島の良さをしっかりと消しながら、幾度となく自らのチャンスを作り出した。一方、その東京Ｖにゲームの主導権を握られ苦しんだ鹿島。とはいえ終わってみれば、東京Ｖが「いい方向に向かっている（ＭＦ富澤清太郎）」ことは間違いないと確認できたと同時に、しかしそういう試合も結局はモノにしてしまう鹿島の強さを改めて感じさせられた試合でもあった。

「ホーム開幕ということで、積極的に行こうと話をして試合に入りました」と柱谷哲二監督が話したとおり、前節の川崎Ｆ戦と同じく、東京Ｖはラインを高く保ち前線からの激しいプレスでアグレッシブにスタート。鹿島はACLの疲れもあってか、またスペースも見つけ出すことができず、本山雅志、野沢拓也らが動き回りながらチャンスメイクをするいつもの形を作り出せない。
そして東京Ｖに「決めるべき」ビッグチャンスが訪れたのは７分。鹿島GK曽ケ端準が味方にフィードしたボールが、ゴール前にいた東京Ｖ廣山望の前へ。廣山はフリー、GKと１対１という絶好の状況でシュートを放つが、これは曽ケ端にセーブされてしまう。

好機は逃したものの、その後もゲームの主導権は東京Ｖが保ったまま。
鹿島はセカンドボールも拾えない苦しい時間が続いた。「30分過ぎまでは試合の流れを読み取る時間だった」とオリヴェイラ監督。
ただ、その流れを「読んだ」オリヴェイラ監督は、「中央からの崩しではなく、サイドを起点にすることを選手に要求」、左SBの新井場徹からのクロスや、DFラインからのロングボールなどシンプルな形に攻撃を整え、少しずつ東京Ｖのラインを下げさせると、徐々に流れを引き寄せていった。

0-0で折り返した後半。時間が経つごとに中盤が間延びし、スペースが生まれ始める。そこで60分、柱谷監督は前に勝負を仕掛けていけるMF河野広貴を投入する。
共にゴールへの意識が高まる中、ここからは互いにゴール前を「いったりきたり（オリヴェイラ監督）」、攻守がめまぐるしく変わる展開。その中でもビッグチャンスを得たのは東京Ｖで、69分、この日2度目の「決めるべき」シーンが。細かなパスワークからMFディエゴがフリーでシュート・・・誰もが決まったと思った瞬間だったが、まさかのポストに阻まれてしまった。

東京Ｖサポーターの大きなため息に包まれる味の素スタジアム。ここでオリヴェイラ監督も70分、野沢に替えて「リズムを作れる（オリヴェイラ監督）」ダニーロをピッチへ送り勝負にでる。するとこの交代がチームを一気に活性化。スペースを使って縦横無尽に走り回るダニーロに対し、東京Ｖ守備陣はマークに付ききれず、フリーにさせてしまう。
そして遂に74分、そのダニーロからFWマルキーニョスへスルーパスが通り、マルキーニョスは落ち着いてGKとDFの位置を確認しながらシュート。これが決まり、結局、耐える時間が長かった鹿島にあっさりと先制点が生まれた。

先制点を手中に収めたオリヴェイラ監督は、交代の用意していたＦＷ興梠慎三をすぐにベンチに戻し、MF本山に替えDF中後雅喜を、更にFW田代有三に替えDF伊野波雅彦を投入し、守備を固める。逆に柱谷監督はFW船越優蔵、MF大野敏隆と攻撃的な選手をピッチに送ったが、オリヴェイラ監督の言葉を借りれば、「失点して前がかりになる相手に対し、2点目が生まれるのは自然の流れ」。
終了間際の86分、再びダニーロを起点に右SB内田篤人、マルキーニョスと繋がり追加点、鹿島が試合を決定付けた。

この試合は、「決めるべきときに決めるか決めないか、だけの差だった。でもその差がとても大きかった」という柱谷監督の言葉に尽きる。しかし繰り返しになるが、東京Ｖが前に進んでいることも再確認できた。次に必要なのは、勝利だ。

以上